よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

諦めず先に進むこと

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私たちには無限の可能性があります。自分でやろうと思ったことは必ずできます。強く思い、行動に結びつけていけば何事も必ず達成できると考えているのです。

 

さて、物事をうまくできるようになるには10,000時間が必要であると、よくいわれます。これは10,000時間目に急に何かができたり、試験に合格できるわけではなく、徐々にそのスキルを高めながら到達点に到達するということなのでしょう。

 

もちろん、物事には何かをはじめてからあっという間にできるようになることもたくさんあります。なので10,000時間なければ何かを達成できないというのは性急であり、何かを成し遂げるためには最大そのくらいの時間が必要になるものだ、という目安でしかすぎません。

 

始めた次の瞬間から、「頑張ればすぐにできようになる筈」と思いながら精進すれば気が楽になります。要はやるべきことを決め、それを毎日着実にクリヤーしていくことが大切なのだと思います。

 

ただ、私には毎日決めたことができないことがいかに多いことか。振り返ると、たくさんの決めたのにできていないことがあるのです。

 

体調であったり、食事であったり、家族であったり、友人だったり、環境だったり、飛び込みの仕事だったり、想像もつかないことだったり、さまざまな制約により決めたことができていないのです。

 

こうした経験のある人は少なくないでしょう。しかし、何かの障害で一度は止めたとしても、それにめげず再スタートをして、何かをやりきった人たちがたくさんいることを知っています。

 

ある事を成し遂げた人達は、紆余曲折がありながらも決めたことを確実に行った人達です。

 

「やることを決めない、決めても行動しない」のであれば人は満足できる成果を得られず成長もできません。気が付いたときにやり直し成長できる機会を敢えて捨て、諦めて三日坊主で終わったり、「やはり続かない、だめだ」とガティブな思いに囚われやり直さなければ、それまでです。

 

うまくいかなくても何かの理由で行動を止めてしまっても、挫けないでもう一度前を向き何かを始める気概をもって行動を再開すれば、できないことはないのです。

 

なぜ彼らはやり続けられたのでしょうか。

  • 決めた理由の強さが執着を生み、
  • できない理由を排除し、
  • 自分を鼓舞し
  • 力を付けて

壁を乗り越えたのだと思います。

 

決めたことをやり切らなければならない理由の意味やその人にとっての重要性から生まれるどうしてもやろうという執着が、決めたことを成し遂げるための原動力になっていることが分ります。

 

何かを決めるときに、なぜやるのか(Why)、どのようにやるのか(How)、何を生むのか(What)をしっかり検討し、何かを始めなければ続けられないとの結論です。

 

サイモン・シネックの「WHYから始めよ」を思い出します。リーダーの「信念」「情熱」といった心の奥底から湧き上がる動機(すなわちWHY)が信奉者を増やし、いつしか多くの人を取り込んでいくことを可能にする」という主張ですが、個人の行動の背景にも同じように、「なぜこれをやろうと決めたのか」に強い思いや意志(信念)が必要なんですね。

 

自分にとってのWhy[強い思いや意志(信念)]をしっかりと確認し、何だかんだと言い訳をせず、何度膝をついても又立ち上がり、次の一歩を踏み出し進んでいける自分をつくっていきたいと考えています。

 

 

瞬間、瞬間を大切に

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人には生まれてから亡くなるまでの間、時間が与えられます。

 

もちろん寿命のながい人もいるし、短い人もいるので一定量の時間がすべての人に平等に与えられている訳ではありません。ただ、瞬間の連続が「時間」をつくりだしているとすれば、物理的な時間のながさではなく、瞬間は平等に与えられています。

 

なぜ宇宙があり、なぜ地球があり、なぜ人類が存在するのかといったことへの疑問はきりがなく、うまい解を得られませんが、自分が生きていることは事実です。

 

生きていれば何かを思います。与えられた時間で「何かを思える(考える)」自分がいることは疑いの余地はありません。

 

デカルトの「我思う、ゆえに我あり」はあまりにも有名な命題ですが、「自分はなぜここにあるのかと考える事自体が自分が存在すること」の意味は、「自分が生きているから思える」と同義です。

 

敢えて言えば生かされて「何かを思える」のは幸せです。せっかく与えられた時間や「何かを思える」機会を無駄に過ごすのはもったいないですよね。

 

なので常に今日一日のことや、これからのことを思い、時間や機会をうまく使わなければなりません。瞬間、瞬間を懸命に生きて行けば、例え突然予期しないことで命を失ったとしても、後悔のない生き方ができる、とも思います。

 

しかし、そうは問屋が卸しません。うまくいかないことが多く凹みます。

 

振り返ると意思の弱さや体調の不調が、うまく生きるための阻害要因になっています。

それらの問題は3つに区分されます。

 

  • 仕事の仕方が悪く、本当に疲れ切って集中できず、思いを持続できない
  • ここまでやったのだからこれでよいと慢心してしまう
  • 外部から思いもしない横やりがあり自分の時間をうまく使えない

などがその内容です。

 

一つ目の問題は、仕事の能力を高めること、スケジューリングや段取りをうまく行うこと、体調管理をしっかり行うことで解決できます。食事量や内容・時間、睡眠や運動の質量、そしてメンタルが課題です。

 

二つ目は、油断せず、目標を高く持ちこれでもかこれでもかと闘い進むことで解決します。これだけやったのだからできなくても仕方ないとか、疲れたからしようがない、家族との時間は外せないよね、などの言い訳をしないよう意思を強くすることが課題です。

 

仕事に対する価値観にもよりますが、時には「何かを失わなければ、本当に欲しい何かを得られない」と覚悟しなければなりません。

 

0・100ではなくうまく取捨選択を行いながら行動することも一つの方法ですね。

 

三つ目の問題ですが、外部からの電話や連絡、突然の仕事や依頼への柔軟な対応、先回りした準備で乗り切れます。行動の時間配分を適切に行うタイムマネジメントが課題です。円滑にことを進められるよう組織内外の関係者との良好な関係を維持し障害をなくすことが有効です。

 

どうしたら理想的な生き方に近づけるのか、日々悩みつつ、ここにあげた3つの問題の課題解決を行いながら生きることは人生そのものである、と考えています。

 

人が平等に与えられた瞬間の時間や思いをもてる機会を充実させることが、最期の最期まで私たちに求められています。

 

私も、生かされて活動を行うことを使命と決め、達成感を拠り所にして「やりたいこと、やらなければならないこと」をやり通せる人生を送りたいと切に願っています。

優れた管理職、監督職のあり方

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これまでに何人かの経営者の方々と、組織にはどのような管理職や監督職が必要なのかを話す機会がありました。

 

1.管理者

組織の理念、ビジョンや戦略を理解し、その達成のために所管する組織をどのようにして誘導してくのかを考え、全人格的に目標達成のために行動する人。

 

2.監督者        

顧客のために、そして自分のために組織が決めた方向に進むことを、自分達を鍛える機会として捉え、管理者とともに任されたチームの成長のために日々活動する人。

 

両者は、人生は一度だけなので、何かを達成することの積み重ねで最期が決まることを知っており、悔いのないよう挑戦できるか、手を抜かず懸命にやれるか、結局はすべて自分に帰ってくること、とりわけリーダーとして仕事をしている限り手を抜けば後悔が残ること、最期までやり尽くせば達成感を得られることを知っている。

 

また、自らの生きる態度や仕事への取組み姿勢を変えていかなければ物事を成し遂げられない時代に対応しなければばらないと理解している人、との結論でした。

 

人生の価値観はそれぞれであっても、仕事では仕事に対する価値観を同じくした仲間と仕事を行うことが、個人のそして組織の質を高め、生産性をあげるポイントですが、上記で説明した管理者や監督者のもとで組織に共感して仕事をする従業員が多ければ多いほど、組織の決めたことの成果は挙がる、とまとめました。

 

リーダーシップについての理論は数多くありますが、私達の考えるリーダーはどうあるべきなのかについては、

  • 使命感がある
  • 職責及び実施事項が認識できる
  • 目的が受容できる
  • 目標が受容できる
  • 計画性がある
  • 行動力がある
  • コミュニケーション力がある
  • 状況把握能力がある
  • 包容力がある
  • 責任感がある

と整理しました。

 

さらに、組織が目的を達成し成果を挙げるためには、リーダーがリーダーシップ(組織を最大に機能化するリーダーの行動)を発揮することが必要と話しが進みました。

 

リーダーがリーダーらしく、リーダーとして振る舞い、活動できれば、組織は成果をあげることができます。リーダーシップは、置かれている環境により変化し、安定的な組織、危機的な組織、攻撃的な組織では、リーダーの行動や指示の出し方は大きく相違します。

 

組織が何をもとめ、何をしなければならないのかに対し、柔軟に対応し、組織が求めるところに到達できるよう、リーダーシップを発揮しなければならなりません。しかし、リーダーが資質をもっていたとしても、その資質を行使して、リーダーがフォロワー(部下)に支持され、受容されなければ、リーダーはリーダーシップを発揮できません。

 

リーダーシップが発揮できるかどうかは、フォロワーの精神性を考慮したうえで、彼ら一人ひとりの状況を把握し、彼らを大切に思えるかどうか、組織目標と彼らの思考のギャップを埋め、バラつきをもちながらも徐々にフォロワーの意識や行動を組織のためのものに置き換えられるかどうかに依存する、と意見が一致しました。

 

日々リーダーは、

  •  部下が毎日の仕事を正しく行えないときには、正しく行うためのあらゆる活動、もっとうまく、はやく、やすくするための日々の工夫、改善活動を促し、
  • 突然何か問題が発生したときには、日常をこなしつつ率先して緊急事態にも対応し、その原因を解決、発生を抑える行動。さらに、
  • 部下の相談相手となり、やる気のでない理由があれば一つひとつをしっかりと受け止め、確実に一つ一つ解決していくこと、
  • 部署間に発生している問題を発見すれば原因がどこにあるのかを探索し、二度とそれが起こらないようにする

などを日々の管理業務とする、とリーダーシップはどう発揮されるのかについても整理できました。

 

このようにリーダーは日々、問題解決行動により組織をリードし、目標を達成し続けていくことが期待されています。

 

ジム・コリンズの「ビジョナリーカンパニー2」には、ビジョナリーカンパニーを創ったリーダーには5つの水準があるとして、各階層におけるリーダーの在り方を示しています。

  • (第一水準)有能な個人
  • (第二水準)組織に寄与する個人
  • (第三水準)有能な管理者
  • (第四水準)有能な経営者
  • (第五水準)第五水準の経営者

がそれらです。

 

  • 第一水準は、有能な個人で才能、知識、スキル、勤勉さによって生産的な仕事をする。
  • 第二水準は、組織に寄与する個人として組織目標の達成のために自分の能力を発揮し、組織の中で他の人たちとうまく協力する。
  • 第三水準は有能な管理者であり、人と資源を組織化し、決められた目標を効率的に効果的に追及する。
  • 第四水準は有能な経営者で、明確で説得力のあるビジョンへの支持と、ビジョンの実現に向けた努力を生み出し、これまでより高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与える。そして、
  • 第五水準は、ビジョナリーカンパニーをつくった人で、個人としての謙虚と職業人としての意思の強さという矛盾した性格の組み合わせによって、偉大さを持続できる企業を作り上げる 

と主張します。

 

ジム・コリンズは何よりも、ビジョナリーカンパニーのリーダーが持つ特徴は、業績すなわち利益だけを追求するのではなく、理念と利益の両方を追求することにあると説明しています。私も理念のない企業が利益を出し続けるのはとても難しいと思います。

 

成功した企業の監督者や管理者のあり方は、私達が整理した考えを一部含んでいることが分ります。多くの成果を挙げてきた企業でそれぞれの水準において人が頑張り、活躍していることを思い、少し嬉しくなりました。

 

よりよい人生を生きるために、気概をもった多くの一般社員、そしてリーダーが生まれることを心より願っています。

 

考課者訓練に思うこと

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評価と教育というテーマは組織からは避けて通れません。組織にはいくつかの評価があります。代表的なものは賞与支給のための業績評価と昇給、昇格、昇進のための人事考課です。後者の概要について解説します。

 

人事考課には、

  •  仕事への態度や姿勢(規律、協調、積極、責任)を評価する情意考課、
  • 組織が定める資格や経験に合った発揮能力を評価する能力考課、そして
  • 設定された目標を達成できたかどうかの業績考課

がありますが、業績考課は賞与の時に行われていることが通常で、その評価の2回分を年間の人事考課に利用します。

 

人事考課制度を導入する、ということは職能等級制度もしくは類似する他の制度(多くの異なる評価制度の類型があり、職能等級制度は人事考課の一つの方法です)を整備することと同義です。

 

職能等級制度は、組織が社員に対して要求している職務遂行能力を難易度順に並べ段階区分を規定した制度です。等級による資格制度を設け要件定義を行います。「うちはここまで求めてるので宜しくね」的な基準を作っているんですね。

 

ここでは資格と職位(役職)は原則としてほぼ並行して決められています。別途設定される賃金テーブルと併せ、当該制度により既定された考課者により被考課者が評価され、結果として昇給、昇格、昇進が行われます。

 

ここで人事考課を行う者の訓練が必要になります。考課者によって評価の仕組みや基準への理解が異なるため、考課スキルのバラツキを少なくするために行う考課者への教育訓練を考課者訓練といいます。

 

一人ひとりの従業員の成長につながる公平公正かつ的確な考課を行うためには、どの考課者であっても考課スキルが一定であることが必要です。さらに人事考課では人が人を評価するため、「好き嫌いやえこひいき」が起こるリスクが常にあります。業務を円滑に行える人材育成のためには、仕事そのものに光を当てた人事考課を行わなければなりません。

 

どのようなエラーをするのかを考課者が事前に理解し考課のエラーの可能性を小さくしていくためにも、情意考課を対象とした考課者訓練を行うのです。

 

まず、あるべき考課者の心構えをしっかりと理解しなければなりません。人事考課は最終的に昇給や昇格に反映するものです。したがって、考課者は、

  • 技術をもって襟を正し
  • 透明な心で
  • 公正公平かつ厳正に

人事考課を行う必要があります。このことが意識されず、いい加減に考課を行うことは上司としての責任を果たせません。

 

そのうえで、具体的に日々部下にどのように接していくのかを考えます。考課の時期が来たので被考課者のことを思い出し考課表を作成する、という訳には行きません。人事考課は日々の管理の集大成であり、日々の評価教育の延長線上に位置づけられると考えています。

 

なので(各組織のリーダーが自部署、他部署に関わらず、日々人材育成を行う成果として部下が成長し組織目標が達成されるための)人事考課は、単なる評価のための機会ではなく、日常的なリーダーの活動の集大成の評価である、とする必要があります。

 

具体的には、

  • 日常において被考課者の行動をチェックする、
  • 被考課者の姿勢や考え方を確認する、
  • 日々の仕事の姿勢や態度を思い出し、人事考課表にしたがい被考課者を評価する
  • 考課表を作成する、
  • 上位の職位に進むに従い、さらに考課表に記入を行う、
  • 最終的に幹部により考課(評価)を決定する

という手順で考課を行います。

 

さて、考課者は考課にあたって陥りやすい傾向として以下のものがあります。

  • 寛大化・厳格化傾向(一般的な管理者の評価レベルより高めに評価してしまう寛大化傾向、逆に低めに評価してしまう厳格化傾向)
  • 中心化傾向(評価段階の中心、あるいは特定の評価段階に評価結果が集中してしまう傾向)
  • 自己投影効果(自分と似たような志向性、価値観をもっている人に対しては評価があまくなり、そうでない人には厳しく評価をする傾向)
  • 論理的誤差(本来ならば、評価に影響すべきではない要素が評価に影響してしまう傾向)
  • 評価結果の性差(部下の性別が評価に影響してしまう傾向)
  • ハロー効果(ある1つの評価要素が評価結果全体に大きく影響を与えてしまう傾向)
  • 安定度誤差(同程度のパフォーマンスをあげている複数の被評価者に、安定して同等の評価をしない傾向)
  • 効果(評価直前の成果がすべてであるかのような錯覚に基づき評価してしまう傾向)

考課者は、これらの傾向があることを知り考課を行うことが肝要です。具体的に説明すると分かりやすいのですが今回は概要のみにします。

 

また、考課の重要なもう一つの目的に部下の育成がありました。

 

部下の育成はリーダーの仕事だと認識し、

  • 日頃から部下を育成することを仕事の目的の一つとして行動する、
  • 発見した課題を解決するための教育や育成、そして指導を怠らないこと、
  • 他部署のスタッフでも「おかしいな」と思うことがあれば、本人を思い、積極的に指摘や修正のための指導を(直接行うかどうかは状況や内容次第ですが)行うこと

がどの部署の上司であっても求められています。

 

部下を持つ者はこのことを肝に銘じ、部下から尊敬される自分をつくる必要があります。こうして考えると考課者訓練は、実は日頃の上司としての自分がリーダーとして適切な行いを怠っていないかどうかを確認する機会なのかもしれません。

 

過去、職能等級制度や賃金体系を構築し、多くの組織で考課者訓練を行ってきましたが、春になると考課者訓練の様子や、そのタイミングを自分の行動を見直す機会としてきたことを思い出します。

 

厳しい時代を迎えた今、これからも多くの組織で公平公正かつ的確な評価が行われ、多くの人材やリーダーが育つことを心より願っています。

マネジメントな生き方

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組織運営を適切に行うためには、大まかですが、以下の項目に対する的確なマネジメントが必要です。

 

  1. ビジョン策定
  2. マーケティング(5P)分析
  3. SWOT(スヲット)分析
  4. 戦略立案
  5. 経営方針書開示
  6. 事業計画立案
  7. 行動計画立案
  8. 予算編成・予算統制
  9. 目標管理実施
  10. 評価・教育制度整備
  11. 業務改善提案制度運用
  12. モニタリング(管理会計)実施
  13. 財務会計活用

 

自社には明確なビジョンがあるか、自社の事業についてプロダクト・サービス、価格、場所、プロモーション、比較優位を分析しているか、自社の強み、弱み、機会、脅威について毎年分析しているか、明確な戦略(闘いに勝つための計画)があるか、毎年経営方針書を作成しているか、事業計画を毎年立てているか、

 

行動計画を立てているか、事業計画を予算化して月次で予実分析を行っているか、目標管理制度を導入しているか、評価制度や教育制度は体系化されているか、改善提案制度を使用しているか、モニタリング(管理会計)を適時行っているか、翌月10日迄に月次決算が終了しているか、がマネジメントの対象です。

 

 トップマネジメント(経営層)は、自分達の考えを整理し、管理の枠組みや仕事の仕組みをつくり、自ら率先して活動するとともにリーダーシップを発揮できる中間管理職を育成し、計画的な組織運営を行います。ビジョンを設定し、自社の進む方向を決め、具体的な戦略や計画に落とし込み、月々の行動に展開し、成果をあげ、目的を達成していくのです。

 

市場が大きい、優位性や顧客ニーズがある、競合がいない、タイミングが合う、優れた従業員が多い等いくつかの条件が重なれば、マネジメントアイテムが体系化されていない組織でも成果を挙げることはできます。しかし環境や限られた人的資源に依存しきった事業がいつまで成果を継続できるか疑問です。

 

完璧ではなくても、目的を果たすため組織成長過程において、必要性に応じ上記アイテムに優先順位をつけ、それらの整備に取組めば現状よりも良い結果を得られます。それぞれのアイテムが体系として機能するマネジメントシステム構築は、トップマネジメントの重要な仕事だと認識しなければなりません。

 

ところで、ながい間組織改革の支援をして気になったことがあります。

 

個人も組織と同じやり方で生きるのが有益ではないか、ということです。

 

組織は人の集まりであり人が組織を運営するので、組織が物事を達成するための行動様式は、個人の考え方に依存します。

 

何よりも経営学は、社会学や心理学を含めた様々な人間モデルを扱う学問として実務の中から生まれてきました。人がどのように行動すれば最大の成果を挙げられるのかがテーマの重要な一部になっています。 

 

また、それ以前に何かを行い成果を挙げるときには組織も個人も、同じ摂理が働くのではないかという思いがありました。

 

つまり、「目的を達成するため組織が行うことは、個人が目的を達成するときにも役に立つ」という仮説です。

 

上記で説明したように、組織が計画を立て実行しチェックをしながら行動を修正し成果を挙げようとするのと同様に、個人の目的達成行動の思考にも、根底には(簡単にいえば)PDCAがあるのです。

 

計画を立て実行しチェックを行い修正する、という大きな枠組みに組織行動も個人の行動も当てはまります。

 

計画なしでも個人の行動は生まれますが、成果にはバラツキがでます。またチェックされる計画がないので、行動の修正は曖昧にしか行われません。計画のない行動がいつまで続くかも分からないのです。

 

やはり何等かの思いを計画に落とし込み行動し、行動をチェックし修正しながら計画に近づくよう行動できれば成果も挙がりやすくなります。個人は誰でも組織運営ためのマネジメントを学習し、同じように行動を組み立てるのが有益だと分ります。

 

自分には明確なビジョンがあるか、自分は今までどのように生きてきたのか(今どのような位置付けにいるのか)、誰にも負けないものは何か、併せて強み、弱み、機会、脅威は何か、を都度分析しているか、やりたいことは何か、そのための明確な戦略(闘いに勝つための計画)があるか、毎年何をするのかを書き出し自分の指針としているか、

 

毎月の計画を立てているか、どのように計画を実行するのか5W2Hで行動計画を立てているか、必要なコストを予算化し管理をしているのか、一つひとつの項目の進捗管理をしているか、常に自分や第三者からの評価を受け、自分を修正するための学習を行っているか。日々の行動を見直し質を高められるよう工夫を継続しているか、自分の行動を定量的に管理しているか、日々若しくは毎月の振り返りをしっかり行い次に活かしているか、がその内容です。

 

今回のテーマは「マネジメントな生き方」です。組織運営のマネジメントに精通すること、それを自分に当てはめて実践してみることで多くの学びがあり、より高い成果を得られるという主張です。

 

別の視点から見てみましょう。

 

皆さんもお分かりのように、上記で示した組織運営のアイテムの内側にはここで記載していない多くの実務的な中アイテム、小アイテムがあります。

 

たとえば組織は「決めたことを必ず実行する」ためにガバナンス体系をつくることが求められています。計画、予算統制、目標管理等が代表格ですが、会議体の運営も重要なアイテムです。効果的な会議のためには事前準備、会議の進め方、事後対応(以上ミーティングルール)を適切に行う必要があります。

 

ミーティングルールは物事を進めるときの原理原則ですが、「利害関係者を調整しながら決定し実行により成果を挙げる方法」を身に着けた個人は、自分の行動やコミュニケーションにおいても同様の対応ができるようになる筈です。

 

他のアイテムの役立も枚挙に暇がありませんが、自分を組織運営に置き換え、行動することで合理的な成果が得られるのです。

 

習得した組織運営におけるマネジメントの考え方や枠組みは、必ず個人の行動に良い影響を与えます。どのような個人でもここでいう組織マネジメントを一定の枠組みのなかで身に着け、組織運営だけではなく自分の生き方までも変えていけるという結論です。

 

ここから先、私も含め組織マネジメントは個人マネジメントに通ずるという前提に基づき、「マネジメントな生き方」のために、組織マネジメントの理解を進めることが有効だと考えています。

 

組織発展のために

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組織の目的はさまざまですが、多くは「価値創造による社会貢献を行う」との趣旨が、ビジョンや理念、ミッション等に表現されています。

 

ここで組織は、価値創造を継続させるために仕事の質を高め、発展し続ける必要があります。

 

質向上とは、同じ経営資源でより多くの成果を挙げることです。

 

たとえば、8時間で10の仕事をしていた人が、同じ時間で20の仕事ができるようになれば生産性は2倍になります。4時間で10の仕事ができます!

 

勤務している社員が力をつけて成長し、よりよい仕組みをつくることで生産性が向上し、仕事の質が上がるのです。生産性向上の結果の質向上であることが分ります。質の向上は生産性向上によりもたらされるのですね。

 

結果、付加価値時間(先程の事例では8−4=4時間)から新たな価値が生み出されます。一方でコストは下がり利益が生まれます。利益から新たな雇用や設備投資が行われ、組織が発展するのです。

 

ここで、生産性向上のためには、

  1. 個人の技術技能向上、
  2. 仕事の仕組みの見直し

 

が必要です。どのように2つを達成すればよいのでしょうか。仕事の可視化(目に見えるようにすること)を行います。可視化を行うことで誰でも同じレベルの仕事ができるようになるとともに、仕事のどこに課題があるのかが見えてくるからです。

 

可視化にはいくつかの方法があります。写真や動画、音声、数字、文字のマニュアルがそれらです。ただ、写真だけでは詳細な部分が伝えきれないし動画、音声だけでも限界があります。また数字の表現力には制約があるのはいうまでもありません。

 

まずは目に見えない「うまいやり方やコツ」(ナレッジ=暗黙知)を文字化する(形式知)必要があると考えています。

 

ナレッジの多くは個人に付帯する目に見えないものが多く、すべてが文字化できません。しかし、できるだけ多くの情報を文字化すれば、その内容を理解でき、より課題を発見し易くなることは間違いないからです。

 

仕事をうまくできる個人がもつ、①仕事の手順や②留意点③必要な知識等(個人知)をマニュアルに落とし込むことで組織の知識とし、優れた人の仕事のやり方を他の人が擬似体験できたり、真似しやすくすることが有益な理由がここにあります。

 

マニュアルで業務を標準化し、誰でも同じ業務が行えるよう訓練することで個人の技術技能が向上します。

 

さらに、可視化され課題を発見し易くなった仕事の仕組みを、もっとうまく、速く、安くできるよう改善することで、さらに仕事の仕組みを見直せます。

 

結果、個人の技術技能は向上し、仕事の仕組みの見直しが行われ、生産性や質が上がります。

 

前述のように、質が上がることで新たな取り組みの時間が生まれ価値が創造されます。一連のプロセスで得た利益による投資を通じ、より高いステージでの仕事を行えるようになるのです。

 

これらの連続が組織発展そのものであり、目的を達成するための基礎になると考えています。

 

V字回復により成長した無印良品の提唱する「Mujigram」が高い評価を得ています。Mujigramは、無印の店舗用のマニュアルです。Mujigramは写真やイラストも含めて2,000ページにもなります。

 

この他、職務基準書も含めて努力を成果に結びつける仕組み、経験と勘を蓄積する仕組み、ムダを徹底的に省く仕組みとして作成された二つのマニュアルに、無印の業務のすべてのノウハウが詰まっているといわれています。

 

どんな作業にもうまくいく法則があるといいます。それを標準化したものがマニュアルになるのです。マニュアルは常にアップデートして最新のものではなくてはならないといいます。そのためには社員が常に問題意識をもって、現状の仕事を改善できる機会をうかがっていなくてはなりません。

 

またそのような機会を見つけたときに、会社に提言して即座に認められる風土が備わっていなければ、そのような”気づき”も生かされずに終わってしまいます。

 

松井さん(社長)は、作業の改善点が見つかれば、それをリアルタイムで見直す必要があるといいます。(無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい 松井忠三著 角川書店)」

 

として、暗黙知をマニュアル化し教育に活用、そして業務改善による仕組みの見直しを行い、高い業績を挙げ続けているのです。

 

私たちは、量販、小売業やサービス業、医療・介護等多くの組織において、マニュアルや業務改善提案制度の導入、One on One教育の仕組みの構築を通じた改革を行なってきましたが、組織発展のための質向上への取組みを、これからも継続していきたいと考えています。

 

 

楽しい人生って

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無意識のうちに、楽しい人生を送りたいと望んでいることがあります。

 

今を楽しいと思っていない瞬間があるからでしょうか。いつも健康、環境、人間関係、仕事などのどこかに小さな心配ごとがあるからかもしれません。

 

ここで、楽しいとはいったいどのようなことをいうのかを考えてみることにしました。

 

まず、楽しくないことを列挙して、楽しいことの大きな阻害要因になっているのかを検討します。

 

で、心に占める割合は小さくないものの、私の健康をつまびらかにするのはお門違いなので、ここでは捨象するとして、まず環境の楽しくないことから始めます。

 

たとえば、新型コロナの問題は言うに及ばず、派生して日本経済のこれからや、クライアントの事業、海外に目を向けて香港や東シナ海での中国の覇権、イランや北朝鮮、ミャンマーの政局などが、心にいくつもの小さなササクレをつくっていることが分ります。

 

コロナに私一人で抗うこともできず、終息が遅れればクライアントの業績にも大きく影響するし、財政がひっ迫していて今後成長が見込めない日本経済の行方を想像すると、少し不安になります。

 

少子高齢化の日本で、今でさえ国民の可処分所得が30年前を下回る状況のなか、国は大盤振る舞いをせざるを得ず、来年以降、どれだけ社会保障費や税金の負担が増えるのだろうと考えると心細くなるのです。

 

海外に目を向ければ、香港とりわけASEANは仕事のフィールドの一つであり、コロナで被ったロスは小さくありません。さらに中国やイランと米国の対立や北朝鮮問題など一触即発の状況を考えると、きな臭さが視界を覆つくしてしまうイメージがあります。

 

しかし、私は環境や日本経済の行方に仕事として対峙している官僚や政治家ではなく、これらの問題に毎日毎日思い悩むことはありません。心配しても変わらないと諦め、大きな楽しくないことではないと思い直します。

 

さらに、気持ちの凹凸はあるものの、人間関係にも気を揉むほどの大きな問題はなさそうです。

 

仕事はどうでしょうか。

 

日々の仕事にストレスはありますが「やりたいこと」そして派生する「やらなければならばならないこと」はできています。

 

多くの人がそうであるように、課題を解決すると一つひとつ完結する仕事をしているので、誰かに喜んでもらえばストレスを凌駕する達成感を得られるので幸せです。

 

漠然とした不安は有りつつも、こうして消去法で消していくと自分の置かれている状況が少しずつ見えてきます。

 

ここで、以前『マーティン・セリグマンは、「オプティミスト(楽観主義者)はなぜ成功するのか」という著書で、悲観主義者はうまくいかない。なので、困った状況、思い込み、結果を書き出し、それに反論し、元気付けることで楽観主義者に転向できる。ネガティブな思い込みが、実はただの解釈でしか過ぎないことが分かるからだ』と紹介したのを思い出しました。

 

今回偶然にそのプロセスを経ていたことに、この文章を書きながら愕きました。

 

ただ、悲観主義者から脱却する手順の、「元気付ける」ことが残っています。

 

さて、ポジティブ心理学による学習性楽観主意を主張したセリングマンは子供を悲観主義から守るというテーマをもっていました。なので「元気付ける」のは、元気付ける誰かから、元気付けられる誰かに対する行為だと分かります。

 

となると、「大丈夫だよ、そんなに心配しなくても。そこそこ楽しいじゃん!」と、元気にしてくれるのは誰なのでしょう。十分大人な私には、元気付けてくれる人はいないのです。おーーーい!

 

なので、ストーリー全体を理解し、自分が自分を鼓舞し元気付けなければならないな、と納得です。

 

頑張っている友人や仲間、クライアントの経営者の多くが、(たぶん)オプティミストなので、その姿を思い浮かべて心のワクチンにするのが有効だ、という気持ちに辿りつきました。

 

んーーん。よし、だんだん元気になってきたぞー!(単純ですね)

 

環境や仕事のストレスはあるものの、誰でも、心のどこかに隠れている楽観主義を手探りで見つけ出し、光を当ててその存在を確かめながら愛でるのが大切と悟ります。

 

宇宙に生かされ暮らしていけることに感謝し、日々、いくばくかの楽しさを感じながら、これからもポジティブ派に属することで前に進んで行こうと思います。