よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

ラオス・ビエンチャンの病院視察

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コロナにより我々の海外での全ての活動が止まりましたたぶん2〜3年は難しいかもしれませんがコロナが終息し、早期に海外との交流ができるようになれば良いと思っています。以下は5年前の記事です。

 

「ある時期まで私が歩んだ道は、海外で活動するためにあったと、どきどき考えます。しかし、ここに来るまでに20年前から香港で会社を設立し、中国で幾つかビジネス創造にトライし、ベトナムを含むASEAN10ヶ国の内ブルネイを除く(その後訪問済み)9ヶ国を訪問しリサーチを行い、4年の年月を経て、最終的にパートナーと一緒にホーチミンの小児診療所への投資をしました。

 

結局は軸足を日本に残したままの趣味の域を出ない活動であったのだと反芻しています。

 

やり残したことが数多くあり、日本の活動を止められなかったからです。しかし、これからの日本を考えれば考えるほど日本のナレッジを海外に出せるこの数年間がチャレンジする最後の機会なのかもしれないと、危機感をもっていることも事実です。

 

趣味なら趣味でよいと割りきり、できるところまでやろうと言う思いが一般社団法人アセアン進出支援協会設立・運営の活動です。小さな結果が出せればそれでいいと思っています。

 

現地に行けば分かりますがASEANにおける一帯一路に代表される中国の外交の熱の入れようは半端ではなく、国の将来をかけた闘いであることが明白です。日本はそれなりの外交でASEANに関与していますが、いかにも片手間です。

 

日本から出る国民も少なく現地への浸透も中国や韓国の後塵を拝しています。これでいいのかと思います。

 

勢いのない日本。できることでいいので一歩でも前に進まなければなりません。これが私の結論です。もう少しで協会の本格的な活動がスタートします。

 

なお、写真はラオス、ヴィエンチャンの病院をリサーチしていたときにミーティングをした医師と看護師さん。みな、日本には期待していました。

 

この病院はODA(政府開発援助)で建設された病院です。アセアン進出支援協会の両手の指を5本合わせるポーズ(名称プロスペリティ=繁栄)をしてもらっています。左の医師には、私の英語が通じなかったとみえて、手のひらを付けてしまっていますが、両指10本=ASEAN10ヶ国仲良く繁栄しよう、という意味です。

 

今、本当にそう願っています。」

 

大きく変わらなければならない日本。我々はいま、早期にASEANでの活動を再開できる事を強く願っています。

リーダーの情熱が枯渇すると組織は衰退する

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言わずものがなですが、組織は人で構成されています。なので、組織がうまく機能するためにはさまざまな分野の自立した社員が、それぞれの得意分野における技術技能を組織に提供し、相互の連携をもって成果をあげていくことが必要です。
 
組織の進む方向を決め、具体的な手法を設定し計画を立て、社員が納得しながら物事を進めていくことができれば組織力が発揮されて大きな成果を挙げることができます。
 
ここでいう納得は、個々の社員が自らの仕事を受容れるだけではなく、社員同士やそれぞれの社員が所属する小さな組織、すなわち「機能をもったチーム内やチーム間の衝突を回避させ協力して仕事を進める」ことへの受容も含めています。
 
納得のためにはとても大きな力が必要です。
 
組織には、積み上げでミドルアップの改革を進めていても、トップの一言でそれらが否定され、ミドルアップした幹部がみごとにやる気を失いネガティブな方向に進む組織や、いくら檄を飛ばしても、リーダーが信任されていないので、社員の協力を得られない組織、そして逆にリーダーが先頭に立って前に進んでいくものの、社員に能力のある者がいないので改革の進捗が遅い組織などがあり、仕事を進めていくうえで、さまざまな障害があります。
 
成功のために社員の受容を引き出し組織の活度を維持し高めていくためには、リーダーの情熱や組織をまとめる高いリーダーシップが必要となります。私はリーダーの情熱が人一倍であり、合目的的であれば、社員は力を発揮する筈だといつも考えています。
 
例えば、前述した「リーダーが先頭に立っても、改革の進捗が遅い」というケースは、リーダーの情熱が、社員の心底からの受容を獲得していないため、社員の力が発揮されなかったという考え方も成り立ちます。
 
まずはリーダーの強い情熱が必要であり、それが組織を動かす原動力になることは間違いがありません。そしてそれを受けて成果を挙げることへの喜びを感じることのできる社員の存在が必要です。
 
ただ、人が育つ組織は、まず一定程度の成果を挙げる集団がいて、彼らのなから人材が育成されるという実態があります。力ある社員が独りもいない組織からは、いくらリーダーが奮起したとしても、スタートを切るまでに多くの時間を要すると考えています。
 
「リーダーの情熱と社員の力量」が組織の活度を高めるといってもよいかもしれません。
 
いずれにしても、組織をけん引するリーダーの情熱が組織の運営及び成果獲得には不可欠です。リーダーの情熱の源泉はどこにあるのでしょうか。
 
長い間、「リーダーシップとは何か」が研究されてきましたが、早稲田大学大学院の入山教授は『リーダーシップ論の境地は、リーダーが自分のビジョンは何か、自分は何者で、何をして生きていくのかを一人ひとりが深く内省し、そのビジョンを啓蒙し合い、リーダーシップを発揮していくことなのだろう』(世界標準の経営学)と説明します。リーダーは情熱を失わないよう「自分は何者で、何をして生きていくのか」を常に問い続ける必要があります。
 
今の環境では絶対に日本の景気は回復しないといわれています。コロナではなく、それ以前から先が見えなかった日本。いずれ一度はすざましく悪化した経済環境を迎えることは明らかです。過去、懈怠のなかで積み上げてきたツケを払わなければならない時期が到来します。
 
ここから先、自分を自分たちで守らなければ、だれも助けてくれない時代になります。自分は、そして組織は何をしていかなければならないのかを考え行動しなければ、未曾有の危機に直面することは明らかです。
 
リーダーが情熱をもって自らの使命を果たすため、構成員とともに闘い続ける組織だけが存続し続けることを認識しなければなりません。
 
今、厳しい時代を乗越えるため、リーダーの覚醒、社員の自立と連携が求められています。
 
 
 

組織変革4つの領域とは

 

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組織における変革は、

  1. 個人
  2. 部署
  3. 部署間
  4. 組織

の4の領域で行われる必要があります。

 

一つ目は、個人で行える業務改革。自分が行動を変たりやり方を変えればできる改革です。どちらかというと業務改善といった感じでしょうか。自分の仕事の姿勢や態度、技術や技能、人間性、生き方などが改革の対象になります。なかなか自分の事を客観視できないため課題を発見しづらく、しかし変化しようと決意すれば、もっとも現状を変えやすい対象です。

とはいっても個人の覚醒だけに依存することなく、組織としても個人をどのように評価し、能動性を喚起しながら期待値まで引き上げていく仕組みづくりが必要ですね。


そして二つ目は部署での業務改革です。部署のなかで話し合えば課題が明確になり、そこで役割分担をしながら何かを変えていくことができます。部署における問題点が把握できていて、皆の意思が疎通している、そして変えようという思いが強ければ改革が出来る領域です。リーダーの力量が試されますね。

三つめは部署間における業務改革です。これは部署間でやり方が異なったり、うまく連絡がとれない、何らかの理由で連携がとれない、というときにそれらを解決するものです。

この解決のためには、部署のなかで部署間に発生している課題を整理し、それをもって各部署の責任者がミーティングを繰り返し問題解決を行うことになります。部署間の衝突(コンフリクト)は、利害があり、なかなか解決できないことがあります。

 

組織の癖として、セクショナリズムや自己利益優先があるからです。同一組織において各部署が連携して仕事が成立する性格の組織構造、例えば購買、設計、製造、営業、事務等異なる職種が多いところにおいては、こうした傾向が顕著です。


なので、組織全体を俯瞰(高い所から見下ろし眺めること)して、何が正しく何が不適切なのかを判断しなければ、解決することができない領域です。

 

それぞれの部署に介入し、連絡や連携がうまく行えない理由、すなわち好き嫌い、業務フロー、ルール、文化、人員数、力量、力関係等から発生する問題を解決しなければ、変えられないテーマが多いようです。

そして四つ目ですが、これは組織で抱えている、どちらかというと戦略的な問題であり、制度を変えたり組織を変えたり、人員配置を変えたり、ルールやシステムを変えなければ解決できません。しかし、これはトップが介入し、指示をすれば比較的容易に解消することができます。

 

勿論、どの様な戦略を採用するかどうかについてはあるべき手順を踏んで対応しなければならないのは言うまでもありません。

 

しかし、組織がうまく機能しない問題に優先順位をつけ、その解決に執着して、必ず変えていこうと考えていさえすれば解決できる領域です。

 

なお、何かを変えなければならないときには、まずは現場に入り現状を正確に把握することが大事です。現場にこそトップの気付かない問題があるからです。組織にある問題はすべて現場に現れます。上から見ているだけでは分からない仔細な課題があるのです。

 

ただ、現場の問題だけをみていると本質に辿りつけません。その発生原因がどこにあるのか、一段上にあがって組織環境全体を見渡し探ることも重要です。解決しなければならない問題も見えてきます。常に内外情報を収集し、俯瞰しまた凝視できれば、自ずと解決策は見えてきますね。

 

現場にある問題を4つの領域に分類し、トップマネジメントが決定した方向や戦略を基礎として、どうあるべきかの答えをもちます。上記4つの領域においてそれらの阻害要因となる問題の所在や原因を掌握したのち、個々や全体としての対応を行うことで、適切な方向に舵を切り組織をしっかりとマネジメントできると考えています。

 

京都タワーの展望台から下をみたときに、下を歩いていたのでは気が付かない、様々なことを知るとともに、あれこれと想いを馳せることができたのでした。

 

俯瞰と凝視からの変革の4つの領域、とても大切ですね。

的確な行動のために

 

 

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ある対象は、すべて定性的か定量的かで認識され測定されます。

 

定性的とは「対象の質的な側面に注目する」ということで、また定量的とは「対象の量的な側面に注目する」という意味で使われています。

 

仕事においては、できるだけ指示や目標設定は定量的に行わなければなりません。

 

例えば「この仕事をしておいてね」という言い方と、「この仕事を30分で、100%終わらせてね」というのでは指示を受けた者の行動が変わります。

 

もちろん、その場合、指示を出す者の見立てにより、必要に応じて手法についてのアドバイスを行うことが多いと思います。

 

指示した者に求められる能力があり、例えば彼ならほぼ20分で終わるだろうとの予測がなければなりません。出来もしない時間を提示しても意味がないですよね。

 

そのうえで指示をされた者が仕事を行う目的や方法を納得して、これは30分でできるな、と受け容れて仕事をすれば確実に成果は上がります。

 

時間内にできなければ、その理由を分析し、次に努力するに違いありません。少なくとも指示側とともに、できなかった原因を分析できます。

 

指示の出し方により、期待する質を担保したうえでその時間が基準となり、成果や仕事の質向上に影響を及ぼすのです。

 

そもそも企業の経営資源はヒト、時間、情報、モノ、カネですが、そのなかでもっとも大切なものがヒト。そのパフォーマンスは質と時間により常に測定されなければなりません。時間軸での思考をもって行動したり、指示を出すことがいかに大切なのかについて、まだよく理解していない中間管理職が多くいると考えています。

 

例えばビジネスホテルで利用客が減っているとします。「宿泊売上が減っているので、営業をかけよう」と指示を出すのと、「今月は利用客が昨年同月対比で12%減少している。それはネット代理店からの申込みが8%、自社HPからの申込みが2%、直接電話での申込みが2%減少していることによる。まずは企画室を中心として課題発見と解決策を検討、経路別の戦略を1週間以内に立て集客プロジェクトをつくり、1日の申込みを30件増加させる行動を開始しよう。成果を挙げる期日は3週間以内。さ、頑張ろう」というのでは、仕事の精度が明らかに異なります。

 

極端な事例ですが、はじめの「現場丸投げ指示」であれば焦点を絞り切れず、現場は余計な行動をとる愚を犯しかねません。

 

物事を数字で表し、数字を使い仕事をしていくことで納得性や成果が高まることは明らかです。

 

もちろん、人は機械ではないので考え方や理解、能力や得意不得意、性格、その時点の体調、環境が異なります。指示を出す上司は、仕事の質量と部下の属性や定性情報を斟酌し指示を出さなければなりません。しかし指示そのものには数字により測定できる成果を求める必要があります。

 

どの業種でも同じではありますが、時間にしても戦略行動にしても、数字をどのように扱うのかについての思考がなければ、あるべき経営はおぼつかないと認識することが必要です。

 

なお、KPI(重要成功指標)が日常化されていますが、KPIがうまく設定されていないことも多くあります。先ほどの例でいえば。30人/日増はKPIではなく、KGI(ゴール)です。

 

例えば営業する代理店の件数や頻度、有効面談回数、親密度がKPIですし、またネット集客であればPV(ページビュー)、CVR(コンバージョン率)、CPA(投資可能な広告費)等がKPIですよね。

 

成果を適切に把握し、的確な行動を行うための指標の設定が求められています。ゴール→成功要因→行動基準→重要成功指標→行動→成果→分析が必要ですね。

 

なお、定性情報を蔑ろにはできません。人の感覚や感性による情報収集力をみくびれないからです。なので指示を受ける側の環境整備や彼らの事情を掌握し機敏に適切な対応を行う事も忘れてはなりません。定性情報をうまく活用しながら定量的に指示を出すし、行動すること。大切ですね。

 

リーダーシップの巧拙が問われます。

経営方針の明示と受容行動

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目標をもつことで組織は成果を挙げられます。目標のない組織はありえません。


組織目標は、経営方針やそれを基礎として立案された事業計画、そして事業計画達成のためのアクションプランにより設定されます。

 

簡単に言えば、マーケティングを行いSWOT分析等を経て戦略を決め、経営方針としたうえで事業計画や行動計画に落とし込むといった具合です。

 

これらのながれのない直感的かつ計画性のない頭の中だけにある目標に基づく行動は、求める成果を挙げられない可能性があります。

 

 1.目先のことに捕らわれた課題の解決になりがち

    2.組織一丸での行動が取れない

    3.行動しなくても誰にも咎められない

ことがあるからです。


ここで経営方針は、「闘いに勝つための経営目標(戦略)」を定量化、定性化し、文章により具体的に示したものです。
 
組織内外の分析を通じ、リーダーが決定した経営方針を提示し、事業計画により具体的な数値目標を設定することで、組織は活き活きとなり、組織構成員は持てる力を発揮できます。

 

経営方針のない事業計画は単なる利益計画であり、また、事業計画のない経営方針も実効性に欠けます。リーダーだけが目標をもっていたとしても組織に経営方針を明示しなければ経営方針はないのと同じです。

 

組織構成員は、日々のルーチン業務は行えるものの、将来に向けて組織の進む方向や具体的な手段や手法がわからず、多くの場合、言われたことだけをするだけの仕事が繰り返されることになります。

 

業種や規模、組織構成員の属性にも影響を受けますが、率先して「これをやるべきです、やりましょう」という的を得た戦略的な提案を行える者はそれほど多くはありません。

 

繰り返しになりますが、「何も知らされていない、あるいは具体的に提示されていないなかで何かをする」のでは、期待する成果を上げることはできる筈はありません。


組織が、誰のために(Whom)なぜ(Why)、誰が(Who)、何を(What)、いつまでに(When)、どのように(How to)、いくらで(How much)仕事をしてもらうのか5W2Hをはっきりと組織構成員に明示することが重要だとわかります。

 

ところで、人が何かを行うとき、「知って何かを行う」だけのときよりも、「理解して何かを行う」ときのほうが成果あがるといわれています。


あることを行うときに、何もわからず作業をするのと、理由や目的がわかり、どのようにすればよいのかを把握して作業をするのでは、後者が成果を上げやすいのは当然です。


さらに、この仕事は自分の仕事であると「受容して何かを行う」ときにはさらに成果のレベルが上がります。自分しかその役割を担うものはいない、自分の使命だ、という思いは責任感を生み、より高い質で仕事の成果を挙げることにつながるのです。

 

そのための的確なリーダーシップによる仕組みづくりや教育、個々人の属性や能力、期待や思いに合わせたコミットメント(約束)システムの活用、ガバナンスが望まれます。

 

組織運営には、「経営方針が明示され、それが受容れられなければ、適切な組織行動はとれない」というセオリーがあることを、リーダーはしっかりと認識しておく必要があります。

 


 

営業キャッシュフローとは

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先日、ある組織で、簡単な財務のレクチャーを行いました。そのなかの一つキャッシュフローについての資料です。

『キャッシュフロー(cash flow、現金流量)とは、お金の流れを意味し、主に、組織活動によって実際に得られた収入から外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れのことをいう。現金収支を原則として把握するため、将来的に入る予定の利益に関しては含まれない。

「損益は意見であり、現金は事実である」という言葉がある。損益は会計処理により異なるが現金は常に変わらないことをいっている。基本的には、利益がでていても、

  1. 支払いが早い(できるだけ支払いは遅く=ただ、誰も物を売ってくれなくなる危険がある) 
  2. 在庫が多い(できるだけ在庫はもたない=JIT=ジャストインタイムの実施)
  3. 回収が遅い(売掛金が回収できなければ致命的)

といったことによりキャッシュは減少する。粉飾している以外では多くのケースで黒字倒産が起こる理由はここにある。


キャッシュフロー会計(cash flow accounting)とは、組織の経営成績を現金・預金の増減をもとに明らかにするという会計手法のことである。

  1. 営業キャッシュフロー(営業活動により、キャッシュをどれだけ獲得したのか)
  2. 投資キャッシュフロー(投資活動により、どれだけキャッシュを使ったのか。営業活動以外での資産に関わる全ての資金の動きを示す。主に固定資産の取得や資金の貸付による資金の増減、他社への資本投資に関して記載する。
  3. 財務キャッシュフロー(財務活動により、どれだけキャッシュを確保したのか。主に借入金による調達や返済の増減や、自社の株や債権に関する発行益・配当金支払・買戻・返済などを記載する)

の3点からキャッシュフローを検討する。


 キャッシュフロー計算書により様々な情報を入手することができる。その内容を検討することにより、企業活動について、以下が理解できるようになる。

  1. 資金の源泉がどこにあるのか
  2. 事業でのキャッシュ(営業キャッシュを生み出す力はどれだけあるのか
  3. 投資活動は営業で稼いだキャッシュの範囲で行っているのか
  4. 金融機関からの調達が過多になっていないか

がそれら。とりわけ2.が最も大切。表向き資金繰りがうまくいっていても、営業キャッシュフローがマイナスでは事業は立ち行かない。営業キャッシュフローの源泉は利益。顧客から評価され、利益を出すことが事業の最終目標であり、ここを忘れてはならない。


なお、海外ではキャッシュフロー会計にもとづくキャッシュフロー計算書(Cash flow statement, C/F)の作成が組織に義務付けられているし、日本でも、1999年度からは、上場企業は財務諸表の一つとしてキャッシュフロー計算書を作成することが法律上義務付けられている。

 

なお、フリーキャッシュフローの概念がある。フリーキャッシュフローとは、企業が本来の事業活動によって生み出すキャッシュフローのことをいう。ここで「フリー」とは、企業が資金の提供者(金融機関や社債権者のような負債の提供者、及び株主である資本の提供者)に対して自由(フリー)に分配できるキャッシュという意味。企業はこのフリーキャッシュフローを原資として、債権者に金利を支払ったり、債務の償還を行い、あるいは株主に配当を支払ったり、株式の消却を行うことになる』


社会人は損益やキャッシュフローについての学習が必要ですね。

 

ところで組織戦略や財務マネジメントと、現場を束ねるマネジメントがあってはじめて経営は成り立ちます。現場だけではなく組織戦略や財務マネジメントにも力を注ぐ必要がある理由です。


経営資源を最適化して、もっともよい組み合わせで成果をあげていかなければならないからです。右肩上がりから右肩下がりの時代には、とことん合理性をもった経営をしなければなりません。これは効率よくということではなく、質を上げるということです。

「質が高ければコストは低い」という趣旨のことをポーターが言っていますがその通りです。

現場をとりまとめるマネジメントの質が高ければ、間違いなく現場の質も向上し、質が高く無駄のない、必要十分な経営が行われるという仮説です。

 

これはボスコンの経験曲線の理論とも符合します。「ある製品の累積生産量が増加していくと、単位当たりのコストが一定の割合で低下していく」経験則のことです。

 

この背景には明確な戦略と現場マネジメントにより、

  1. 人の定着率を高め、
  2. 個人の技術技術の向上や仕事の仕組の恒常的な見直しなど、
  3. 日々の業務を円滑な推進による環境整備を行う

といった前提があります。

 

たくさんの組織に訪問して、それが事実であることを見る機会が多くあります。人間的にも尊敬できる経営幹部、そして信頼し合う情熱に燃えたスタッフの存在が、結果といして仕事の質を高め、コストを引下げ利益を出し営業キャッシュフローを増加させます。

組織マネジメントのロジックのうちキャッシュフローはそのなかのほんの小さな一部ですが奥が深いので、これからも掘下げていきたいと思います。

 

コミュニケーションのうまい取り方、4つのポイント

  

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コミュニケーションとは、複数の主体が情報を伝え合い、やりとりを行うなかで相互に理解し共感することをいいます。もちろん、それぞれのコミュニケーションの目的を達成しなければ意味がありません。

 

ところで、コミュニケーションは言語を中心として行われますが、言葉以外にも表情や態度、動作を以てこれを行う(ノンバーバル[=非言語]コミュニケーション)ことも一般的です。

 

しかし、動物のなかで人が高い進化を遂げた理由は、言うまでもなく人には言語があったから。言葉や文字を使うことで深い思考ができたり、より繊細な情報提供や意思疎通を行えたからです。

 

なので、ノンバーバルコミュニケーションを排除するわけではありませんが、コミュニケーションの基本は、やはり言葉や文字(バーバル[=言語]コミュニケーション)であり、それらをうまく使うことが関係を活性化し相互に成果を挙げるポイントであることは明らかです。  

 

コミュニケーションの目的を明らかにできたら、まずは、人間同士がやり取りを行うので「気遣いができているかどうか」常に考え注意して対応しなければなりません。ここを誤ると何を伝えても受容れられない可能性があります。日常から

  • 他者との適切な距離感をもつことや
  • 相手の立場への配慮、
  • 言葉の使い方、
  • 謙虚であること
  • 信頼を得ること

に留意しなければなりません。これら一つ一つ説明したいですが、次回に譲ります。

 

さて、次に大切なことは「タイミング」です。「今とらなければならない」というときにコミュニケーションを行わないと成果が半減します。

 

例えば、朝礼は一日のスタートを迎える朝だから意味があるし、終礼も一日の業務がひと段落つくので行われる意味があります。日々の仕事の指示もタイミングよく出さなければならないし、イベントの一つである経営方針発表は、事業年度開始数ヶ月前に行われなければ行動計画化できず・成果を挙げづらくなります。

 

また、リスクマネジメントはアクシデントやインシデントを発見した瞬間に現場チェック、そして遅滞なく原因の特定、対策立案が行われなければ、緊張感を持てず、事故抑止の効果は薄れてしまいます。

 

日々の会話も同じですね。コミュニケーションには今だ、というタイミング凄く大事ですね。

 

そのうえで、コミュニケーションには「適切な伝え方」が大切です。

例えばある時には結論から話し理由を説明する、場面によっては理由から結論を、またケースによっては起承転結などの一定のルールに基づき、適切な話し方で話をしたり、文章を書くこと、加えてその場に合った態度や仕草、そして笑顔や相手を受容れる姿勢をとらなければなりません(ノンバーバルの出番ありましたね)。

 

 ここに、コミュニケーションをうまく取るためには、

  1. 気遣いを忘れず、
  2. 伝えたいことを明確にしたうえで、
  3. 伝えるタイミングを誤らず、
  4. 適切に伝える

ことが必要とわかります。

 

これらに意識して、コミュニケ―ションを行えば、必ずよい結果を得られます。当たり前のようですが、なかなか徹底できていないですよね。少し大げさではありますが、「コミュニケーションは、それを取ろうとする人達の生き方に依存する全人格的な行い」と言えるかもしれませんね。

 

ここでいうコミュニケーションのうまい取り方、4つのポイントを肝に銘じ、原点に戻ってしっかりとコミュニケーションをとっていきたいものです。