よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

挑戦する未来

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日々の仕事や趣味、家庭や社会での役割を果たすため、人は意識するかしないかに関わらず、またそのことの大小によらず、常に何かに取り組んでいます。それは他律的なことも自律的なこともあります。何もせずただ生きるのはとても難しいですよね。

 

仕事でいえば、毎日繰り返すルーチン業務もあるし、新しく行う業務もあります。

 

しかし、意識の持ち方により取り組みを行った成果は変わります。ここでいう意識は「挑戦する」という意識です。何かの目的のために挑戦する意識を持つか持たないかにより結果が大きく異なるのです。

 

ルーチンへの取り組みにおいても、仕事の進め方をもっとうまく、はやく、合理的に行えるよう挑戦してみようと思えば、日々の新たな工夫や改善の気づきも得られ今までにない仕事ができるし、新規業務であれば、求められる成果を超えて高い成果を挙げよう、これを機会として多くのことを習得しようと挑戦すれば、従来にも増してあれこれ考え効果的に学習したり誰かに頭を下げ、教えを乞いながら取り組んでよい結果を出せる可能性が高くなります。

 

挑戦は、達成が難しいと思われる困難な事柄や記録の更新などに敢えて立ち向かうことをいいます。ここで挑戦するために検討すべき以下のことが思い浮かびます。

  1. なぜやるのか(Why)
  2. どのようにやるのか(How)
  3. なにをやるの(What)

がそれらです。

 

もちろん何かを行うときには、やる理由、やること、やり方を考えて行動はします。しかし通常の取り組みと挑戦の差は「やる理由」にあります。

 

なぜそれをやるのかの実態として「挑戦」には、

  • 自分を超えて、今までできなかったことをなんとしてでもできるようになりたい
  • 何かを確実に変えたい

という情熱や強い思い、信念があります。それらが自分を奮い立たせてくれるのは言うに及ばず思いもよらない力を発揮できるし、それらによって他者が感化され期待以上の支援を得られます。

 

情熱や強い思い、信念が(脳のシグナル伝達などの神経活動に関わる接合部位と、その構造である)シナプスを突き動かして潜在能力を開発し、そのプロセスや行動の結果が周囲に伝播して人々を鼓舞するからです。

 

情熱や強い思い、信念に満たされた人の挑戦は、自分の何かを変えるだけではなく、周りの人々までを突き動かし、思い以上の何かを創り出す可能性を秘めた行動であることが分かります。

 

挑戦を始めるきっかけは、環境であったり自分の生き方、生き様であったりします。しかし、どのようなきっかけであるにしても人生の辞書から挑戦のニ文字を削除してはなりません。自分の人生は自分でしか創れないし誰も助けてくれないからです。

 

自ら行動したプロセスや帰結のなかで、多くの人と交わり多面的に評価されて、始めて相互関係や支援が生まれます。

 

まずは自分がどうあるべきかを考え、情熱や強い思いをもてる何かを掴み挑戦することで自分を変えて自信を付け、さらに自分を高めるために挑戦し執着して決めたことを成し遂げる。その連続により自立し成長し続けることが人生であり、思い通りの未来を引き寄せることができます。

 

想像だにしない挫折も蹉跌もあるでしょう。煩悩に抱かれた人は完璧に行動しようとしても、そうできない生き物だからです。   

 

しかし、挑戦による自立、そのうえでの他者との連携による相互関係のなかで、さらに自分を創りあげる活動を継続すること、挑戦することでしか後悔をぬぐい切れないと知る必要があります。

 

人生の階段をただ漫然と上がっていくのではなく、日々のすべてが挑戦と捉え目力のある45°目線で行動しなければなりません。

 

例え、何に挑戦するのかを考えあぐね、苦しみながら、やっと挑戦する何かを見つけた人であったとしても挑戦を続けることが大切です。

 

世界が大きく変わろうとしている今、「挑戦を心にしっかりと抱きながら未来を目指す人々」が増えれば増えるほど、日本も大きく発展していけると私は考えています。 

 

新しい年を迎えたいま、皆で小さな一歩を踏み出して行きましょう。我々の輝かしい未来を創りあげるために。

 

 

時間外管理について

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知的労働集約的産業である医療においては生産性を上げることができなければ、より高い成果をあげることができません。いっぱいいっぱいの体制で医療を進めているのであれば、現状をより生産性の高いもととしていかなければ新しいことができないのは明白です。

 

従来業務を短い時間で提供できれば、余裕が生まれ自動的に一定の時間内での患者に対し提供する医療の質の絶対値は拡大します。

 

これは一単位(時間)当りの成果を拡大することをいっています。とりもなおさず医療の質向上の結果であり、生産性をあげるためには医療の質を高めてなければならないということが理解できます。生産性向上=医療の質の向上というロジックです。

 

一方で、このことは効率が向上したともいえます。一単位当りの成果の算出量が増加すれば、ある生産量を得るためのコストは低減するからです。

 

生産性向上を考えるときに最も身近なテーマは残業(時間外労働)です。時間外の管理を行うことは、初期の目標を達成しつつ時間を所定の範囲に抑えること、そしてそのための業務改革を誘導することを目的としています。

 

時間外労働を行なうときには、なぜそれが必要なのかを明確にします。

  1. 何をしたいのか
  2. それは時間外で行う緊急性があるのか
  3. 重要度はどうか
  4. 時間内にできないか
  5. できない理由は何か
  6. どうすれば時間内にできるようになるのか

を考え、仕事の仕組みの見直し、個人の技術技能向上のための取り組みを行うことが求められています。

 

なお、ある業務を時間内にできない理由は多様です。日々の業務に

  1. 優先順位をつけ
  2. 段取りを行い、
  3. 業務を行うに必要な環境整備や
  4. 評価・教育を行い、
  5. 適切な役割分担を行い
  6. スケジュール通りに行動する

ことで問題解決を行うことが一般的です。

 

1-6の個々の項目は奥深く掘り下げた議論が必要ですが、計画的に行動する訓練を行うことで日常発生する課題を円滑にさばけるようになると考えています。

 

一定の残業代を給与の一部として考え、削ることができない職員もいると思いますが、付加価値業務を時間内で行える能力向上や成果の評価は業績給(賞与)で、また能力給により給与を補うことで問題は解決します。

 

時間外労働の削減による職員の所得減少の不安をなくしつつ働き方改革を行い、標準化、簡素化、廃止、移管、外注化等日々の業務の改善による生産性向上も並行して行う、といった組織の質を高めるマネジメントが求められています。

 

 

仕事をやりきり花を咲かせよう

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仕事にはやらなければならないことと、やりたいことがあります。やりたいこと=やらなければならないことと意識することもありますが、ここではやらなければならないことは、自分の思いに関わらず「仕事としてやらざるを得ないこと」と定義します。

 

やりたいこと=「その時点で好きなこと」とするのが適当です。好きなことは得意なこともあるし、今はまだまだ「納得する得意なこと」ではないけれど、得意になりたいことでもあります。

 

そもそも「好きこそものの上手なれ」と言われるように、好きなことは上達しやすいことから考えれば、好きなこと、興味のあることは上手くなる、得意になるという流れがあります。

 

あまり好きではなかったけれど、何かを繰り返し行うことでいろいろなことが見えるようになり、楽しく取り組めたり、うまく、早くできるよう(得意)になったのを皆から認められ、小さな達成感や自信をもち、その何かを好きになることもあります。

 

なので、仕事では多くのことに興味をもち比較的好きなことを繰り返し行うことで、あることに精通し得意になるよう行動することがお勧めです。

 

仕事としてやらなければならないことから、やりたいことが生まれるのはそんなときですね。

 

やらなければならないことがやりたいことと一致することで、仕事からやりがいが生まれます。どんどん力が付くのが分かるから面白くて楽しい、益々頑張る、さらに仕事が出来るようになります。

 

工夫や改善を繰り返しながら、懸命に次々に他律的、自律的に決めた目標をクリアーし、気づくと以前より、うまく、早く、そして安く(合理的に)仕事ができていた状況になればしめたものです。

 

まさに「経験を積むにしたがって物事に習熟し精通するので、経験を重ねた人はより効果的・効率的に何かを行える」という経験曲線の理論に当てはまります。経験曲線の背景には、きっと「好きこそものの上手なれ」もあるんですね。

 

好きなやりたいことを仕事に選び、やらなければならないことがやりたいことと始めから一致している人も、やりたいこともなく気乗りしないままやらなければならないことをやっている間に、自然とそのことが得意になり好きになって、やりたいことになった人でも結果は同じです。

 

自立するために、仕事ではできるだけやりたいこととやらなければならないことが一致するよう意識をもち、仕事に取り組む必要がありそうです。

 

好きなやりたいことを仕事に選ぶのは難しく、また始めにこれが好きでやりたい、ということがあったとしても、それらはそれまでの狭い経験のなかで見つけたものである可能性もあります。仕事をしていくなかで未知の経験を積み「これ、もしかしたら好きかも」と感じることが出てくることは多いし、そもそも目まぐるしく変化する時代に一つのテーマにだけ固執することもどうなのかとも思います。 

 

過去の経験を活かしながらも新たな興味を見つけ、多様な取り組みを行うことができれば、仕事の幅を広げつつ自らを成長させられます。

 

始めは何か一つ得意分野をつくろう、それは仕事をしながら見つけようと考え、そこから自分づくりを行なうことが自然です。後にそれまでの得意なことを武器にさらに多くのことに興味をもち、そのなかからやりたい何かを見つけ深堀する。そのときには徹底的に執着し自分のものにしていくことが有効です。

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我々が開発した分類WHO(Want-Have to Operation=やりたい・やらなければならないの作用=フ―)では、やらなければならないことH、やりたいことWとし、また、やりきれてないときは小、やりきったときを大として得られる作用を、

H小・M小→枝(不満足)

H小・M大→五分咲き(主観的満足)

H大、M小→一枝の花(客観的満足)

H大・M大→満開(満足)

としています。

 

図にあるように、やりたいことが出来ていないのにやらなければならないことが出来て成果を挙げ、よくやったねーと褒められ(評価され承認され)、(一枝の)花を持たせてもらっても、いやまだ自分のやりたいことができていないのに、といった主観的な満足をしきれていない仕事は、自分で花を咲かせた訳ではないので本当の達成感は得られていません。

 

やらなければならないこととやりたいことの相関関係のなかで、両者をやりきることで仕事を価値あるものにできるし、満開に花を咲かせ人生を謳歌できると考えています。

 

まずは客観的な達成感や承認よりも、主観的な達成感を得て五分咲きでいったん満足し、その後やらなければならないことを成し遂げ、社会人として求められる客観的な評価を得て承認され、満開の達成感を得ることを最大の喜びに仕事をしていければ、高い成果を挙げられます。

 

今どこにいるのだろう、どうすれば自分を高め、やりたいことをやりながら、やらなからばならないことを出来るようになるのだろうと考え精進して得意分野をつくれば、やりたいことができるようになるのは間違いありません。

 

その力を持って他者と連携しながら組織が求める役割をバリバリ果たす。こんな楽しい事は他にないでしょう。企業からみても、そうした自立した社員をどれだけ育成できるかが重要なマネジメントの一つになります。

 

企業も社員も、やらなければならないこととやりたいことの相関関係を常に意識し、社員は自分はいったい何者なんだろう(Who am I?)と、WHOの作用を思い描きながら行動することが求められているのです。

 

 

 

やらなければならないことと、やりたいこと

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気の乗らないことであっても、必要に応じてやらなければならないことがあります。

 

「人の時間は限られているので、仕事は取捨選択しろ。いわんや気の乗らないことはやる必要はない。できませんと断るのは容易であり、言われたことをすべて引き受けない。そのことにより人はあなたのことをダメな奴と思わない。断り続けていれば信のある人と思われるだろう」といった暴論を吐く人もいますがそれはありえません。

 

社会人として組織に属しているとき、相手から求められた依頼をすべて受容れて処理していかなければ「仕事ができない奴」という烙印を押され、誰からも相手にされなくなります。

 

どんなに好きではない、やりたくない仕事でもその目的を理解したうえで、よほどのことがない限り仕事を引き受け、緊急度や重要度により第三者を使うことも含めそれらをどのように捌いていくのかを考え、正確かつ迅速に処理していく能力をもつことが大切だと考えています。

 

プレッシャーの中で経験を積み重ね、失敗しながらも工夫し続けることで間違いなく力は付きます。始めは大変でも知らず知らずのうちに何なく処理できるようになっているのです。比較優位性のある得意分野もできてきます。

 

結果を出している間に「彼に依頼すればうまく処理してくれる」という信用が高い評価となり、信頼を得て徐々に重要な仕事も任せられるようになります。依頼される仕事の質は上がり、誰でもできる仕事の依頼はこなくなります。

 

仕事を依頼する側も仕事の重要度や困難性を理解したうえで、それを処理できそうな人に依頼をしてくるからです。

 

実力が分からないときには平気で「この書類ファイルしておいて」とか「コピーお願いね」と依頼していたのに、自分以外の誰かもその人を頼りにし忙しそうな状況がみえると、その人にしか出来ないどうしても依頼したい仕事に限り依頼するようになるのです。

 

誰かの役に立つためどんな仕事も引き受け、バリバリ処理できる能力やさらに上司や仲間、そして部下への仕事の振り方を身に着ければ、最も得をするのは自分だということに気づかなければなりません。

 

ただ、そのような人から好かれる自分になるためには、緊急度や重要度による仕事の湯銭順位づけのみならず、期日や質について依頼者との間での調整や再依頼するときのコントロールをうまく行うといった能力、そして段取りや時間の使い方、人間力やコミュニケーション力を身に着けなければなりません。

 

例えば、依頼者とネゴしたいくつもの案件を一定期間ですべて処理しなければならないとき、緊急度の高いものから手を付けるとして、すべての案件完成度を管理可能時間の8割で合格点の70%まで仕上げ、残りの2割の時間で重要度の高い案件のレベルをできる限り上げて高点数を狙う時間配分を行うことや、そのなかで再依頼を行えるネットワークづくりも怠れません。

 

また、いざというときに、この人ならと作業を手伝ってくれる第三者のために仕事の10%の時間を割き、汗をかくことを日常にするなどの取り組みを欠かせません。

 

自立して力をつけ、常に進歩し進化しつづけることで他者から求められる人になり、組織内外での連携を行いながら彼らに応えていくことが成果を挙げる近道です。

 

ここで、「やりたいこと」が仕事のなかでできれば、仕事はより一層やりがいのあるものになります。「やらなければならないこと」のなかから「やりたいこと」が見つかることもあります。「やりたいこと」が「やらなければならないこと」のなかでできるようになれば、組織目標と自分の進む方向が一致し、組織の成果を自分や仲間との達成感とすることができます。

 

組織発展と自らの成長が一体化するのです。仕事と人生が重なる瞬間に身を置き続ける喜びは何ものにも代えられない感覚です。

 

依頼された仕事を効果的に捌く力を付けられるよう自立し一日一日を大切に生きることが社会人の仕事に対する基本姿勢であると考えています。

タイムマネジメントの本質

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以前タイムマネジメントのレクチャーを行いました。

 

高い生産性を以て仕事を進めるために、

  1. 時間を軸として
  2. 自分と
  3. 他人との関係をつくりだす
  4. 仕事を円滑に行い
  5. 余裕をつくり付加価値業務に時間を割く

ことがタイムマネジメントを行う目的です。

 

  1. 組織の仕事を棚卸をしてリストをつくる
  2. 1日の単位の仕事の質と量を把握する
  3. 自分がやるもの、上司に支援してもらうもの、部下に指示するものを区別する
  4. 自分の仕事を重要なもの緊急なものと、そうではないものに区分する
  5. 4に従い、できるだけ重要かつ緊急な仕事から片付ける
  6. 空いた時間に付加価値業務を行う

といったことが具体的な方法になります。

 

  1. 1ヶ月、1週間、1日に明確な組織達成目標がある
  2. チーム及び個人の計画が立てられている
  3. 限られた時間で協力して実行
  4. できているかどうかを常にチェック
  5. 行動(もしくは計画)の修正を行い、次に活かす

行動をとる必要があります。

 

詳細にいえば、

  1. 全体の仕事質量の掌握(緊急事態も想定)
  2. 仕事の合理的な割り振り
  3. 自己の確立
  4. 他者の特性の把握
  5. 他者との関係の明確化
  6. 体調管理
  7. 自分の時間コントロール
  8. 相手の尊重(及び調整)
  9. チームワークに対する強い意識
  10. 責任者による全体の進捗管理

となります。

 

事例として、

(Aさん)

朝、なにげなく病棟に入り、あまり考えずに、ながれに乗って仕事をし始めた。

 

(Bさん)

受持ち患者に実施すべき事項を整理し、頭のなかで自分の行うべきことを計画した。今週中に在庫の整理やリスクの課題を整理しなければならなかったので、今日やるべきことを決めた。また、夕方1時間委員会に参加する前に処理しなければならない入力をすべて完了するための時間を考慮。全体として必ず行わなければならないことと最悪、明日に回してもよいものの区別をつけた。

 

(Aさん)

自分なりに計画をして、調子よくこなしていたが、患者家族から、相談があるということで、突然呼び止められた。計画をタイトにつくっていたので、その後の計画がぼろぼろになった。

 

(Bさん)

日々の計画を立案するときには、必ず1日1時間だけは、余裕時間をつくるよう段取りをして、突然仕事があっても、それをクリヤーできるようコントロールしている。また、部下の能力と部下の当日の仕事量を把握しておき、何かあったら、自分の仕事を部下に任せられるよう、部下には予め、説明をしておくよう心掛けている。

 

(Aさん)

他部署のYさんから、今日は病院機能評価のための準備をするから、1時間ほど時間が欲しいという突然の話があった。そんな「余裕がある訳ないでしょう」とピッチを切った。

 

(Bさん)

管理者会議で、来月各部に依頼する事項をすべて討議。また、現場で起こっているコンフリクト(衝突)の調整を行う。他部署との関係で、困っていることを発表するとともに、業務のすみわけや、協力関係について討議。もちろん、会議の前には事前に議題が提示され、決めた時間の範囲内で、全員が発言。議長がうまく意見を集約して結論を出す。出した結論は、必ず期日までに実行し、チェックされる。このやり方に職員全員が慣れてきた。

 

などなど、さらにたくさんのタイムマネジメントができていない人の事例があります。もちろん、上記でいえば、Aさんがうまくできていない職員であることはいうまでもありません。

ここでは少し端折っていますが、

  1. 自分のできる範囲のコントロール
  2. チームワークにより、職場の仕事の円滑化に貢献する
  3. 常に病院全体としての制度や仕事の仕組みへの提案
  4. 力を付けて、いままでの仕事をできるだけ迅速かつ合目的的に行う
  5. 時間をつくって病院機能評価へ振り向ける

といったことを説明しました。

 

結局のところ、タイムマネジメントとは、仕事の仕組みや個人の技術技能を充足、進化させながら、時間をうまくつかうということであり、技術的には、優先順位づけや、段取り、計画性、正確性や迅速性、自立性や思いやりの気持ちをもつなど他者への配慮、円滑な連携(以上自立と連携)が組織で自分を活かす重要なポイントであるのを忘れてはなりません。

 

タイムマネジメントをうまく行える人になるために、日々活動していきたいと私も思っています。

 

写真は新橋駅のプラットホームから機関車広場をみたものです。時間がくるとライトがつき汽笛を鳴らして時を告げます。とてもきれいですが汽車が動き始めると、また時が過ぎ去っていくのだということを肌で感じることができます。

タイムマネジメントの前提について

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働き方改革が行われるなか、タイムマネジメントがはやりです。時間をコントロールするための仕組みづくりや個人の能力向上により生産性をあげることで、同じ仕事を短い時間で、あるいは同じ時間でより付加価値の高い仕事を行うことを目指します。
 
なので、タイムマネジメントを行うためには、組織で仕事のながれが明確になっている必要があります。仕組みができていないときに、うまく自分や組織をコントロールすることはとても難しく、結局は各人が都度工夫しバラバラに行動しなければならないからです。

前提として以下が有効です。
  1. 職務分掌がある
  2. 業務の棚卸しによる業務の範囲の決定がなされている
  3. 職務基準による一つ一つの課業の達成レベル決定されている
  4. 業務フローや手順が標準化されている
  5. 目標が明確
  6. 部下の能力の把握ができている
  7. 他部署との良好な関係がある

タイムマネジメントを行うための手順は、簡単に言えば以下の通りです。
  1. 仕事の質と量の把握
  2. リミットの認識と能力及び時間の推定
  3. 優先順位づけ
  4. 段取り(≒準備)
  5. PDCAサイクルの管理
  6. 飛び込み仕事の取扱い

これらをしっかりと整理し、その内容を充実させることにより、タイムマネジメントの実質的成果を得ることができます。  

さまざまな組織で、タイムマネジメントの実際の導入を行っていますが、短期的に成果をあげられる部分と、仕組みづくりに時間をかけなければならない部分があり、短期間に「想定される最大のメリット」を享受することは困難です。

しかし、どこかでスタートしなければ永遠に成果を得られません。必要とされる仕組みづくりをスタートすることが大事です。
 
なお、プライベートでもタイムマネジメントは使えます。仕事の時は時間をうまく使えるけれど、プライベートではからきしダメという事はありえません。逆に普段から自分の時間を有効に使える人だからこそ組織の中でも同じことができる、といった方が自然ですよね。
 
短い人生を有効に使うためにも、公私を問わずタイムマネジメントの考え方に習熟することが有効です。

現場で成果を挙げるマネジメントISM(イズム)

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このブログでよく話題になる不動産・建設会社、ホテル経営を行う会社の社長と本日ミーティングをしたときの出来事です。

 

社長は、建設現場で(土を掘削したり運ぶなどして地形を整える基礎的な作業を行う)土工の6名の社員に、(ねじ切りからの)配管工事や内装の壁紙張りを教え始め、ゆくゆくは杭打ちもできるようにすると話しました。また、熊本で購入したホテルの改修工事や造園を専門家に外注せず、自社の建設スタッフを本社のある関東やホテルがある別府から派遣して、開業迄に時間をかけても自社ですべて工事ができるように訓練しているとも。

 

それはコストを引き下げるという理由もありますが、社内にノウハウの蓄積を行うことや社員の自立を促すためいう結論です。

 

いわゆる多能工化を図ることのなかで、一人ひとりに役割や目標を設定し達成感を得てもらう、そして自信をつけて向上心をもち能動的に工夫を行い自ら成長できる社員になってもらいたいということでした。

 

また過去30年にわたり数百人の従業員を擁する企業グループをつくった社長が培った経営ノウハウを数名の本部スタッフにも教えるし、いくつかある営業所の所長にも独立採算の意識をもち仕事ができるよう従来以上にコスト管理や情報提供を行う、と話を続けました。

 

本部や営業所の社員一人ひとりの自立を促し、社員と会社がフラットな相互関係をつくり成果を挙げてほしいという思いが背景にあります。

 

いままでは言われたこともできない、もしくは言われたことしかできないという状況であったが、その状況を変えていきたい、後継者も育てたいという社長の思いが上記につながったといえます。

 

これはまさに、自立を促進する ISM(Independence Stage Management=イズム)の事例であり、ハンモック(リゾート)社員やベッド(ぬくぬく)社員、そしてチェアー(腰掛け)社員をスタンディング(自立)社員に変えていこうという試みそのものです(ISMの詳しい説明は別の記事を参照して下さい)。

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様子を聞くと社員は喜んで時間をとり自分のスキルを上げるために勉強しているとのことした。

 

過去多くの改革を行い事業拡大してきた彼等を惹きつける社長のリーダーシップが機能しているのは間違いがありません。

 

自立した社員を数多く輩出することを目的として課題解決によるステージ移動を行うためにコミットメントによる課題解決の目標化、解決支援を行う実践的な取り組みです。自立を促し連携を誘導するマネジメントISMは厳しい時代を乗り越えるための重要な企業戦略の一つです。

 

社員に成長の機会を与え、自信を付けて自分の立ち位置を変えてもらうために、このような取り組みが現場で多数行われ、成果を挙げていくことを期待しています。