よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

まじかよ医療費削減連続技(2)

先日ある病院でマニュアル委員会の方にレクチャーする機会がありました。

そこで医療環境がいかに悪化しているのか、そしてそれは自院にどのような影響があるのか、だからこうしなければ勝ち残っていけないという話をさせていただきました。当事者ではないものの、病院経営に大きな危機感をもっているからです。

しかし、反応は薄く、委員の方々の表情が変化しませんでした。びっくりしたのはこちらのほうです。
なぜ、現状が理解されていないんだろう、自分と無関係であるといった感じなんだろう、多くの疑問がわきます。

その病院の事務部長が、別の会でまた同じ話をされたそうです。それも管理者会議で。そうしたらやはり同じ反応であったそうです。事務部長は、「病院収益が2~5%減少するということは、皆さんに支払うべき原資がなくなることを意味しています」「給料もそれだけ減少するんですよ」「病院が多く淘汰されれば他に就職先を探すことも困難になるんですよ」とおっしゃったそうです。

それでみながはっと気がつき、これは頑張らなくてはという雰囲気がやっとできたということでしたが、
大丈夫でしょうか?皆さん。とりわけトップはこうした現状に対し、きちっと組織に説明し、現場スタッフをどう鼓舞し、やる気になってもらうのか、それは地域に貢献できる病院をつくりあげ、地域住民を診れる体制を維持拡大することだ、ということを受容してもらう必要があります。

いまの医療を維持できなくなることの悔しさ、口惜しさを実感できなければ、医療をただ続けていくことは空しい、空虚である、ということを理解し受け入れていただくことが必要です。なぜいま私たちは医療従事者なのか、なぜ医療従事者になったのかの原点をもう一度想起してもらうことが必要です。
患者さんのために、何をしていけるのか、といった思いの前提としてよりよい病院をつくりあげることに執着できる医師スタッフを多くつくりあげていくことが必要です。

来年は大きな病院間の差がみえてくる年であると考えます。