よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

わかりやすいリスクマネジメント(8)インシデント・アクシデントレポートⅠ

インシデント・アクシデントレポートはどのように作成される必要があるのかについて考える必要があります。レポートの記載条件は、発生事項、発見者、状況、レベル…等々さまざまな項目によってつくりあげられていますが、さらにそれらの内容についての検討を行なう必要があります。 

(1)網羅的
インシデント及びアクシデントがすべて報告されているのかがポイントです。漏れがあるかどうかについては、別途情報収集をしていくことが必要です。入院であれば、入院診療計画書のチェックを継続して実施することによって、退院予定日と実際の退院日の乖離がどの程度あるのか、乖離分析を行うなかにアクシデントの発生があるかどうかをチェックすることなどが一つの方法ですが、実際のところは、漏れている事実をすべて抽出することは困難です。

O病院ではインシデントはノートに記載して収集することになっているので、部署別に毎月100件程度あがってくるということでしたが、ここまでは無理にしても多くのインシデントを発見し、そこからオペレーション上の課題をピックアップすることは有効です。

(2)正確性
インシデント及びアクシデントを正しく表現しているのか、正しく問題を把握しているのかがポイントとなります。ここで正しく把握していなければ次に進むことはできません。

(3)分析力
分析が正しくなければ、どこに原因があるのかが理解できません。分析力を徹底してつくりあげていくことが必要です。分析力は総合力です。知識、経験といった部分についての総合的な力がなければ正しく分析を行うことはできません。

分析のためには、SHELL分析や根本分析法、4E4Mといった方法がありますが、結局は問題の本質を見抜く分析力があることが必要です。但し、M-SHELLについては、項目に問題を当てはめていくことからどうしても焦点が絞れない、散漫になるということをよく聴きます。
問題点は何であるのかについての分析力を養うことが肝要です(続く)。