よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

当たり前だが、事業は人により盛衰が決まる

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ビジネスモデルがしっかりしているために仕事がうまくいく事業があります。仕組みで利益がでるといわれるものです。

 

もちろん、その仕組みが一定の質を担保できなければ訴求されないので、人の力が必要でないわけではありません。

 

しかし、仕組みと人の力を比較すれば前者が後者を凌駕する仕事はたくさんあります。飲食などはこれに流行が加味され、仕事の成果が決まることもあります。健康食品もその傾向があるかもしれません。

 

ただ、ビジネスモデルだけで、ながく事業を続けることは困難です。そのときに守られている制度がなくなったり、世の中のながれが変われば事業は衰退するからです。

 

なので、多くの場合には優れた人がいて、その人がクリエイティビティをもち事業をつくり、それを仕組みに乗せて事業拡大するケースが、成果を挙げつづけることができます。

 

ビジネスモデルだけではなく、人による価値創造が成功要因となるのです。

 

医療はどうか。保険制度のなかでいくつかの診療科は、患者さえいればそれほど質が高くなくても収益を挙げていける領域もありますが、大半は質が求められ、患者の効用を高めます。

 

医師の力、そして影で支えるスタッフの医療の質、そしてそれらを支援する優れた仕組みが仕事を価値を上げます。

 

先日ある大学教授がアメリカの医療を視察されました。病院でAIに基づく診断が行われ、医師はエンターキーを押してPCの出した結果を承認するだけよい、グッジョブと表示される。

 

医師の経験や知識、知見をコンピューターが超えるのは当然でそういう時代も間近にある。自分はグッジョブはいやだけど仕方ないと話されていましたが、仕組みは変わっても、医師が軸であること、支援する医療スタッフのパフォーマンスが大事であることは変わりません。

 

ビジネスモデルや仕組みについても常に目を凝らし、よりよいものに変化させていく努力は必要ですが、トップマネジメントは、医師や職員が働き易い環境、達成感をもって仕事をできる仕組みづくりを怠ることはできません。

 

マネジメントの質も人により担保されると考えると、仕事は結局のところ、人により盛衰が決まる、という帰結です。皆わかっているのに、彼らの力を最大化する取り組みをしていないことがよくあります。

 

時代が変わる今だからこそ、人を軸とした戦略明確化→経営方針→事業計画→目標管理→生産性向上(業務改善、教育)→ガバナンス→成果獲得というながれづくり及び強化が必要です。