よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

危機感はあるか

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 先日、高評価を受けている施設に訪問したとき、事務長からグループの施設に危機感がない。危機感を醸成するためには、どうしたらいいのか、と質問がありました。

 まず問題意識がなければ危機感は生まれない。問題意識をもっているのかどうか、なければどのように教育するか。その前に法人としてのビジョンや戦略が明確で、それらの達成に幹部がコミットしているのかが重要。

 組織がどこに行くのかを自分のものとして、自分の思いを組織戦略に重ね合わせていなければ、問題意識は生まれない。なので危機感も醸成されないと答えました。

 まさに多くの組織が目の前の利用者や医療であれば患者のケア、そして直近のミッションの実現に向けて行動しているものの、組織はどこにいくのか、何をしなければならないのかについて、組織の在り方、そして自分の未来、人生を語れなければ、今の日本がどうなっているのか、世界はどうか、結果社会保障はどのように変化するのか、事業としての介護や医療はどうあるべきなのか、どう推移すべきなのか、といった事象について考え行動できません。

 今の環境が永遠に続く日本ではない、と薄々分かっていても問題意識をもてず危機感から(結果として)逃げているのではないかとの議論になりました。

 危機感のタイプには以下のものがあります。

(1)未来志向型

 組織の考えに同意し、組織の、また自分なりの未来を描き、その未来と現状との間を埋める意欲(危機感)をもち行動につなげる。

 こうしたい。そのために今を変えなければならないという本人独自の危機感であり、危機感が一般化されていない段階での危機感

 (2)高確率型

 予測できる厳しい未来に対して問題意識をもち危機感を感じて行動する。多くの人が同じことを考え、そうなることの確率が高い状況に応じて、自分もそう考えるので、行動しようという状況

 (3)現実型

 問題意識はなく、危機的な状況になって危機感を感じ行動する。危機感は現実のものであり「感」ではなく危機のそのものであるが、行動すれば危機を脱するチャンスはある。

 (4)現実逃避型

 問題意識なないばかりか危機を分かりながらも、なんとかなると考え行動しない。

 何とかなると考える根拠が強固な場合は少なく、漠然としたいままでの経験を前提としていることが一般的。たいていの場合生存できない。

 (5)不認識型

 危機を分かっていない。分ろうとしない。よほどのツキがなければ破たんするパターン。

 この危機感分類は、昨日クライアントでディスカスし整理したものですが、先日の施設でのミーティングは、ここにいう(3)以下にならないよう、我々も留意しなければならないと考えています。