よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院ガバナンスの成果

f:id:itomoji2002:20200101192411j:plain


 組織が目的とした成果を得るために、病院全体をコントロールすることを病院ガバナンスといいます。病院ガバナンスは、病院がもつヴィジョンや戦略を達成するため、経組織力を最大限引き出すことを目的として行われます。したがって、目的や目標のないガバナンスはありません。

 組織は、達成すべきものがあるので、より効果的かつ生産性をもって組織を動かさなければなりません。できるだけはやく目的を達成するために、ガバナンスを行うと理解をして下さい。

 病院ガバナンスを行うときには、就業規則をはじめとした権限規程や職務基準、マニュアルなどのルールや、経営会議、管理者会議などガバナンスのための会議体の組成が必要です。

 しかし、何よりも、大切なのは、この組織はいったい何を目的として存在しているのか。いつまでに、誰が、何をどのように行わなければならないのか、など目標が明確であることが必要です。目的や目標が定まっていなければ、いくらガバナンスのためのフレームワークをつくっても無意味です。

 ガバナンスのための仕組みを行ったのち、組織目標を設定し、その達成のために行動します。

 具体的には、

 (1)指示が経営会議で行われ、各部署の代表で構成されている管理者会議に提示する。管理者会議から、現場会議を通じ指示がさらに各部署に割り振られ、それぞれの適性に応じて個人の役割に落とし込まれる

(2)日々行動があり、その成果を得る。それらを管理会計により整理したのち、計画と実績の乖離が次回の営会議に報告される

(3)経営会議において、各部署目標が達成できたのかできなかったのか、できなかったのであれば、なぜできなかったのが議論され、課題解決が行われつつ、当初目的達成のための指示が管理者会議に提示される

(4)管理者会議で行動内容及び計画議論が行われ、行動につなげる

このように、経営会議、管理者会議、現場会議を経て各部署が連携しながら病院の生産活動が行われることになります。

 これがガバナンスの全体的なながれです。このながれに採用や配置、活動、評価、教育、処遇等々さまざまな仕組みが追加的に付加されることになります。とても簡単に見えますが、実は奥が深く運営に骨が折れます。各部署の活動は、まるで意思をもつアミーバ―が無秩序に動いているようで、実は組織目標に向かって成果をあげていく活動をいいます。

 試行錯誤のうえで、これらがうまく行われれば、決めたことを必ず達成するという文化や風土が生まれます。病院ガバナンスの成果です。

 仕組みが意思をもち文化や風土にまで昇華すれば、あとは自助的にそれらが進化し、病院は自信をもって、次の時代に駒を進めることができるようになります。

 病院ガバナンスができあがっているか、どこに課題があるのかをしっかり確認しておくと良いでしょう。