最近、エンゲージメントがはやりです。
エンゲージメントとは、社員の会社に対する、愛社精神という意味で、社員一人ひとりが組織に愛着を持ち組織と一体となり共に成長し絆を深めていく関係をいいます。どうすれば組織は社員のエンゲージメントを高めていけるのかがマネジメントの重要なテーマになっています。
私は、組織に対する愛着は帰結であり、まずは、仕事に対する執着を引き出すマネジメントが必要だと考えています。人は自分のために仕事をします。自分が自分のやりたいことをするために組織があるのです。
もちろん組織とは雇用関係にあるわけで、組織の求める成果を挙げられなければ高い評価は得られません。しかし、自分がやりたいことをできずに組織から評価されたとして、個人は満足することはできません。高い評価を得られる仕事が自分のやりたいことであるのであれば、個人は組織とともに成長することができますが、いつもどこかに不満をもちながら組織から求められる関係は、双方にとりよい関係ではないと考えているのです。
自分のやりたいことがないので組織の求められることを行い、成果が挙がり評価されて満足できるという職員もいるとは思いますが、自分で決めたことができて達成感を得て、同じように評価されるときの満足と比較して、どちらの満足が高いかは自明の理です。
組織はできるだけ社員の「これをやりたい」「こうなりたい」という思いを引き出し、やりたいことが見つけられるよう努力しなければならないし、やりたいことのある社員でも、やりたいことを見つけた社員であっても、彼らの目標達成と組織目標達成が一致するようにマネジメントを行えるよう取り組みを行う必要があります。
少し古い理論ですが、心理学者であるフレデリック・ハーズバーグが提唱した仕事における満足と不満足を引き起こす要因に関する理論では、人には苦痛を避けようとする動物的な欲求と、心理的に成長しようとする人間的欲求という2つの欲求があり、人間的欲求で満足を感じるのは、承認を得たときや物事を達成したときと結論づけています。
職員が承認を得たり、達成感を感じるときがもっとも満足感を得る、すなわちやる気になるということを意味しています。
ただ、一方で不満足を招くのは会社の方針や管理、そして人間関係や労働条件であり、いくら満足する要因があっても、これらが整備されていなければ不満足を感じます。満足を招く要因と不満足を招く要因のバランスによりその人の組織への愛着が生まれる度合が決まると私は考えています。
ところで、エンゲージメントを高めるためには企業文化が重要であるといわれています。企業文化とは、企業と社員との間で共有・形成される独自の価値観や文化、規範、ルールのことを指します。企業文化が共通の指針として機能したり、チームワーク強化、そしてパフォーマンス向上につながります。
しかし、評価や報酬の制度をつくり、リーダーが的確な行動を行うこと、会議の運営やコミュニケーション等々日々の習慣が必要であり、これらがうまく行われず企業文化とギャップがああると、いくら良い企業文化があっても社員は定着しないとメリッサ・ダイムラーは説明しています(HBR.May 11, 2018)
まさに本人が達成感をもっても、それを打ち消す不満足を招く要因があれば、彼らは力を発揮できないというハズバーグの考え方と符合します。
組織は人が達成感を得るための仕組みと、彼らが不満足を感じない対応を行えるよう取り組みをしていかなければなりません。
これより先、私は達成感を軸とした現場で使えるマネジメントのフレームワークとその支援システムをつくっていきます。