よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

成果を出しやすいCIMとは何か

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 組織におけるあらゆる階層において随時の意思決定が行われています。トップマネジメントが行う意思決定を経営意思決定といいます。

 

 トップマネジメントは常に組織運営に必要な決定を行い、結論を出さなければなりません。経営意思決定を行うことは彼らの重要な役割の一つです。それでは組織トップ は、どのように決定を行えばよいのでしょうか。

 意思決定による管理方法にはトップダウン、ミドルアップ、ボトムアップといった方法があります。

 

 しかし、トップが独自で意思決定を行い下位に指示を行うトップダウンメソッドでも、中間管理職が軸になるミドルアップメソッドでも、そして現場の意見をもとに意思決定を行い行動するボトムアップメソッドでもなく、トップマネジメントが着想し、現状分析→情報収集→仮説立案→情報収集→仮説検証→情報収集→仮説立案…というサイクルを繰り返しながら確信がもてたところで意思決定を行い下位に落とす、形をとることが有効です。

 

 トップマネジメントが現場や中間管理職と「コンスタントにやり取りをしながら意思決定を行い管理する方法」を、私はCIM(コンスタントインターチェンジメソッド=シム)と名付けました。

 

 CIMでは、意思決定を行うトップマネジメントが情報収集を行い、自分の考えを整理したうえで、情報を下位に流す。そしてその考えが正しいかどうかを情報を収集し、検証作業を行い判断を行う。そしてまたその考えが間違っていないか、情報収集により確認し…という作業を納得いくまで繰り返し、最終的に意思を決める、というながれをつくりだします。

 

 決めたことをいきなり落とすトップダウンでもなく、現場の意見を尊重し判断をするといった意思決定ではなく、一端ボトムに落とし現場の情報を得て、検証し結果をミドルに落とし、彼らの持つ情報を判断するというプロセスを何度も繰り返しながら、さらにマネジメント層と議論し考えをまとめる、といったトップマネジメントと組織内を行き来する(ギザギザした)やり取りのなかで、最終決定を行うものです。

 

 この方法による意思決定は、既に現場の事情や意見を汲んでいるし、中間管理職の考え方も聞いた結果なので、トップマネジメントから、ある決定による指示が行われたとき、組織に受容れやすい。なので皆が同じ方向を向いて行動することができ、成果を出しやすいというメリットがあります。

 トップマネジメントが何かを決めるときに必要以上に時間がかかるのではないかという懸念は必要ありません。時間があるものはじっくりと、ない案件については効率的にCIMプロセスを廻すことができると考えています。

 

 CIMを採れば、組織構成員に「この件については現状や自分達の思いを反映している」、という安心感があります。もちろん、トップが現状を把握して回るというのではなく、例えば経営企画などの部署や、皆を集めて意見を聞く、ということでもよく、実は、トップダウンメソッドにもこうした領域は含まれている、と感じる方もいるでしょう。

 

 しかし、敢えてCIM(シム)と定義することで、明示的にトップマネジメントによる意思決定には、各階層を行き来しながら主体的に情報を集め、、仮説検証を繰り返し徐々に意思を固めて、最終的に意思決定し組織に落とす、という意思決定プロセスを採っている、ということを組織内に明らかにすることができます。

 

 あるときにはCIMっぽいプロセスを経るがそうでもないときもある、というのではなく、常にこの組織では、経営意思決定はCIMで行う、という組織における共通認識が必要という考え方です。

 

 ないとは思いますが、トップマネジメントは、誰かの情報を鵜呑みにしたり、思いこみにより最初に得た情報をそのまま信じ何かを意思決定してしまうことは避けなければなりません。

 決めなければならないことに対し、責任をもって経営意思決定を行うためには適切な仮説を立て、検証行動をとりつつ、情報を得たり質問をしたりする信頼に足る、また信用できる情報網をもち活用することが必要です。

 

 自ら常に研鑽し情報を収集するとともに、内外ブレーンを情報収集を行う領域に配置し、テーマ設定→仮説設定→現場訪問→状況を把握→情報聴取・掌握による仮説検証→再仮説設定→次の階層→…というながれで活動します。

 

 トップダウンメソッドでもない、ミドルアップメソッドでも、ボトムアップメソッドでもない、経営意思決定方法、CIM(コンスタントインターチェンジメソッド)を意識したうえで、率先して行動する。これがあるべき経営意思決定を行い、管理するための重要なポイントだと考えています。このテーマは以前にも扱いましたが、最新特に必要性がある事案が散見されるので、再度の記事にしてみました。

 これからも円滑な組織運営のためのCIMについて、研究を重ねていきたいと考えています。