よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

地域密着型診療所のあり方

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診療所には、さまざまな診療科がありますが、基本は初期の診療を行い、対応できなければ病院への紹介を行うことが診療所の機能です。

 

地域密着型診療所とは、文字通り地域に密着し、浸透する診療所をいいます。密着しかつ浸透することは、地域住民から頼りにされ、何かあればそこに相談に来るなど、「地域になくてはならない存在」になることを意味しています。

 

単にプライマリーケア(初期の医療)を行うという役割だけではないのです。

 

診療所の医療圏は500mといわれていますが、曜日や時間により診療圏は広がる可能性があります。地域に日曜や祝日、夜間に診療を行う診療所が少なければ、他の地域からも患者を呼ぶことができるからです。

 

ここにいう自院の周辺の「地域になくてはならない存在」になるためには2つの活動が必要です。

 

1.地域活動

まず、院長やスタッフが地域住民によく知られていなければなりません。診療所のなかで活動するだけではなく、院長やスタッフがあらゆる地域活動に参加し、地域に貢献することが必要です。

 

自治会に参加する、お祭りにデスクをつくり万が一に備える、近隣の校医になること、イベントに診療所として参加すること、講演会を開き地域住民の健康管理に資すること、レストランとコラボして「生活習慣病と食事」などのセミナーを行う、健康クラブを組織し、会員をあつめながら地域住民の知名度を高めていく、ことなどなどがそれらです。

 

2.診療の質向上

もちろん、診療所の信頼を得るためには、スタッフ教育に力を入れるとともに、待ち時間を短くする工夫や適切な診療、円滑な業務フローをつくることが不可欠です。

 

業務の棚卸をしたうえでマニュアルを作成し、また教育を徹底して行い、業務改善を行い、クレームがあれば直ちにそれを糧として活動し、より高い質の活動につなげること。

 

結果、健康で豊かな生活を送れる地域住民をどれだけ増やせるのかが診療所の機能であり最終的な役割だと思います。

 

診療所での医療の質を高め、いつでも頼りになる診療所だという思いをもってもらうとともに、患者を待つだけではなく自ら進んで地域にでて、疾病予防や健康管理を積極的に行うことが、地域に溶け込み、地域から必要とされる地域密着型診療所となるための有効な活動だと理解しています。