よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

行動最適化のためのスケール(知る、理解、受容、率先)

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  PDCAサイクルを廻し、目標達成を行うとき、職員の行動をしっかり見極めることが必要です。職員が目標に対し、どのようなポジションで仕事をしているのかを、「知る」、「理解」、「受容」、「率先」というスケールでチェックします。

 

 上司が合目的的行動をとろうとするとき、部下が目標を単に知っているだけで行動しているのか、理解して行動しているのか、あるいはこれは自分の仕事であり、自分の役割であると受容して仕事をしているのか、そしてそのうえで率先して仕事をしているのか、常に状況を見極める必要があるのです。

 

 「分りました!」とキラキラ輝く瞳をして、颯爽と仕事に取り掛かっていた部下が実は何も分からず、えーぇ!という結果で終わる仕事をしているケースは山のようにあります。

 

知ってはいるけれど、分かっていないのか、それとも面従腹背しているのかを見極め、その理由を明確にした取組みをしなければ、「頑張ってるんです」という言い訳を免罪符に、結果を出せないで終わる危険性があります。

 

単に知って仕事をしているのと、仕事の内容を分かって仕事をしているのでは、成果が大きく変わることはいうまでもありません。知っているだけで理解していないまま仕事をスタートさせてしまうのは、上司の部下への関わりが不足していたり、能力や教育の仕方に問題があります。

 

 心から理解して仕事をしているのかどうかの検さ証を常に行い、足りないところをしっかり指導していかなければなりません。

 

もちろん、分っているけど仕事をしない、面従腹背している場合にも成果はでません。なぜ、彼らは私の指示を受け止めないのか、日々の行動を反芻し、働く環境を分析する必要があります。

そこには様々な要因が潜んでおり、解決するのは一筋縄ではいきません。

組織の勢いや、リーダーに対する意識、職場の風土、人間関係、組織の制度等々ここではすべての検証を行うことはできないほどです。

絡んだ糸を解すように、障害を取り除いていくことになります。

 

仕事を自分の成長の機会と捉え、また、仕事は自分の生きがいの一つとして捉え、やりがいをもって仕事に向い合う者は、仕事のありかを知り、内容を理解し、そして自分の役割を受容れ、その達成のために行動します。

 

こうなると、仕事で成果を挙げることが彼らの達成感を生むことが動機になり、他者も巻き込みながら懸命に結果を出そうと活動してもらうことができます。目標を受容し、行動してもらえるよう、一人ひとりを承認し、彼らのやりたいことと組織目標の擦り合わせを行ったうえで、目標達成を支援する必要があります。

 

目標を受容する職員がどれだけいるのかにより、組織の盛衰が決まると強く思っています。結局は、こうした職員を生む組織をつくれるかどうかは、マネジメントの巧拙に依存します。

明確な方向を示したうえで、制度整備や仕組みづくりをしっかりと行い、適切なリーダーシップをもって合理的な目標を提示、その達成に向けた職員のコミットメント(公約)を得られるよう取り組まなければなりません。

 

なお、率先して仕事をする、という意味は、ここでは目標を凌駕して創造的に仕事を行う層の職員を指しています。

 

目標達成のみでは飽き足らず、さらに自己実現を目指し、意見具申を行いながら、超能動的に活動する者達です。

彼らは目標を受容し達成するばかりではなく、組織の未来をつくり出すエネルギーを生むことができます。

時代を超えて次の世代を担い、組織継続に貢献するこのような人材をどれだけ採用、育成できるのかが、トップマネメントの能力であると考えています。

 

多くの成功した組織は、常に行動のチェックスケールをもち、職員の行動をどのように高次のレベルに引き上げていくのか、日々腐心してきたのだと思います。

 簡単にはいきませんが、時代を超えるために、各組織は、知る→理解→受容→率先というスケールを以って、現状を見直してみる必要があるかもしれません。