よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

役に立つ内外戦略の立て方

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      戦略とは、簡単にいえば闘いに勝つための計画をいいます。

 どうすれば闘いに勝てるのかを考えずに、ただ毎日懸命に日々をこなすことを「仕事」とする医療機関があるとすれば、とても危険です。

 

 医療環境をマクロでみれば患者は減り、診療報酬の先行きは不透明で、医療を取り巻く環境は益々劣悪になっているからです。

 

 他の医療機関に勝つ(比較優位をもつ)ための課題を明確にして、その課題を一つひとつクリヤーしていかなければなりません。

 もちろん他に勝つということは、同時に自分に勝つということでもあり、自院の運営上の問題を排除しなればならないことは明らかです。   

 

 課題解決のための内外戦略を立てる必要があります。

 

 まず、自院の置かれている環境で、自院は何をしなければならないのかを明確にします。地域医療機関の診療科毎の優劣を様々な観点から分析して課題を出します。

 

 さらに、自院の運営上、医療の質に関する問題点をすべて抽出し、どうすれば必要な成果を得られるか、また患者評価を得られるか、職員が成長するのかを明らかにします。

 

 内外戦略を立てるときによく利用する方法は以下のものです。

(1)マーケティングの5Pの活用とSWOT分析

競合の医療機関を決め、診療サービス内容(Product)や医療提供の方法(place)、診療単価(Price)、認知されている状況(Promotion)をスコアリングし、自院に不足するところを発見します。

 

 何よりも目立つ存在(紫の牛)(Purple cow)となる領域があるのかを見つけ、これら負けているところをどのように補完していくのかを明らかにし、補完行動の予算や行動計画を立案します。

 

 なお、上記はSWOT(強み、弱み、機会、脅威)分析を行うことにも通じます。

 

(2)日常活動で問題としてあがってきたものを整理

 外来業務を簡単にいえば、受付→診察→検査→診断→治療→会計ですし、また健診も受付→検査→診察→(内部処理)→会計といったながれがあり、入院には受付→入院→(手術)→退院がありますが、

例えば入院=病棟業務のなかにはさまざまな問題があります。

 

 人事や人間関係、物品管理、金銭管理、院内連携、病棟運営等々あらゆる問題が発生し、些細にみれば解決すべき多くの着眼があるのです。

 

 それらをすべて抽出し、網羅したうえで優先順位をつけ、どのような順番で解決していくのかを決めて計画を立案します。

 

 なお、医療機関が立案した戦略は経営方針とされ、各部署に落し込まれ、個人に割り振られて目標化され、達成に向けた活動が行われて成果を得ることになります。

 

 実際にはさらに詳細な分析や課題抽出、多様な視点からの議論は必要ですが、まずは上記の実施を念頭においた戦略立案を行うことが有用です。

 

 内部戦略として、業務改善、コスト削減、標準化や教育システムの構築、そして外部戦略としては増患対策や施設基準や加算、診療領域拡大による単価アップがテーマに上がることが多いようです。

 

 医療に限らずどの業種であっても、先の読めない時代だからこそ、徹底的な現状分析を行なった上で到達点を決め、計画立案ののち、その達成のために果敢に挑戦していかなければならないと考えています。