よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

会計と現場をつなげる自分の行動

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社会人の三種の神器は英語、会計、ITと言われていますが、そのなかの会計は、金銭や物品の出納等を、貨幣を単位として記録、計算、管理等することをいいます。

 もともと私は大学に入学とほぼ同時に簿記学校に入り勉強を始め、周りから褒められたのに、たった一ヶ月で簿記学校に通わなくなった経験をもっています。経緯は忘れましたが、きっと友達と一緒に大学生活を謳歌した方が楽しかったんですね。

 

 で、その後、ほどなく税務会計研究会というサークルに入会し、不思議な学生生活を送ることになりました。形から入るタイプかもです。

そうこうしているうちに会計の奥深さを知るようになり、会計の世界に浸ることになったという思い出があります。

 

複式簿記は簿記会計の父とよばれるルカパチョーリが「ズムマ」という数学の本で明らかにしたといわれています。1494年のことです。それから会計や会社の組織の基礎ができたのは、1601年から活動を開始した東インド会社。同社は従業員を持つジョイント・ストック・カンパニー(合本会社)として設立されました。このときには出資者がいて航海に応じて事業が行われたそうです。

 

この時代に会計が少しずつ使われていたのだと思います。昔は一航海一会計でしたから決算は船が帰ってくるまででしたが、この辺りから1年での決算が行われたのだと理解しています。

 

で、貸借対照表(BS)や損益計算書(PL)がつくられ、期末日現在の財政状態や一年間の経営成績が表示されるようになり、今に至る(随分割愛しましたが)、というながい会計の歴史があります。イギリスから始まった産業革命は18世紀後半ですから、会計の始まりは相当前ですね。

 

会計を学ぶと借方、貸方という定義をベースに、物事はすべてルカパチョーリが開発した複式簿記や、(ルカパチョーリは関係ない)経営分析で表現できることが分かります。

飲食でもサービス、流通業でも製造業、通信、商社、建設、医療などなんでもBSPL、そして前提の簿記会計が理解できればその全体像や詳細、事業の特性を整理することができます。

管理会計も駆使すると会計は事業の鑑であり、数字を通じてどんなことをしているのかが見えるようになります。

 

しかし、会計には(財務会計は言うに及ばず管理会計ですら)限界があり、現場に出なければ本当のことは分かりません。そこには経営資源である、ヒト、情報、時間、カネ、モノの複雑なやりとりがあるからです。とりわけ戦略も含めた仕事の仕組みとヒトにより事業がつくられるという領域に入ると、その2つをどのようにつくりあげていくのかがとても大事です。創造性と実効性が肝になります。

あらゆるものが常に進化しており、理論では補足しきれない生の出来事が世界をつくっていることが分かります。

 

こうして考えると会計は事実を知る道具であり、計画をつくる考え方、行動の道標ではあるものの、仕事をしていくうえで知っていなければならない事柄のほんの一部でしかないことが分かります。会計を知ればよりよく事業の過去、現在、未来を表現できる、というだけの位置付けです。現場で「事実」を見たり、「これから」をつくるときの道具として会計を使う、というスタンスですね。

当然ですが、自分がどう考え行動するのかが大切で、可視化できても行動しなければ意味がありません。

 

会計と現場を自分が行き来しながら経営について学習を重ね、さまざまな視点から物事をとらえて(難しいことではありますが)今と未来にむけて何か新しい価値を創り続けていきたいと、いつも考えています。