よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

青い鳥は外にはいない

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「うちには病院運営を担う人材がいない」「事務方に優秀な人を採用しなければ‥」「事務長として適格な人はいませんか」病院の運営支援を行っているなかで、頻繁に病院幹部から出てくる言葉です。実は、これは私の一般企業のクライアントや、役員をしている上場会社でもよく話題になるテーマです。

 

 どの組織でも優秀な人が欲しい、優秀な人さえいれば現状を打開できると、組織のトップマネジメントが考えている証拠です。

 

 しかし、そうそう自院や自社に入職、入社する優秀な人はいない、と考えたほうが無難です。もちろん、世の中には沢山の優秀な人材がいることを知っていますが、彼らが自院に入職する保証はないのです。

 高額な報酬を出して人材をとれる組織もありますが、医療においてはその報酬を一般化することはできません。

 

 そもそも、そうしたことが話題になる組織ほど、過去から人材育成を怠ってきた組織であることが多いように思います(もちろん、病院内部で人材育成をしっかり行い成果を挙げている病院も数多くあります)。

 

 ながく関与しているある中堅病院は、10年以上前より外部からの事務職を毎年採用し、5~6名ほどの幹部候補生の育成を行ってきました。

 結果として事務長、総務課長、維持課長、診療情報室課長、情報処理課長、営繕課長が育ちました。

 彼らは一定規模の一般企業勤務経験をもち、組織がどのように運営されるべきか、また組織はどのようなものかを肌身で感じてきた人々です。

 

 社会で経験を積み、病院に入職。さまざまな業務を行いながら、それぞれの分野の核となり、今では病院運営を支える人材になっています。

 

 この病院では、併せて院内で教育体系を整備し、適切な機会を提供することで、彼らの育成に合わせて元から入職している職員のなかからも力を発揮する沢山の管理職が生まれてきています。

 

 彼らが次世代の病院運営を担う中心人物になることは間違いがありません。

 

 もともと病院オーナーのマネジメント能力が高く、地域ではなくてはならない病院ではありましたが、時間をかけて事務職の人材育成を行うことで、より強固な運営基盤をつくりあげたと理解しています。

 

 時間をかけて、

(1)どのような病院をつくりたいのかを明確にし、開示する

(2)そのために必要な人材育成計画を立案する

(3)日々到達点に向けて課題を出し教育を行う

(4)性格や能力に応じて院内で異動や配置換えを行う

(5)外部への接点を多くもってもらうことで成長機会を提供する

(6)競わせる

などのアプローチをしてきた帰結です。

 

 厳しい医療環境となった現状では、10年をかけている時間はありませんが、できるだけ早く上記のながれをつくり、一日も早く、求める人材を確保できるよう活動を開始しなければなりません。