人事考課により昇給昇格昇進が決定されます。
情意考課は、職能等級制度における人事考課の一部です。
人事考課は情意考課と能力考課、そして賞与支給時の評価基準となる業績評価を横滑りさせた業績考課から成り立っています。
情意考課は、「規律性、協調性、積極性、責任性の4つの観点で日常の服務規律を観察し評価するもの」と定義されますが、服務規律(決められたルール)というよりはもう少し幅を広げて、仕事の姿勢や態度を評価するものです。
なお、能力考課は発揮能力を、そして業績考課は決めた目標を達成できたかどうかを評価するものです。
さて、ある病院で職員にこうあって欲しいと考える仕事の姿勢や態度を規定した情意考課シートの内容は、以下のようになっています。
・病院における将来ビジョンにむけた活動をしている
・自らの権限を理解している
・業務に新しい手法を取り入れている
・病院において必要な制度がどのようなものであるか説明できる
・指導は的確である
・論理的に整合性のある意見を職場内で出している
・病院理念の実践
・積極的に物事に取り組んでいる
・自分としてのキャリアプランを持っている
・社会人として適切な挨拶ができる
・職場の規律を守っている
・仕事の仕方や仕事の提案をしている
・任された仕事は責任を持って遂行している
・他人の意見を尊重している
・期限を守れる
・言葉づかいや所作は相手の立場にたって選んでいる
・何事も学習し、仕事に役立たせている
情意考課は、組織として職員たるもの、こうあってほしいという考え方を示すものであり、事前に示すことにより、職員の日常行動に大きく影響を与えます。
組織が求めている人材像ですよ、このようになってくださいということを上記により示し、それをベースとして自分の仕事に対する姿勢や態度を見直すことができる職員は、その思いを行動に反映する可能性があるからです。
本来であれば、職場内教育において組織と同じ方向性をもつ優れたリーダーが、一人ひとり手作りで人を育てていくこと大切ですが、期待する管理者をもつ組織でない場合、職員に覚醒を促す手段を欠きます。
組織は、職員に対して「こうあるべきだ」という思いを、しっかりと伝えていく仕組みを用意しなければなりません。その役割を負うのが情意考課です。
もちろん、評価期日迄には、実際に評価を行い、職員自らの行動が喚起され、実現されているかを判断します。評価により発見された課題をどのように翌年解決してくのか、考課者(評価者)と被評価者の間で議論が誘導され、教育計画や行動目標が設定されることはいうまでもありません。
情意考課そのものは人事考課制度体系のなかで能力考課や業績考課と共に実施されるべきものですが、情意考課制度だけの導入でも成果があると考えています。