よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

厳しい時代、仕事のムダを排除しましょう

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 ムダとは、不必要なこと、いらないことを言います。やる必要のない、あるいは効果が薄い業務を行うことは避け、生産性を上げることが組織を強固にする要諦(ようてい=肝心な点)です。

 

ムダな仕事の具体例としては、その仕事をしなくても、仕事の目的が達成できることや、手順を少なくすることと考えれば分かりやすいでしょう。

 

仕事のムダをなくすためには、いま各職員がどのような仕事をしているのかを調べてみる必要があります。

 

まずは、個人個人が仕事のたな卸を行うことがよいでしょう。毎日どのような仕事をしているのかをリストに書き出してみるのです。

 

次に、たな卸をした仕事のマニュアルを作成します。少なくとも手順は書き出さなければなりません。

 (1)リストに書き出した仕事は必要な仕事かどうかを考える

 

 (2)仕事の手順を簡素化するために何をしなければならないのかをチェックする

という作業をします。

 

(1)は、他の仕事で代替したり、他の部署の業務であったり、止めても仕事に滞りがないことを確認します。

 

 書類作成でいえば転記や、そもそもその書類が必要あるのかを検討します。

 

 手書きの書類をなくし、作業時間を短くすることや、転記作業をなくすし書類をコピーして添付すること、書類のフォームを簡素化し、チェックマークを入れるだけで書類作成が完了するなどのやり方を導入することがその事例です。

 

 なお、ある病院では入院時の受付を外来で行い、患者が病棟にあがってからまた同じようなアナムネをとっていましたが、明らかに外来で行ったものを病棟に渡すことで、病棟の業務をなくしていました。

 

 また、他の病院では経理の経費支払いを随時から週2回に変更し、効率をあげていました。

 

(2)では、もっとはやく処理できる方法や、書類のフォームを考えます。

 

 または作業を自分達ではなく、外部に委託することによりコストが削減されたり他のより付加価値の高い業務に自分達の時間を移行できるかどうかを検討します(業務委託は既に、医事業務や検査、リネン、電話交換でよく行われており、なじみがありますね)。

 

さらに検品検収作業を書類にチェックを入れることからバーコードに変更し、時間の短縮を図ることや、在庫をもたないでよいようにSPD化することも該当するかもしれません。

 

なお、(2)についていえば、消耗品を常に同じ棚で定数管理することや、調剤を行い易いように薬局の棚や作業台の場所を移動する、自動分包機を入れる、自動アンプルピッカーを導入するなども行われています。鉗子(物を掴んだり牽引するのに使用する器具)にQRコードを入れ、オペ前の準備や、オペ後の確認を容易にして、驚く時間を削減した病院もあります。

 

 ここであげた事例以外に多くのムダとりがあります。まずは自院の分析を始めるところからスタートし、また、業務改善提案制度を導入することも含め、職員ができるだけ付加価値の高い業務に従事できるようマネジメントしていくことが大切です。

 

これらの業務は病院だけではなく、どのような業種においても実施可能です。自分の身近なところからの見直しをしてみることも有益ですね。