よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

施設管理のポイント

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    病院そのものはさまざまな機能をもつ施設です。また病院には数多くの設備があります。

 

 病院には、専任の営繕や施設管理者が存在し、施設や設備を円滑に稼働するために管理をしています。

 ただ、彼らがいれば施設管理がうまくいくわけではありません。

 

   施設を日々活用する病院スタッフの意識改革が必要です。

 病院医師やスタッフが施設や設備を正しく使わなければ、適切な結果を残すことができないからです。

 

・駐車場に駐車をするとき、気遣いをせず路肩に乗り上げ、縁石を壊したり、

・バックをしてフェンスにぶつかるといった単純なことだけではなく、

・壁にストレッチャーやカートで傷をつけたり穴を開けることや、

・意図的に整理整頓をしない、

・清掃をしない、

・電気や水道を無駄に使う

・備品や消耗品、薬品等をぞんざいに扱う

といったことがあれば、いくら管理者が保険をかけたり、メンテナンスをしたりしても、成果が半減します(上記の対応は施設への対応だけではなく仕事に対する姿勢を表しています。仕事一つひとつがいい加減に行われる文化や風土が原因だからです)。

 

    質の高い仕事を行おう、病院の施設を大切に使おうという思いが職員になければ、よい管理を行うことは困難です。

 

   医療を進化させ、病院を維持、発展させていくことが地域医療継続のために不可欠であることを心に刻みつけている職員は、日々の行動に留意し、病院を大切に扱うことができます。

 

   施設や設備一つひとつを大切に、丁寧に扱う者は他の業務においても、間違いなく適切な対応をする傾向にあるのです。

 

   ここでの議論のポイントは、病院のビジョンが明確で、改革が継続的に実施されており診療活動に勢いがあることです。

 何を目指しているのか、また何をすべきか、自分はどうあるべきかが明確になっている病院には、適切な行動をとる職員が数多く存在するのです。

 

   単に施設管理者を置くのではなく、職員全員にコスト面での話をするだけでもなく、病院が存続し医療を提供し続けるために、自分達は何をしなければならないのかについてしっかりとした病院の考え方を伝えるとともに、実際に明確な病院運営の方向を提示し、個人の役割まで落とし込んだ(もちろん役割達成へのコミットメント=約束が不可欠です)改革を継続していくことが求められています。

 

   医師や看護師、そして技術職、事務職が働き易い環境(制度や仕組み)づくりをどのように行っていくのかについて病院幹部は徹底して議論しなければなりません。

 

 現体制やマネジメント手法に誤りがあれば、それをただちに正し、あるべき病院運営を行っていく必要があります。

 

  どの事業でも、業種でも共通することですが、ここで説明したこそこそが、すべての職員により真の施設管理を行うための要諦であり、基本だと考えています。