よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

今こそコロナに負けない未来を!

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コロナ患者を受け入れていない病院であっても外来患者が減少しているクリニックや、外来患者だけではなく、入院患者も減少し業績を落としている急性期病院が増加しています。

 

一般病床からの患者が減り、紹介が徐々に減っている為、療養病床等他の病床の患者を減らしている病院も出てきました。

 

医師会からも国への支援要請があったように、多くの医療機関の業績が悪化しているのです。

 

ある病院の幹部はコロナ前に出ていた利益と同額の赤が続いていると嘆いていました。余力をもたないクリニックや病院のこれからがとても心配です。

 

逆に、在宅希望の患者が増加し、訪問診療を行っている在宅療養診療所の患者が増加していると医師から聞きました。

 

コロナ前から医療制度改革では機能分化と平均在院日数短縮による病院病床削減が進んでいました。

 

少子高齢化により、マクロでみると病院の患者数は減少する傾向にあり、各病院は増患のため、しのぎを削る闘いを強いられています。そのなかでのコロナです。

 

周辺のマーケットや自院の経営資源を評価したうえで、的確かつ合理的な組織運営を行わなければ地域医療を継続できません。

 

常に内外環境を分析し、

1.自院は今どのような状況にあるのか、

2.どうすれば資源を最適化し最大限の成果を得られるのか、

3.どうすれば期待する場所に到達できるのか

を検討したうえで、柔軟かつ適切な対応を行わなければなりません。

 

経営企画室の役割がとても重要です。

 

経営企画室は、トップの指示でビジョンや戦略を立案します。

 

また現場では、医事課と連携し病床再編や加算取得について医事課と連携して方向を調査し、状況を的確に把握したうえで具体的なプランを提案。

 

指示があればそれらの実行に向けた組織行動を先導して成果を挙げなければなりません。

 

目標達成に向けた運営状況の月次報告を行うのはもとより、地域医療・介護の環境分析を継続的に行い、他病院の動向や自院の経営課題を整理して意見具申を行います。

 

もちろん月次の業績を分析し、予算との乖離の中で解決すべき課題があれば各部署に出向き対応します。

 

積極的に効率化や有効性の検証を行いながら職員教育や業務改善を支援し、現場の仕事をやりやすい方法に誘導します。

 

さらに財務・経理や人事、法務領域では、よりよい仕組みづくりを行うための研究を怠らず、その結果をトップに報告するなど、業務改革の先頭に立つ活動を行います。

 

経営企画室には、企業経営の基本的な考え方を理解し身に付けたうえで、それらを医療に置き換えた病院運営を的確に行える人材を配置することが大切です。

 

 当然ではありますが、そうはいっても病院に内外業務すべて精通し、あらゆる知識や経験をもつ万能な職員が数多くいるわけではありません。

 

 経営企画室を組成し、人を育成して経営企画室の機能を発揮するのには経験上、少なくとも3年はかかります。

 

 当初は経営企画室の機能を外注しつつ、並行して院内で人材育成を行うことが必要です。

 

外注不能な経営企画室業務があれば、それらを各部署に持たせ結果を出し、そこでの職員成長度合いをみて、職員の異動を行うことや、同時に当該業務を徐々に経営企画室に引き継いでいけばよいと考えています。

 

コロナ下において、いつまで医療機関への影響が続くかわかりません。

 

厳しい時代だからこそ地に足をつけて、今後の医療を考え、職員とともに、どのようにして自院の基盤を強化していくのか、事業活動を見直し、短期、中期、長期でどのような次の手を打つのかを考えることが大切です。

 

自院の役割を再度明確にするためにも、いまこそ経営企画業務への取り組みと、組織一丸となった戦略的活動が必要だと考えています。