自院のスタッフ仲間や患者、患者家族に優しくできる、ということは医療従事者の永遠のテーマです。
ここで優しく、ということは単に礼節をもち笑顔、挨拶ができればよいという分けではありません。何かの取引を行うとき、取引の目的を達成することを相手側は求めています。
商品を購入するときに、丁寧な販売員がいて気持ち良くお買い物ができたものの、よく見てみたら不良品や品違いだったとき、顧客は満足しません。
サービス業でも同様です。返事や態度は良いのに、仕事が予定通りに進まない他部署の職員には、当初は仕方がないと思ったとしてもその思いはながく続きません。
礼儀は大切でビジネスの基本ですが、仕事の本質ができていなければ、顧客が納得することはあり得ません。
例え謝罪の仕方がうまく、一瞬は許したとしても何度も続けば、二度とその施設は利用しないでしょう。
いわんや命に関わる医療であれば患者や患者家族の求めるものはより高くなるのは明白です。
初診のとき受付が丁寧で外来に座ったものの、何時間も待たされる医療機関の印象は悪くなります。
診断や治療の過程で問題があれば、なおさらそれまで良い印象があったとしても、その気持ちは雲散霧消してしまうのです。
職員同士が同じ理念や目的を共有し、中短期の目標を掲げ、よい医療を行うための改革に着手する。
自分の役割を果たすための努力を怠らず、「仕事に対する思いや人間力、必要な技術技能を身に着け、その発露としての礼節をもって周りに対応する」。
どの業種においても同じことが言えますが、心から仲間を大切にしつつ上記プロセスにて、自分のできる最大限の仕事を行うことができる職員は、力をつけて自信をもてます。
彼らは自分の仕事に誇りをもてるし、先も見通せ、どのような問題も解決できるため、感情的にもなることはありません。
なので仲間の職員にも、患者や患者家族にも優しくなれるのです。
組織は、本当の意味で相手に優しくできる職員を育成するために、仕組みをつくり、適正利益をあげて、彼らが育つ環境づくりや適切な評価・教育・処遇を行うことにマネジメントの軸を置かなければなりません。
皆がプライドと自信を持って仕事ができる組織。つくるのは難しいですけれど大事ですね。
コロナの時代、誰にも負けない組織を作る機会と捉え、まずは自分から変わっていけるようにしたいものです。