よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

「皆んな、仲良くしようよ」の力が生産性を上げる

 

 

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 どの業種でも言えますが、病院には、さまざまな機能や役割をもった部署があります。

 

 それぞれの部署が協力し合い、連携したうえで医療が提供されています。

 

 しかし、一方でそれらの部署は縦割りで管理されていることで、セクショナリズムや自己利益優先という考え方をもっています。

 

 そのため多くの病院では部署間の連携(部署毎の人の連携)がうまくいかず、調整を繰り返さなければならないという意味で、蛇行しながらことが進むため、非効率や無駄が発生しています。

 

 これを部署間コンフリクト(衝突)といいます。

 部署間コンフリクトの解決を行い業務の生産性を向上させなければなりません。

 

 部署間のコンフリクトなは、さまざまな原因があり、それぞれの部署では対応できないことが多いことが通常です。

 

 結果、部署間の関係がこじれると益々意思疎通がうまくできず、さらに業務が円滑に進まなくなることがあります。

 

 コンフリクトの解決は、部署ごとではなく病院として行う必要がある所以(ゆえん)です。各部署を横串にできる病院トップと各部署の幹部が話し合い、問題を解決することがもっとも有効です。

 

 コンフリクトの発生する原因を分析すると、

1.嫌い、気に食わない、(相手が)仕事ができない奴だ、こちらが損だ、とか、面倒とか、とても感情的でシンプルな、話し合いをすれば解決することの話し合いができていない

 

2.話し合いをしても、なかなか解決策が生まれない

 

3.解決策が生まれてもルール化できないため解決できない

 

4.ルールが現場のルールというよりも病院全体の制度に起因するものであれり、制度改革が必要となる

 

といったものに類型化されます。

 

 これらを病院としてどうするのか考えることでコンフリクトを解決します。

 

 まず、病院トップや各責任者は、病院全体にどのようなコンフリクトがあるのかを探し山積みにしたうえで、

1.コンフリクトを整理して、優先順位を決定する

 

2.優先順位に応じて、毎月のテーマを決定する

 

3.一つひとつについて事前に課題を整理し議論する

 

4.毎回必ず一定の方向を示し、次回にその進捗状況を把握して必要があれば、さらに対応のための指示を出す

 

5.必要に応じてルールをつくり制度を改定して問題解決を行う

といった対応を行います。

 

 部署間コンフリクトを解決することで、関連部署の関係は改善し、現場の生産性は飛躍的に改善します。

 

 ある病院では、外来処置室で検査科ばかりが採決を行い、看護が手伝ってくれない、という理由から外来看護と検査科の仲が悪くなり、いがみ合っていました。

 

 院長に介入をお願いし、検査スタッフの増員を図ったところ、あっという間に仲が良くなったという事例があります。

 

 また、看護師が医師に連絡を取りたいとき、医局事務に医師の所在を管理してもらうよう依頼していましたが、忙しいと断られていたので、看護師は自分たちで医師を探して用を足していました。

 

 院長から医局事務員に日報をつけるよう指示を出したところ、アイドルタイムがたくさん見つかり医師の居場所を常に管理するよう指示され、問題が解決されました。

 

 つまらない話に聞こえるかもしれませんが、現場はこんな事が沢山あり生産性を落としているのです。

 

 該当部署だけで問題解決をしようとするのではなく、必ず院長を交えた病院幹部間で議論し、どうすれば解決できるのかを検討し、組織間調整を行うと、見違えるように組織のコミュニケーションが行えるようになります。

 

 ただ、本質的には、職員本人にとって受け容れられる組織目標を明確にすることと、協力して目標達成することに職員が必死になれる環境やリーダーシップが有効です。

 

 他人ではなく自分が変わろうと能動的に動く職員で溢れる組織は強靭で、負けません。

 

 職員一人ひとりが、前に進もうという意識を以って感情や軋轢を超えお互いに協力すれば、よい結果が生まれて合理的な組織活動が行えるようになると信じています。

 

 これって、どの業種にも該当することですが、仲良くすれば生産性が上がる、ということに他なりませんよね。