よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

組織を支える、すごい3つの規程

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 物事を円滑に進めるためのはルールが必要です。

 

暗黙のルールもありますが、明示的なルールがあれば、誰でも基本に立ち戻れます。

 

今日は、仕事をする上でベースとなるルールについての話です。

 

組織が小さいときにはあまり気にはなりませんが、ある程度の規模になったときには、これらがないと、あちらこちらで混乱が起こります。

 

これは俺の仕事ではないですよね、とか、えー、私に責任あるんですか?また、これって誰かに許可必要でしたっけ?のようなことが常に起こるし、君って、こんなこともできないの?とかいうことが常態になるからです。

 

ルールがあり、周知されていれば、組織がうまく回る可能性はかなり高くなりますよね。

 

ということで、何処かで必ず役に立つ職務分掌、職務権限、職務基準の3つの規程、ルールを簡単に説明するので、お付き合いください。

 

まず、職務分掌は各部署毎の業務(≒仕事)の担当を示す規程であり、権限規程はそれぞれの業務の権限をきてする規程です。

 

職務分掌により各部署の役割が明確になるとともに、権限規程によりそれらへの権限と責任が明らかになります。

 

そして職務基準は、職種や職能等級制度における資格ごとに、各業務を課業レベルに分解し、どの資格者がどのレベルまで当該課業を実行できなければならないと決める基準です。以下説明します。

 

1.職務分掌

職務の分担が明確でないと、その仕事は自分のものではないというケースが出てきて仕事ができなくなる事態になります。

 

職務分掌が網羅的かつ明確であれば、Aという仕事はA部署の、BはB部署の仕事であると決まり、それぞれの部署が連携しながらある業務ができるようになります。

 

但し、緊急時にAという仕事が発生したときに、A部署のメンバーがいないとある業務は停滞します。

 

いつでも何かあったときに対応できるように、どの部署でもできるようにしておく必要のある仕事ももありますね。

 

なお、ある部署のなかで担当が決まっているので、他の担当者の仕事はしない、職務分掌にないし、ということのないよう、コミュニケーションを取りながら業務を円滑に廻せるようにしておくことも大切です。

 

2.権限規程

権限は、起案、審査、承認、(実施)、報告の4つで行使されます。

 

起案はこれをしたらどうでしょうという提案をすることです。

また、審査はそれが業務に必要であるのか、予算内であるのか等をチェックすること、また、承認は実行していいという決裁を行うことをいいます。

そして報告は、決裁の結果実行されたことが当初の決裁通りであったことの報告を受ける権限をいいます。

 

これらがルール化されていないと、責任が明らかになりません。なお、権限は実行責任を伴います。やるからには責任とってね、ということですね。

 

3.職務基準

 職種別資格別に職務や課業を明らかにした規程です。職務(仕事)は、いくつかの課業に分かれます。

 

課業とは一人ひとりに与えられた仕事の単位をいいます。

 

例えば発注業務であれば、発注すべきものの確認、発注承認、発注ソフトの立ち上げ及び発注入力、発注後チェックといった仕事に区分されら、といった具合です。

 

場合によれば相見積りの入手、検討、値引き交渉といった仕事も追加されることもあります。

 

これらを活用することで、Aという仕事はA部署のどの資格者が(予算の範囲で)どのように仕事を進めていけばよいのかが明らかになります。

 

逆に言えば、この資格の人はこの仕事ができなかればならないですよ、という基準になります。通常、ある課業について、支援すればできる、独りでできる、完全にできる、教えることができるに区分しています。

 

評価や教育のためにも、職務基準が無いと管理が難しくなろことは間違いありません。

 

君だったら、規程上完全にできるレベルじや無いとダメだよね、と言った評価を行い、不足するところを教育の対象とするのです。

 

如何でしたか?かなり端折って話しましたが、ここでいう3つのルール、規程や基準が、業務を適切に行うために不可欠です。

 

実務においては、これらすべてを整備しなくても業務は回ることが多く見受けられます。

 

自然に出来上がったルールのなかで組織が運営され、役職による上下関係があれば、それで事足れりというケースです。

 

しかし、冒頭説明したように、権限規程がないことにより、組織内における責任が不明確になり、事が進まないことがあったり、権限なく事が進んでしまい、問題が発生することがあります。

 

組織が一定規模になったときには、生産性を担保する基本中の基本であるこの3つのルールを整備し、ムダのない運営が行われると良いですね。