よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

仕事で好かれる人は、うまくいく

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 以前、病院間の連携強化を図るためにクライアントの連携室(一般企業でいえば、コンシューマ営業部のイメージ)の名刺をもち大学附属病院に訪問したことがあります。

大学の教授であり同院の院長にお会いしました。

 

長い時間を医療の発展に捧げ、何かを成し遂げた人だけが持つ、穏やかな達観か表情に見て取れます。

 

私は、何がなんでも多くの(患者)紹介をもらいたい一心で、たぶん目をキラキラさせながら、「先生の病院と今まで以上に連携強化をさせていただきたく(強いネットワークをつくりたく)思います。

 

どうすれば連携をもっと強固なものにさせていただくことができますか?」と、後から思うと恥ずかしいほどの猫撫で声でお伺いしました。

 

院長から、論理的で合理的な話をいただけるとワクワクしていた私に、「それは君、看護部長や事務長と仲良くなることだよ」と院長は一言だけ答えられました。

 

これが連携(ネットワーク)の本質です。私は院長の言葉に妙に納得してその場を辞した記憶があります。

 

もちろん、紹介元は患者に合った機能の病院を紹介するのは当然です。そのうえで、

1.治療に適した環境がある

2.安心して紹介できるクオリティがある

という条件があります。

 

 その要請に応えるよう、紹介を受ける病院は常に意識しながら治療やケアに当たる必要があるのです。

 

しかし、それらのバーを一定程度クリヤーするのであれば、あとは連携が人と人のつながりでできあがっていくことは明らかです。

 

1.相談に迅速に対応してくれる、

2.紹介元の状況を把握し、肌理の細かい対応をしてくれる

3.約束を守る

4.誠意をもって対応する

など、人として信頼できる連携室職員、相談員、ワーカーでなければなりません。

 

人間関係は、患者や家族、そして紹介元病院職員など相手の立場にたち誠意をもって物事を考えることでつくられます。

 

好かれる人と、好かれない人、嫌われる人の差がつくのは、ここであげた対応ができるかどうかで決まってしまうんですね。

 

もちろん、紹介元の病院も、紹介先の状況把握を行い、現状を踏まえたうえで対応することが通常です。

現状を無視した(受け入れることを強要するなどの)無茶な対応をすることは控えなければなりません。

 

とはいっても患者や家族の状況は思いもよらない、想定できない方向に進むこともあり、また自院のベッドコントロールからの突然の要請もあります。

紹介元病院の機能を最大限発揮するために、患者や家族の意向を重視したうえで退院支援を行わなければなりません。

 

そんなとき、こちらの気持ちになり紹介先病院が臨機応変に対応してもらえれば、良い関係も生まれます。

 

何れにしても紹介を受ける連携室職員は、入院ルールや医師、病棟の状況等、自院の態勢や状況を常に掌握し、それを伝えるなかで、紹介元との人間関係を強固にするよう活動しながら、連携を行う必要があります。

 

紹介元も紹介先の職員も、患者や家族の思いを軸に医療従事者としての良心をもって活動することで、両者の関係が良好になり、院長がおっしゃった、「仲良くなる」ことができるのだと考えています。

 

どのような立場であるとしても、人として何が大切なのか何のために仕事をしているのか、を常に自分に問いかけながら活動することの大切さを教えてもらう機会になりました。

 

 今日の議論は、医療機関だけではなく、あらゆる仕事において社内外のネットワークをつくりあげるときに当てはまる重要な内容です。

 

 誠意をもって顧客目線で相互にベストを尽くし、他人からあの人は仕事ができるし誠実な人だよね、と好かれ関係づくりを行うことが、仕事を円滑に進める唯一の方法なのだと気付きます。

 

 できそうでできない、常に念頭に置いて自分を高めていく、奥の深いテーマだと考えています。