よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

決意し行動する手法

 

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 何かをやりたいという思いの実現のため、何かを始めようとするには、十分な調査、分析が必要です。

 

 決めたことを成し遂げるために調査を行い、データを分析して、意思決定を行わなければなりません。

 

 ここで意思決定とは、目標を達成するためにいくつかの手段を列挙し,それらを分析し,そのうちから一つを選んで決定する人間の活動をいいます。

 

 意思決定を行うときには、いくつかの代替案を用意し、そのなかで何が求めるものに最も近いのかを合理的に見極めて、選択のための判断を行うことが大切です。 

 

 このようなやり方はどうか、こんなアプローチをしてみよう。始めにうまくいかないときには、こうしてみよう。この段階までいったら次はこうしてみよう、などとあらゆる事を想定して準備するのです。

 

 思い込みにより深く考えずに、また人の意見も聞かないまま、準備不足で何かをスタートしてしまっても、ときにはうまくいくことがあるかもしれません。

 

 しかし大抵の場合には、十分な準備を行い、それから行動を開始することのほうが、成果を挙げられる可能性が高くなるのは間違いありません。

 

 私も、過去さまざまなことを熟考なしに始め、痛い目に会い続けて、最近やっとこのことに気付きました。

 いままでを振り返るととても恥ずかしくていたたまれない気持ちになります。

 

 その痛みをもちながら、少しはましになったものの、それでもうまくいかないこともあり、何かをやり遂げるのは難しいと感じています。

 

 なお、行おうと考えたこと自体が適切ではないときには、いくらその達成のための方法や手段を考え意思決定しても、うまくいかないし、もちろん方法や手段が適切ではなくても成果は挙がりません。

 

 しっかりと分析、準備を行い最適な方法で事を始めるべきだと、身に染みて思います。

 

 ただ、完璧に準備をしてから何かを始める、ということも、時代が大きく変わる今では、タイミングを逃したりチャンスを活かせないことがあり、事案によっては、どこまで準備をすればよいのかも様々だと考えています。

 当初の分析や検討が十分にできたと考えても、実は網羅的であるはずがないと考えればなおさらです。

 

 ある程度の準備をしたうえで、まずは(ユーザー視点の)アイデアを出して実験し、結果をフィードバックして次に進むことが良いと言われています。デザイン思考(デザインに必要な思考方法と手法で、ビジネス問題を解決する考え方)によるものです。

 

 できるだけたくさん失敗すれば、成功に早く近づく、という発想が根底にあります。アイデアを出し、やってみて失敗したらその結果を活かしてまたアイデアを生み次にいく、というサイクルを回していくのです。

 

「うーん、あれでもないこれでもない、この角度からみるとこれで、違う視点から考えるとこのやり方かな」と言っている間に時間はあっという間に通り過ぎていきます。

 

小さく始めて実験し、うまくいけば、さらに工夫をして次のアイデアを出し、次に進む。うまくいかなくても結果を活かし、次のアイデアを考え、実験してみるという繰り返しが必要だという結論です。

 

「思いつきで行動し、失敗して諦める」ことを最低とし、「あれこれ長い時間かけて方法や手段を選択し、うまくいく」ことが最高だとします。

 

そうすると、始めからうまくいかないかもしれないけれど、「その時点でもっとも良いアイデアを出して、最善を尽くして小さく実験し、結果をフィードバックしながら次に進む」こと、というアプローチが、ちょうど中間のやり方になります。

 

過去は石橋を叩いて行動するパターンがベストであり、適切であったとしても、タイミングが合わなかったり環境変化によりチャンスを逃すことがある。 

 

それを考えれば、従来の意思決定による行動を、より効果的に廻し、「アイデア→実験→フィードバック」をできるだけ早く先に進むやり方に変えるのが時代に合う、と考えています。

 

目にも止まらぬ速さで時代が過ぎ去ってしまう今、従来の意思決定と行動の関係も、新しい行動様式にバトンを渡す時期が来ているのかもしれません。