よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

達成感のために、何から始めますか?

 

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 我々に与えられた時間は有限です。

 

 なので、ある期間内に複数仕事を行わなければならないとき、優先順位をつけて行動しなければなりません。

 

 例えば、5つのことを1週間で終わらせなければならないとき(似たようなことを多くの人が実践していると思いますが)使うと便利な方法があります。

 

 緊急性(Emergency)、重要性(Importance)、困難性(Difficulty)を使います。これらを基準としてやらなければならないこと、やりたいことを一つひとつ評価し、優先順位をつけて行動することで、時間を有効に使えます。私はEID(エイド)と言っています。

 

 緊急性、重要性、困難性以外の変数をたくさんつくると組み合わせや評価が複雑になるので、試行錯誤の結果、この3つに落ち着きました。

 

 仕事においては、まずは緊急性を第一とし、その後重要なものはどれか、行動が困難なものはどれかという手順で評価し、複数のタスクの優先順位を決めることが有益です。

 

 緊急性は、顧客や組織からの要請が緊急であるものをいいます。

重要性は、顧客や組織にとって重要なものであるかどうかで判断します。

また、困難性はその仕事が難しいかどうか、時間がかかるものであるかどうかを基準に選定します。

 

 緊急性はとても大事です。緊急性の高いものは、それを必要としている人や組織があり期日は決まっているからです。

 

 重要性が高かったり困難性が高いほうから先にやり、緊急性があってもすぐできるものを後回し、という人もいるかもしれませんが、後回しにしたおかげで、そのタスクが終らなかったりしたときなど、万が一のことがあり、ニーズに応えられなければ例え簡単なタスクであったとしても相手から信用を失うことがあります。

 

 なので何がなんでも緊急性を一番に考えるのが無難です。

 

 次に重要性です。これも、あるタスクを重要だと思っている人や組織があり、自分以外の他者が判断していて揺るぎのないものであり、いやいやこれは重要ではないだろう、と自分で判断できません。

 

 仕事は自分だけの考えで動いているのではなく、第三者のニーズなので、二番目には重要性を基準とします。相手にとってどうなのかを常に考え(これ大事ですね)判断基準をつくり運用すると良いでしょう。

 

 緊急性の評価をしたのち、重要性の高いものは先に処理するというながれです。

 

 困難性というのは、現状、実行が難しいだろう、時間がかかるだろう、という自分の価値観や経験による予測に基づくものであり、絶対的なものではありません。

 

 後述しますが、組織内の仕事ができる誰かや外部のプロの友人や知り合いに任せれば円滑にいくし、時間も短縮できます。

 

 自分の工夫や創造次第でどうにでもなる可能性があるということもあり、いくらでも変化しうる相対的な条件として捉えることが得策です。なので、最後の基準とします。

 

 さて、上記の考えに従って、H…高い、L…低い、と定義したとき、緊急度、重要度、困難性による優先順位の付け方は次のようになります。

一番は緊急度H、重要度H、困難性Hの仕事です。

二番は緊急度H、重要度H、困難性L

三番は緊急度H、重要度L、困難性H

四番は緊急度H、重要度L、困難性L

五番は緊急度L、重要度H、困難性H

六番は緊急度L、重要度H、困難性L

七番は緊急度L、重要度L、困難性H、そして

八番は緊急度L、重要度L、困難性L

という順番です。

5つを上記のスコアで評価し、仕事の順番を決めることが有効です。

 

 ところで、優先順位をつける前の前提をクリアーする必要があります。

 まず、自分の使える総時間を見積り、そのうえで一つひとつのタスクの総和時間を推定します。5つの仕事を行う時間をとれるのかを予測するのです。

 

 このときにはタスクの内容や困難性に注目し、全体の凡その時間を見積もったうえで、資源としての

時間と行動の時間を擦り合わせ調整を行います。

とりわけ、自分総時間<タスク総時間のときには、自分ではタスクのクリアーが難しくなります。

 

 なので、この段階で自分では賄いきれない業務については部下や仲間、上司に依頼して全体を自分の時間に収まるようにスケジュールをつくっていきます。

 

 これは優先順位ではなく、全体の見積もりと自分の時間とのすり合わせプロセスです。ここでコツがあります。全体の80%の時間で終了することを前提として考えることが大切です。

 

 そもそも、一つひとつのタスクの見積もりは「勘」に依存していて、絶対的なものではありません。20%は余裕として押さえておくのです。

 

 そして、5つの仕事を、当初はすべて100%での完成度を目指すのではなく、一つひとつをシングルタスクとして合格点の80%で仕上げ、残りの時間で相手が大切に考えている(自分が重要と考えることが相手にとっても重要とすれば、自分の重要性判断も貴重ですよね)、重要度の高いものから仕上げていきます。

 

 もうすでに合格点には到達している(この評価については第三者の眼も必要なケースも多いと思います)が、そのうえでより良いものに仕上げていく時間を20%のなかからとる、という考えです。

 この方法により、いくつかを始めから完璧にしようと仕事をしていて、残りの仕事が合格点に到達しないまま時間切れになりそうという泥沼からの回避ができるのです。

 

 ここでは1週間で5つと設定しましたが、プロジェクトや、時間をかけて達成しなければならない複数のジョブがあるときでも上記の優先順位付けは有効です。

 

 何かを始めるとき、必ず基準をもうけて意思決定し、計画を立て、行動に移すことが大切です。

 

 それこそ緊急にいまやらなければならない仕事を日々こなす毎日であるとしても、やらなければならないこと、やりたいことを複数定め、有限の時間をどううまく使うのかを考えるときの、小さなきっかけとして使ってもらえればと思います。

 

 さて、もう一つ伝えたい重要なことがあります。上記の優先順位(エイド)をつけて仕事をするときには、既にお分かりのように自分のファンをたくさんつくっておく必要があります。

 仲間にしても部下にしても、上司にしてもあなたのファンであれば、仕事を振ったときに二つ返事で助けてくれます。

 

 信頼や信用がなければ、例え部下でも指示をしっかり受け止めず、気持ちの入らない仕事をされえ後でフォローのための、とてつもない莫大な時間をとらなければならないこともあるからです。

 

 いわんや仲間や上司は、こちらの依頼や、お願いに耳を傾けることはないでしょう。

 

 日ごろから仕事に対する態度や姿勢を良いものとするとともに、積極的にコミュニケーションをとり、他者を懸命に支援することを心掛け成果を挙げて、「必要とされる人」になる努力をしておかなければなりません。

 

 人に好かれる仕事ぶりや人格形成への取り組みが、他者からの気持ちの良い支援を受けて、自らの成長や達成感を生む人生につながると私は考えています。

 

 仕事をうまく行い、成長するとともに達成感を得るため、何から始めるのを考えた時、まずは人から「好かれる自分づくり」より始めなければならないのかもしれませんね。