人は一人では生きていけません。
誰かの助けを受けたり、誰かを助けながら社会で共存し、生活しているのです。人は、他人との関係をどのようにつくりあげるのかについて意識を振り向けなければなりません。
とりわけ仕事で成果を挙げていくためには、相手から好かれる仕事をしていくことが必要です。
相手から好かれる仕事をするためには、
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仕事に対する正しい姿勢(Correct attitude)や適切な行い(Appropriate action)を心掛ける
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仕事で必要とされる人(a person Needed)になる
ことが重要です。我々は頭文字を取ってCAN(できる!)と言っています。
CANの要件が備わることで、仕事のうえで人から好かれ、うまく仕事ができるようになります。
CANでとりわけ大切なのは「仕事で必要とされる人」になることです。
仕事に対する正しい姿勢や適切な行いも重要ですが、実力がければいつかは見透かされます。
仕事で必要とされる人になるための条件は何か、を考えます。
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仕事に精通している
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仕事以外の知識を持つ
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先見性をもつ
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創造性をもつ
ことが大切です。
当然ですが、まずは仕事で得意分野をつくること、そして自分の仕事の領域以外の知識をもつことも重要です。
そのうえで、常に、これからの世の中はどう変化するのか、経済はどうなるのか、自分の仕事はどう変わるのか(変わるべきなのか)を考えます。
先を読めない人と仕事をしたいとは誰も思いません。先を見ることができる人は、それに備えて何かを創りだすことができるからです。
足元を固めたうえで、常に先をみて環境適合し仕事ができる創造的な人だからこそ、一目置かれ、仕事ができる人だと認められます。
仕事への姿勢や態度、そして高い人間力をも備えたうえで、あの人と仕事をしたいと慕われることは、仕事で好かれることを意味しているのです。
人から好かれるためには、上記に留意したうえで、他人が自分をどのように思っているのかを推測し、ネガティブな問題を発見して修正することが有効です。
なお、好かれる為に相手に媚びたりおもねたりするのは間違いです。自分で「やらなければならない」ことを制限してはなりません。
上記を徹底した上で、気持ちをスコア化して評価します。まずは、自分が他人をどう思うのかをスコア化するところから始めます。
自分の他人への気持ちを憎い(-4)、大嫌い(-3)、嫌い(-2)、少し嫌い(―1)、何とも思わない(0)、少し好き(+1)、好き(+2)、大好き(+3)、愛している(+4)というレベルに分類します。これをマーシースコアといいます。
憎いと愛しているは反対の概念です。ここで「愛している」のレベルは、仕事では、何事にも代えがたいほど気に入っているという意味です。
0を中心に反対の思いが配置されています。人の生命(いのち)は、人の感情(好き嫌い)を常に上下させています。仕事でも同じです。気に入っていた上司が酷い言葉を投げかけてきたときに人は同じ気持のレベルでいられるはずはありません。
逆に嫌な上司があるとき急に優しく接してくれればレベルは上がります。マーシースコアを常に高められるよう行動することが必要です。
さて、愛している上のレベルには慈悲(+5)のレベルがあります。対価を求めない、相手に対する思いをいいます。この人と働きたい、何でもしたいというこのうえない慈しみの情も含めたスコアレベルです。
この+5の反対概念はありません。普段の気持ちの移り変わりを凌駕した意識と捉えています。これをマーシー(慈悲)レベルといいます。
上記で説明した要件を充たし人に好かれるだけではなく人間力を磨き成長して、この人のためならどのようなこともしてあげようと思う人と仕事をしたり、そういう人になることが大事です。
さて、自分が他人に接し、自分の相手に対するスコアを評価して、この人を嫌いな理由はここ、好きな理由はここ、愛している理由はここだな、この人には対価なしについていきたい、それはここが凄い、尊敬している、と感じられるよう訓練します。
その思いを以て、こうすると仕事のうえで相手から嫌われる、こうすると好かれる、愛される、対価なしに何でもしてくれる※ようになるという意識で行動するのです。
「人のふり見て我が振り直せ」ということですね。
※なお、マーシーレベルはこちらから求めるのではなく、結果として相手が持つ、子犬を抱いたときの可愛いという感情や、自然に触れて感動したときの心から無意識に湧き上がる感覚を言っています。
これができるようになったら、次に相手が自分のことをどう思っているのかを感じ取る訓練を行います。同じようにマーシースコアをー4から+4、そして+5のどこに相手の気持ちがあるのかを推定できるようにしていきます。
相手の表情や仕草、態度や姿勢から自分に対する気持ちを読取り、マイナスと考える状況を修正していきます。
もちろん、表情や態度には出さないけれど、嫌われていることもあるので、どれだけ敏感になれるのかが肝になります。
相手の嫌がることをなくし、好かれる仕事の仕方を取り入れることで、相手が自分に対してもつ(と思う)マーシースコアを上げていきます。
相手を観察し、好き嫌いをスコア化して自分を振り返り、人の振り見て我が振り直すとともに、相手が自分をどう思っているのかを推測しながら、行動を修正し相手のマーシースコアをあげていく活動が、自分を成長せるきっかけになるのです。
仕事の態度や姿勢、求められる人になることに全力を尽くすとともに、マーシースコアを使って自分の行動を振り返る。
このながれを自然に行っている人は数多くいます。仕事ができると一目置かれる人達です。
多くの人と協業し何かを創り上げていくことが人生だとすれば、相手を好きになり、好かれる関係を多数つくりあげることが大切です。
そして、最終的には、この人のためなら頑張れる、というマーシーレベル(マーシースコア+5)を持った人に選ばれて一緒に仕事ができる自分になることや、相手からマーシーレベルを持ってもらい、自分と仕事をしたいという人を増やしていけるよう精進していきたいものです。
そんな環境において行われる仕事は、きっとやりがいのある、そして大きな達成感を得られる仕事になるに違いないと、私は考えています。
(出典:拙著 私のマーシーレベルは♾)