ネットワークとは「網状につくられたもの」ですが、そこから「人と人のつながり」、すなわち人脈の意味で使われることがあります。
そのネットワークは、社内と社外のつながりに区分されます。社内でも社外でも年齢や役職の上下に関係なく人脈が必要です。
ここで、人脈は単なる「知り合い」ではなく、「つながり合い」を示しています。
人脈を語るときの文脈は、人脈があることで仕事がうまく進むことに重きを置いているので、必然的に単なる知り合いだけでは足りない、と考えているのです。
情報網の一つとして知り合っていて、何かを行うときに相互にメリットがあるので話しが進む、という事例もありますので、知り合いのレベルから何も生まれないということではありません。
大企業で社内の知り合いであれば、「以前に関係したことがあり知っている」ことは、挨拶をしてこれから仕事を一緒に始めるよりは親近感が湧くというのは間違いありません。
しかし、社外において名刺交換をしてアプリに登録をしているからといって、彼らに支援してもらいたい、というのはなかなか難しいと考えています。
以前流行っていた異業種交流会の挨拶だけで、爾後一緒に仕事をするというケースは、実際のところ「先ほど説明した相互メリットがなければ)あまり多くはないのではないでしょうか。
ということで、社内でも社外でも本当のつながり合いをつくろう、というテーマに辿り着きます。
ネットワークを語るときは、「本当のつながり」をどれだけもっているかが対象になるのです。本当のつながりは相互信頼関係です。その裏側にはお世話になっているという感覚があります。
ある企業の年間表彰で、いつもニコニコして控えめな経営企画室長が社長賞をとりました。
実践力のある彼は、現場の社員が働き易いように、いつも問題を発見し、現場に入り支援をしていました。
頼まれたことは自分のミッションの範囲ではないと考えても、徹底してやったし、頼まれていないことも現場から情報収集を行い、積極的に課題解決を行いました。
結果、多くの社員から、彼にはお世話になり本当に感謝していると評価されたし、そのプロセスで働き易くなった社内は大いに盛り上がったのです。
このケースは、単なるパフォーマンスではなく、その人の仕事に対する姿勢に起因するできごとであり、小さな組織でも同じ関係性はつくれます。
社内のどんな仕事でも、依頼があったり気付きがあれば能動的に取り組み解決する、という姿勢や態度は、自らの成長を促し、信頼やその次のステージである信用、安心を得て、本当の「つながり合い」をもたらします。
社外でも同じです。
ただ、社外からの依頼であれば、自分にとっての本業があり、なんでもかんでも相談に乗ることは組織目的から逸脱する可能性もあります。
しかし、許容される範囲で自分のできることは引き受けて支援する。その繰り返しが相手の心に響き、こちらに解決すべき課題があったときに、自分のために骨を折ってくれる背景をつくり出すのです。
このような対応ができるためには、
- 本業に精通し比較優位をつくり評価される
- 仕事から得た知見を更にブラッシュアップし、どのようなことにも対応できる自分をつくる
- 何よりも誠実に生きる
- 人間力を磨く
ことが必要なのかもしれません。
自分独りでできる仕事には限界があります。
人は、社内であれ社外であれ、常に誰かに支援してもらい、また支援を行い仕事をしています。それぞれの特色を持ちながら協力し合い、人生や仕事の絵を描き続けているのです。
その事実を深く心に刻み、経験を積み、自分ができることを増やしながら、相手のために行動する。そのことが、仕事を進めるうえで大切なことの重要な一つであることが分ります。
益々厳しい時代を迎え、それぞれが自己鍛練した上で皆で助け合いながら新しい価値をつくりだせなければ、これから先の自分を思い描くことはできないと考えています。
仕事を進める上で、社会人としてもっと言えば人として、ネットワークの大切さを認識し、決して手を抜かず、いまこそ億劫になりがちな自分の殻を破ることに、注意を振り向けなければなりません。