厳しい環境を迎え、企業においてはトップマネジメントや従業員一人ひとりが意識・行動を変えなければ、組織のみならず自分達自身も生きていけないことは明らかです。
組織構成員の姿勢は、2つのグループ(以下G)に分かれます。
一つは、現状に満足している人や、満足していないけれども現状から変われないという、「現状容認G」の人々です。
ここで、満足していないけれども現状から変われない人には、今ある仕事をクリアーすることで精一杯の人が多いことを知っています。
これを成し遂げたい、何かをやりたいという思いをもてない人達です。
たとえ今の仕事に対する不満があっても、そこからどう動けばよいのか分からない層に属しているのです。結果として現状を容認している人々です。
一方で、現状に満足していないので変えたいと思い、行動する人がいます。
活動しても、やろうと思ったことの一部しか達成できない人もいるし、活動して思い通りに事を進める人もいますが、一部であろうと全部であろうと、現状から少しでも前に進みたいとして行動する、という意味で「現状打開G」の人々です。
現状容認Gの「満足していないけれど何からやればよいのか分からない人」のなかには、外部から刺激を受ければ、現状から脱却できる人がいます。他律的な目標を達成するために、努力することへのモチベーションをもつ人です。
自分は何から手を付ければよいのか分からないけれど、意識は前向きで、言われたことを実行することのなかに活路を見出すことができます。
他律的な目標の達成が、深層でもつ自分のやりたいことを達成できる機会であればなおさらです。
ただ、刺激を受けても組織に依存し、安住することで、「現状容認G」からどうしても抜け出せない人もいます。
たぶん、彼らはこれからの時代を生き延びることはできません。提示された目標を達成しなくても、何とも思わない、低い評価をされても意に介さない人々です。
現状を打開できない人々を支配しているものは、
- 怠惰、
- 意欲、
- 価値観、
- 性格、
- 知識や経験、
- 健康
といったものですが、どこに自分の課題があるのかを発見し、積極的に課題を解決していかなければなりません。
皆さんがご承知のように、後悔先に立たずという諺(ことわざ)があります。いうまでもなく、すでに終わったことを、いくら後で悔やんでも取り返しがつかないことを言います。
ヴォーン・ベルは、著書Mind Hacksのなかで、人の後悔には2通りあり、それは、「やらなければよかったと思うこと」と、「やっておけばよかったと思うこと」だと説明しています。
私は、やらなければよかったと思うことよりも、やっておけばよかったと思うほうが後悔すると考えています。
もちろん、未熟な自分にとって、あんなことを言わなければ、あんなことをしなければ、あんな態度をとらなければと後悔の日々が続きますが、それはいろいろなことをやった結果であり、学習すれば徐々に少なくなります。
しかし、あのときやっておけばよかったという後悔は、二度とやり直せないこともあり、自分の心の中に重く、長く残っています。
ヴォーン・ベルは、『行動を起こしたことに対する後悔の念は、行動を起こさなかったことに対する後悔よりも一般的で、より強いものである。しかし、行動を起こさなかったことに対する後悔の念は、長く続く傾向にある』と説明しています。
今、何かをしないことは、自分にとり後悔を引きずることになるんですね。
人は常に「現状容認G」であり続けることや、「現状打開G」にいることはありません。時代や環境、人生のいつの時期にいるのか、また、調子の良いときも良くないときもあり軸足が変わることもありえるからです。
しかし、今は違います。どうしても「現状打開G」に身を置かなければならない時代が到来したからです。
組織においては自分だけが変わっても思うように事が進みませんが、他人を変えることはとても難しく骨が折れます。最も変わり易いのは自分であることは間違いありません。
私も含め、多くの人がまずは自分に打ち勝ち、自分や組織を変える。そして、ターゲットを明確にしたうえで「現状打開G」に所属し、やっておけばよかったと後悔しないで済む人生を送ることができれば、きっと大きな達成感を得られると、いま考えています。