ここでの「挫ける」は、勢いや意欲がそがれるという意味です。
「挫ける」を、精神的な領域で起こる感情の変化と捉えると、人によってその気持ちの程度が異なることは容易に想像できます。
挫けた、という場合、大きなものは10、中程度のそれは5、小さなものは1だよね等と、普遍的に定量化できるわけではないからです。
小さな壁であってもつまずいて大ケガをする人もいるし、小さな壁でつまずいても、おっとっとという感じで転ばないで済む人もいますよね。
ここで、「挫けること」はとても主観的なものであることが分ります。
人により、ある出来事に対する挫けることの気持ちのレベルは異なることをここでは議論の対象とせず、一般論で話を進めることにします。
さて、前置きがながくなりましたが、挫けるという言葉の背景には、
・目標をもち、
・何かをしていて、
・うまくいかない
状況があります。
目標がなければ、つまずかない(つまずきようがない)ので、挫けることはありません。
目標があるから、何かをしようという思いが生まれます。そして、そこからの行動がなければ壁にぶつかることもありません。
なので、妙な言い方ですが、挫けるためには、目標があるだけではなく、何かを始めなくてはなりません。
目標に取り組もうとしたけれども挫折した、ということはあるとしても、どちらかというと残念、という程度であり、挫けるレベルまではいかない気がします。
目標の達成に情熱をもっているとしたら何かを始める、そこでうまくいかないときにはじめて挫けるの領域に入ると考えています。
目標がなければ挫けようがない。目標があっても始めていなければ挫けない、ということになります。
例えば、日々言われたことをこなすだけの仕事や、目の前のルーチン業務を行っているとき、失敗する、うまくいかないことがあるとします。
もともとその仕事において、「これをクリアーすることでこんな自分になろう」という意欲や勢いがないのであれば、「あーあ、なんだよ」という思いで、凹む、気が滅入るということはあるかもしれませんが、挫けるというレベルの感情にまでは至らないと考えているのです。
目標がなかったり、大きな思いに裏付けられ情熱をもってその達成に取り組めない目標では、挫けもしない(できない)というのはとても寂しいことだと思います。
挫けることは嫌だ、嫌な思いをすることなく安楽な人生を送ろう、というのはその人の価値観なので、良い悪いの問題ではありません。
しかし、普通に生活しているのでは安定を維持できない可能性が高くなってきたいま、本当に何かに挑戦しなくてよいのかは疑問です。
国も組織も最終的には自分を守ってはくれません。国や組織自体の継続性が担保されない時代になりました。
少なくとも、アフターコロナの時期には、日本が必ずそうするだろうと思われる大きな増税や、株価の下落による景気の悪化が取り沙汰されている現状があります。
それぞれの環境で自分が力をつけ、どう勝ち残るのかを考える状況にないとは口が裂けてもいえません。
現状に妥協してはならないのです。
常に今や近い未来をより良くするために何をするのかを考え、日々行動しなければなりません。
組織の成功は、自分の成長の帰結と理解し、日々工夫や創造を行うとともに、その環境をつくるために何をするのか計画し行動する。
また、自分の思いを整理し、また、何をすれば自分が光り輝くのかについても意識し、今こそ新しい活動を開始することが求められているのです。
自分のSWOT(強み、弱み、機会、脅威)分析を行い改善のための目標を設定するとともに、自分の比較優位をつくり出すために何をすべきかを計画することが適当です。
そして挫けず妥協せず、自分の決めたことを必ずやり切る勇気と努力を惜しんではなりません。
アンジェラ・ダックワースの著書、「やり抜く力GRIT」のGRITでは、
- Guts(度胸)
- Resilience(復元力)
- Initiative(自発性)
- Tenacity(執念)
の5つが成功の要諦であると説明しています。
困難に挑んで、逆境であってもそれを乗り越える勇気をもつこと、そして途中で挫けても立ち直る力をもつこと、何事にも率先して取り組む力を身に着け、どんなことがあっても決めたことに集中しやり続ける能力を養う必要がある、という内容です。
もともと、英語のGritという単語は、困難にあってもくじけない勇気を意味していますが、まさに、「やり抜く力GRIT」は、我々に「挫けず妥協せず」ことを教えてくれているのだと思います。
誰もが「これから」について漠とした不安を持っている(だろう)いま、皆が何かの目標をもち、挫けず妥協せずの意識をもって、何度挫けても、這い上がり前に進む。
そして、日々たった一歩でも前に進み続けていくことができれば、必ず時代を乗り越えていけると考えています。
近い未来を目指して、限りの無い自己変革への挑戦に、私も仲間とともに取り組んでいきます。