よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

生産性を高める

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 生産性とは、生産力の度合をいいます。

 

 企業は、経営資源を投入して成果を得ることを生業(なりわい)としています。

 

 ヒト、時間、情報、カネ、モノの経営資源一定にて、成果を高めることを生産性向上といいますが、各企業は生産性をどのように高めていくのかに注力してきました。

 

 生産性向上を分り易く言うと、一人の人が8時間で10の仕事をしていたときに、8時間で20の仕事をできるようになること、ですよね。生産性は2倍になっています。

 

 このケースでは10の仕事を4時間でできるので、1時間当りの人件費は半分になっていることが分ります。これを、私は単位当たりコストの削減といっています。

 

 生産性を向上するためには、

  • 仕事の仕組みを見直すことと、
  • 個人の技術技能向上を図ること

 

が必要です。

 

 上記のケースでは、生産性を向上させるためにコストをかけて仕組みを変え、また設備投資を行う、社員の教育への支出を行う、ということがあれば、そのまま全体のコストが50%引き下げられている訳ではありません。

 しかし、全体のコストは大きく下がっている筈です。

 

 各企業は生産性向上により成果を得て、「単位当たりコストの削減」を行い利益を出し、さらなる生産性向上を目指して日々工夫や創造を行い発展してきたのですね。

 

 集中購買や大量購入、仕様変更や節約による「コスト絶対額の削減」の効果とともに、生産性を向上させ「単位当たりコスト削減」の効果を得ることが企業の成功要件ということができます。

 

 ここで分ることは質の向上です。

 

 仕事の仕組みの見直しや個人の技術技能向上が図られることで、間違いなく仕事の質は向上します。生産性を上げることは仕事の質向上の結果です。

 

 仕事の質を高めたいという思いが、改善や改革を生み、生産性向上を成し遂げてきた企業が社員や顧客から評価を得て成功した、ということのほうがすっきりしています。

 

 経済学者のデムセッツは、高効率で低コストの企業がシェアを伸ばした、という研究成果を発表していますが、まさに高い質を求め生産性向上を図ってきた企業が成功していることを証明しています。

 

 なお、効率化はコストを下げて経営資源投入量を下げることです。また、生産性が高いというのは、より少ない資源でより多くの成果を出すこと。なので効率化は生産性を高めるための方法であるという位置付けです。

 

 デムセッツの研究は、高効率→生産性向上→質の向上→単位当たりコスト削減というフローのなかで、顧客から評価される製商品・サービスを提供できる企業が成功した、と表現できるのではないかと考えています。

 

 同様に、一個人も生産性を向上させた人が成功していることに気付きます。

 

 個人も企業も経営資源(人の場合は人生資源?)はヒト、時間、情報、カネ、モノですよね。

 

 人生のなかで、個人が人生資源をどのように生み、どのように活用し成果を挙げるのか、社会人となれば余計に考え行動しなければなりません。

 

 私は、個人の成功は主観的な自己実現であり達成感を得ること考えています。

 

 客観的に評価されることへの欲求は、マズローの尊厳の欲求を引き合いに出すまでもなく重要ですが、主観的満足が伴わなければ満足できない筈です。

 

 なお、経済性の満足は結果の一部であり要件ではないため、企業とは違いますね。

 

 さて、個人が生産性を上げて質を高め、目的を達成するために必要なことも、やはり、

  • 仕事の仕組みを見直すことと、
  • 個人の技術技能向上を図ること

ですよね。

  

 この2つをクリヤーするためには、

  • やりたいこと、やらなければならないことを目標化し、
  • 自分の行動様式を見直し、
  • タイムマネメントを行い、
  • 日々のやり方を変える、
  • ITを使う、
  • 自分の能力を高める

 などをテーマとして行動します。

  • どうしたら質を上げ、
  • 単位当たりコストを引き下げ、
  • 時間を付加価値業務に振り向けられるのかを考え、
  • 行動することで、

  生活の質は明らかに挙がります。

 

 もちろん組織の視点からも能動的に自己変革を行う社員の存在は有益ですし、求められる人材像であると思います。

 

 生活そのものにおいて、ASCSとPDCA、PDR(Prep→Do→Review)、OODA(Observe→Orient→Decide→Action)など、どのようなフレームワークでもよいので、成果を挙げるための自分なりの管理方法を工夫し、より高い成果を生む活動を行えるようにすると良いですね。

 

 ところで、本日、昼食時にクライアントの社長から「何も咲かない冬の日は下へ下へと根を伸ばせ、やがて大きな花が咲く」という有名な格言を教えてもらいました。

 

 コロナの今、私たちは、

  • 今のうちに足元を固める
  • コロナ明けのための準備を怠らない

  ことを肝に銘じ活動していますが、まさにそのことを明確にした話ですね。

 

 やりたいこと、やらなければならないことを行うために、個人として社会人として、生産性をどのように高めていくのか、日々の生活を振り返る機会になりました。

 

 生産性向上=質の向上を成長のメルクマールに活動していきたいものです。