よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

どうしたら成果をあげられるか

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仕事には一人でできる仕事だけではなく、部署間で共同し、若しくは他人と協力して行う仕事があります。どの業種であってもどちらかというと後者が多いのではないかと思います。

 

毎日気を抜かず必死に仕事をしている人は沢山いますが、本人の思いとは裏腹に、他人との仕事のやり取りがうまくいかずに仕事が思い通りに進まないことがあります。

 

回送された書類に不備がある、連絡がこない、伝えたのに処理が行われていない、稟議が回ってこない、承認が下りない等、さまざまなことが自分の仕事を進める障害になっているのです。相手からすれば、新人なので仕方ない、連絡したのに留守だった、情報が不備、飛び込みの重要な仕事で忙しい、悪いけれど優先順位が低い等の言い分もあり、うまく進まないという状況があります。

 

それぞれの事情で効率が落ちる事例です。「双方頑張ってやっているのになかなかタイミングが合わない。でも、随時調整をしながらなんとか仕事が進んで行く」というのが、どこにでもある仕事の実情なのかもしれません。

 

蟻が蛇行して前に進むような仕事のやり方が当たり前になり生産性が落ちてしまう例は他にもあります。会議です。

 

双方がそれぞれ大切にしている時間を一緒に使う会議のとき、一人でも到着が遅れると全体の余計な時間が消費されます。5分遅れ×20人=100分遅れ、という大きな犠牲が生まれてしまうのです。

 

会議が始まっても事前準備が不十分であったり、間違った報告をしたために、余計な行動をとらせてしまうこともあります。

 

多くの人がそれぞれ懸命に仕事をしていても、ちょっとした意識のずれや、タイミングが合わないことで、それぞれの目的を達成できず、仕事に少しずつ無駄が生まれてしまうのです。

 

皆の時間を有効に使い、仕事を円滑に進めるために何をしなければならないのでしょうか。

 

仕事を始める前のミーティングで、従業員全員がそれぞれの仕事の内容を確認して、お互いに注意し合い、できるだけうまく仕事が進むように意識を併せることは言うに及ばず、他部署との関係では齟齬がないよう当日の予定を前日に確認したり行うべき内容について相互に理解しているか把握しておくことが有効です。

 

さらに、自部署であれば、

  • 従業員の予定が一覧で分かるシステムを導入する、
  • 優先順位をつけて対応する、
  • 緊急事態が発生したときにはどのように対応するのか段取りを決めておく

また、他部署との関係では、

  • 日頃からコミュニケーションをとり意思疎通を行う、
  • 業務改善により業務の見直しや新たな仕組みづくりを常に行う、

全社では、

  • 双方の業務を標準化するとともに、問題があれば修正する仕組みをつくる、 
  • 時間を厳守することを組織文化とする、
  • 従業員一人ひとりのスキルが一定レベルに達していることを確認し、不足するものがあれば教育により是正する、

といった対応が求められます。

 

これらを整理すると、現場では、

  • すべての部署の業務棚卸し実施、
  • 職務基準、マニュアル、フローチャートの作成及び運用、
  • 評価制度整備、
  • 体系的教育の実施、
  • 継続的な業務改善、
  • 目標管理制度導入、
  • 管理会計導入、
  • 日常的な部署間コンフリクト(衝突)の解消、
  • ガバナンスの徹底、
  • 内部監査の実施

が必要と分かります。

 

目標達成のため自部署の役割を認識すると同時に他部署の業務を理解し、自部署との連携を阻害する要因を排除する。時間は重要な経営資源の一つとして時間厳守での行動を行う。従業員は自分のやりたいこと、やらなければばらないことのために能力を高めることに向き合う。

 

すべての部署の連携が円滑に進むようガバナンスが行われ、時には内部監査により自部署業務の課題を見直す。結果、自部署の業務が思うようにはかどり、達成感を得ながら活気を生み、成果を挙げて個人も組織も成長できる仕組みができあがります。

 

ドラッカーは、その著書「マネジメント」において、マネジメントの必要な5つの能力をあげています。

  1. 目標を設定する能力
  2. 組織化する能力
  3. コミュニケーション能力
  4. 評価測定能力
  5. 問題解決能力

がそれらです。

ここで掲げた仕組みがあることでマネジメントが期待される能力を発揮できる基礎ができると考えています。

 

上記の取組みのどこに課題があるのかを見直し、次のステップに進める組織が数多く生まれることを期待しています。