よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

否定の裏側

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先日クライアントから「複数の幹部がトップの決めた事に何でも拒否をするので困る。なんとかならないですか」と相談を受けました。 

拒否をする人について考えてみます。

どのような組織決定事項でも否定する人がいます。「いやそれは」、「そうではなくて」、「でも」といった言葉をよく使う人達です。

「否定するかしないか」には3つの類型があります。「常に」「ときどき」「しない」がキーワードです。また、常に否定する、ときどき否定する、否定しないの3つの類型のそれぞれには「考えず」、「考えて」の区分があります。

最終的に、拒否に関わる人達の行動は、

  1. 考えず常に否定する、
  2. 考えて常に否定する、
  3. 考えずときどき否定する、
  4. 考えてときどき否定する、
  5. 考えず否定しない、
  6. 考えて否定しない、

に分類できます。

それぞれの行動の背景には、次の気持ちや思いがあります。

  1. 考えず常に否定する=すべて嫌!
  2. 考えて常に否定する=合わない
  3. 考えずときどき否定する=気分
  4. 考えてときどき否定する=できないものはできない
  5. 考えず否定しない=仕事だから
  6. 考えて否定しないA=喜んで
  7. 考えて否定しないB=意見具申

上記の行動について、マネジメントサイドの判断は、1は×。協働できないし組織にいる意味はありません。2も同様に×。同じく、いやそれ以上に別の組織で自分に合う仕事をした方が良い人です。3も×。気分で判断する、考えずに何かを否定する精神性では一緒に仕事はできません。

1から3はネガティブゾーンで、表立っては主張しないけれど面従腹背する人達も含まれます。

どの様な価値観なのか、なぜネガティブなのか、その原因を掌握すべきです。

4は△。まだ救いがあります。「どうすればできるか」を提示すれば変わってもらえる可能性があるからです。5は〇。しかし、「仕事だから」という思いだけでは気持ちの入った良い仕事はできません。内容を理解し、自分のこととして受容してもらえるように、やはり「どうすればできるか」を組織全体で考える必要があります。

日頃からトップマネジメントはビジョンや組織目標に照らし合せて何が正しいのか議論を尽くし意思決定するとともに、マネジメントシステムや前向きな文化・風土をつくるための取組みを行う必要があります。

6は◎。前提として「受け入れる」が、一端考え組織目的や当該行為の意味や自分にとっての意義を理解して「喜んで」の結論に辿りついています。「できるように」どう進めていくのか」について議論できる人達です。

そして7は★(スター)。キラキラしています!組織の決定は全面的に受け入れ、ただ、自分にも意見がある、こに課題がある、と率先して意見具申や問題解決ができる能力を持ち合わせています。

「やってやりましょう!ただ、ここは問題ですね。課題はこうして解決しましょう」と目力のある表情でキッパリ言ってもらえたら嬉しいですよね。

6、7はポジティブゾーンにいる人達です。

そもそも組織の経験を積んだリーダーが決めたことは絶対です。指示を受ける側にそれを拒否する権限はありません。ガバナンスの仕組みを破壊する人が多くいれば、組織は先に進めないどころか機能を果たせません。

当該組織のビジョンや考えに共鳴できない人は、別の思いをもてる組織で活きることのほうが有益です。

しかし、そうはいっても意思決定を丸のみするのではなく、組織構成員が「ここはどうなのか」という意見を持ち、またその意見を聴いて正しい方向に皆を誘導できるトップがいるのが、健全な組織であることは間違いありません。

リーダーも組織構成員も全知全能の神ではありません。自分の意見が絶対ではないのです。しかし、リーダーにはリーダーとしての責任や義務があり組織目標達成のために意思決定を行わなければなりません。

組織規模にもよりますが、トップが情報を集め熟考して決定したことを進めるにあたり、問題も課題もあることは常態です。なので、どう進めていくのかについてしっかりと議論し、ビジョンやミッション、ゴール達成に向けたトップの思いを実現するために、どうすればよいのかを考えることが組織構成員の役割であり使命だと理解しなければなりません。

指示を受けた者は自分なりに考え、意見具申し議論したうえで、組織における各ポジションにおける機能を果たす必要があります。7に属する人達がどれだけいるのかにより組織の盛衰が決まります。

リーダーがリーダーシップを発揮し、あるべき組織づくりをしっかり行わなければならない理由です。

リーダーは周りを見渡し、決定事項に対し拒否をする人達の背景を理解し、それぞれの類型へのマネジメントを的確に行っていく必要がありそうです。