クライアントで業務改善のレクチャーを行いました。概要を紹介します。
改善とは、より好ましい・望ましいものへ改めること、およびそのための創意工夫の取組みをいいます。
それは、業務を見直し、現状の業務をよりうまく、より早く、より合理的に(安く)できる業務に変えていくことを意味しています。仕事を行う人の立場も考慮して改善を行うことが大事です。
なお、業務改善を行うことにより、ムリ、ムダ、ムラをとることができます。分り易くするために、もっとうまく、もっと早く、もっと合理的に(安く)というキーワードを使っていますが、それはムリ、ムダ、ムラをとる、ということとほぼ同じ意味だからです。
改善は、業務(仕事)を見直し、仕事のやり方を
- 標準化によりムダをなくす
- 不必要な業務を止める
- 簡素化する、
- システムを入れることで手間を省く
- 集中化や移管を行いムラをなくす
ことで自部署の業務を効果的にする等が対象となります。因みに評価・教育を並行して上記を実施すればムリは根絶されます。
また、改善提案制度は、
- 何のために改善を行うのか、
- どのように行うのか、
- それはどのように評価されるのか、
- どのように報奨するのか、
という事項の検討の上に成立する制度です。これらの一つが欠けても制度は成立しません。
「何のために」を納得してもらうことがとても大切です。そもそも「従業員の働き易い職場をつくることは組織の方針でもあるし、従業員にとっても望ましいことです。業務改善により常に仕事を見直し、仕事の質を向上させ成長する。そのことで仕事はやり易く、やりがいのあるものに変ります。なので、業務改善は仕事の一部として捉え、自らも環境を変えるため、業務改善を活用しましょう」といった説明が必要です。
なお、他人や他部署が実施した改善提案をデータ化することで、
- それをヒントとして自部署で改善を行い、成果を広げることができる
- また、改善したことが表に出ることで提案者の評価にもつなげられる
ため、「提案はしていないけれど、常に改善しています」という主張は、実際に成果があったとしてもナレッジ化されていないという点で十分ではない、と言わざるを得ません。
常に身の回りにあることを疑い、もっとうまく、はやく、合理的に(安く)できるのではないかと考え、アイデアを出し、実験しなければなりません。
うまくいくこともいかないこともありますが、それを自分や他の人に評価してもらい、成長するきっかけにする。そしてまたアイデアを出して実験し、と繰り返すことで力をつけていきます。
ところで、提案者は自らの提案が仕事の仕組みや環境改善に貢献することを達成感として感じられる従業員になることが期待されています。
社会人としての喜びは、自分が決めたことを実行する過程で満足し、成し遂げて達成感を得たときに最大化すると考えています。
例えば月に1件以上の提案を行うと決め、実行し改善による成果を挙げて達成感を得る、そのことこそがもっとも大きな自分への報奨だと考えています。
ただ、そうは言っても報奨は「組織評価の一表現」との期待も多くあるので、
組織は、
- 改善提案の重要性や効果を基礎に提案者を評価し、
- 年間で報奨する
必要があります。
報奨には金銭的報奨と非金銭的報奨がありますが、徐々に制度が成熟すれば評価・報奨のルールが明確になってきます。金銭的報奨と非金銭的報奨の双方を取り入れた評価をするとよいでしょう。
なお、業務改善を行った結果はマニュアルに記載しなければなりません。マニュアルを通じて、改善された項目が組織に周知され、徹底されるからです。
常に改訂されるマニュアルの活用により、仕事や組織の質をさらに向上させることができます。マニュアルに記載されている手順を見て業務改善のアイデアを出すこともあります。
- マニュアルを作成する(業務の可視化=標準化)
- 皆がマニュアル+創造的に行動する
- マニュアルが陳腐化する
- 業務改善を行う
- マニュアルを改訂する
- 2.に戻る
というサイクルにより、業務改善を通じて仕事がより精度の高いものに変ります。
トヨタやユニクロを始め多くの企業が標準化や改善により成果をあげる中、無印良品がMUJIGRAMと名付けたマニュアルと業務改善でV字回復しましたが、業務改善はマニュアルとの連関がとても深いことが分ります。
結果、業務改善を行うことで、
- 日々の創意工夫により達成感を得る
- 評価される機会を増やす
- よりよい仕事環境をつくる
- 力をつけて成長する
を得ることができます。業務改善を行う4つの意味です。
すべての管理職やスタッフの毎日が常に創意工夫により業務改善を行う日々であるよう、心から期待しています。