よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

人生とは、空気を読み続けること

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「空気を読む」。よく使われる言葉です。

 

これは「その場の雰囲気や状況を察する」こと、「自分が置かれている場の状況を把握することや、場に存在する人の思いを読取り、自分が適切に行動する」という意味です。

 

場や相手、そして自分について客観的に情報を収集整理し、やろうとすることが達成できるよう適切に行動することが「空気を読む」ことですよね。

 

ここでは場、相手、自分が空気を読むの対象となります。

 

とりわけ大事なのは自分です。自分がプレイヤーとして参加していない状況では、空気を読む必要はありません。環境を理解し情報の一つとして把握しておけば足ります。

 

自分が置かれている状況を把握し、適切な行動をとるために行う行為が空気を読むということなんですね。

 

人は一人で生きているのではありません。環境や他者とのやりとりのなかで生活をしています。自分が見えない環境や他者もあるし、目の前の環境も他者もあります。

 

広義においては見えない相手に対する空気を読み、自分が適切な行動をとることも含むと思いますが、一般的に空気を読むときには自分がその場にいることを前提としているのだと理解しています。また、空気=雰囲気といわれることがありますが表面的です。ここで説明する対象を指すと考えています。

 

なお、葬儀に喪服を着る、会議では他人を尊重し自分の意見を述べる、感情的にならない、和を乱さない、など、空気を読む、という定義に常識的に行動する、ルールを守る、皆と一緒に行動する、といった意味を含める人もいます。

 

常識的に行動できない人は、「常識のない人」であり、空気を読む読まないではないですよね。誰でも判断は同じになります。それまでを空気を読めない人に含めると、本来行うべきことから逸脱しても、空気が読めない人だね、として処理されるだけになり、空気の読めない人の定義が広がりすぎます。

 

以前転職して銀行に勤務していたとき、真夏の暑い日に半そでのシャツを着て出勤してしまったことがあります。当時は銀行で長袖以外はご法度のような雰囲気があり、夏でもスーツ・ネクタイが暗黙のルールでした。昼に外資系の金融機関の方々との会食に呼ばれたとき、皆長袖であり私だけ上着を脱げず恥ずかしい思いをしました。これは常識のない人の部類ですよね。

 

「常識がない人」を「空気を読めない」に含めないことで、「空気を読む」の範囲を明確にして、人が適切な行動をとりやすくできます。

 

空気を読むとは、「自分がある場にいるとき、置かれている状況を把握し、その場で相手に適切な行動をとる」ことと定義したいと思います。

空気を読むためには、対象となるあらゆる状況や背景を分析し行動しなければなりません。

 

  1. 場の意味、状況、そこにいる目的
  2. 他者の真意、
  3. 他者の属性、性格、言葉、表情、そして
  4. 自分の相手からみた印象や能力、言動

をすべて網羅的につかみ、そこで

 

  1. 物事がどのように進むべきか(どうあるべきか)、
  2. 現状はどうか、
  3. 乖離はどのくらいあるか、
  4. 乖離が生まれている要因は何か、
  5. それは修正可能か、
  6. どう行動すればよいか、
  7. 行動しないでもよいか

を判断し対応することが必要です。

 

何か大げさな話になっていますが、それほど難しくはありません。

 

例えば、上司にこうしたほうがよいと思いますと意見具申したときに、上司がその意見を言下に否定したとします。

 

そのことをすべて上司が悪いとするのではなく、上司の置かれていた状況、性格、立場、自分との関係性、意見具申をしたときの場所、自分の意見の内容や適切さ、自分の言い方、意見具申までのプロセスを考え、自分なりに把握、どこに課題があるのかを考える。次にどのようにリカバリーするかを計画し修正。次のチャンスをつくり、計画し、行動する、と言ったプロセスをとります。よくある話しですよね。

 

もうお分かりのように、はじめから結果を想定し、先回りして戦略を練り、ここでは説明できない微妙な駆け引き(やりとり)も含め行動していれば、自分の意見がすんなり通ったかもしれません。

 

空気を読むというのは、「その場の雰囲気や状況を察する」ことであり、場や相手、自分を含め、どう求める、求められる成果を得るのか、ということと同義です。

 

自分の参加する事柄において成果を挙げるため、常に予測し、行動できるか、また突然その場に出くわしたときにも、全体を瞬時に予測、把握し適切に行動できるか、ということだと分かります。

 

「空気を読む」は、お前空気よめねーな、といった軽いトーンで使うだけではなく、人の行動規範のひとつとするものです。

 

人が生きている限り、空気を読むということがいかに重要で、かつ難しいことであるか。しかし、空気を読むことに長けていけば、必ず仕事も社会生活もうまくいくと思います。

 

この言葉「空気を読む」に触れて、常識をもち、相手を知り、相手を思う。また、自分を知り、客観的に理解する。何が正しく、何が正しくないのか、どう行動するのがよいのか、よくないのかを見極める知見と人間力を高めながら、生きていかなければならないと考えています。

 

空気を読み続けることが人生なのかもしれませんね。