よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

変革の時代に生きる

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全ての組織が発展するかどうかは人に依存します。リーダーは言うに及ばす、各部署に人材がいるかどうかで目的が果たせるかどうかが決まるのです。もちろん目立たなくても、決めた役割を果たしている人はすべて大切です。設備産業においても労働集約的産業においても人は重要な経営資源だからです。

 

組織が、ビジョン達成のための戦略を立て、各人が、役割を規律と責任をもって果たし、協調しながら積極的に行動できるかどうか、そのための仕組みをつくれるかが肝になります。

 

しかし、現実にはリーダーが組織をどこに誘導すべきなのかをわからない、社員の間でも議論できていない組織が数多くあります。日々の仕事が慌しく、漠然とどのようなことをしたいと思いがあっても、明確な戦略を行動計画レベルにまで昇華し、これからの組織のため社員の役割を決め、その計画を地道に進めていくことができていないのです。

 

結果、目の前の目標や仕事をこなすだけに懸命な人々の日々が廻っています。「忙しくて、計画的行動に基づく仕組みづくりや評価・教育に割く時間がない」ことが免罪符になります。

 

時代が代わり、今まで以上に組織的運営の巧拙や社員の意識改革が成果に結び付くことに気がつき行動する組織と、そうではない組織の差がつくことは明らかです。

 

勢いのある上場企業のトップが、「今を維持するだけではダメだ。当社のビジョンを基に常に次の時代が望む事業への取り組みを直ちに行っていこう」と話しましたが、一代で1,000億円の売り上げを直前にしたトップが、寸分たりとも現状に満足してはいけないと檄を飛ばす姿に勇気づけられました

 

結局何かが進まないのは人の不作為です。不作為は、自ら進んで積極的な行為をしないことをいいます。何度も何度も話をしても、「何かを自分で成し遂げていこう」という人が少ないことを哀しく思います。私も含めて、何かをしなければならないときに、そのことから逃げては何も変わらないことに気付かなければなりません。

 

人口が減り高齢化が進む日本では、当然に就業人口の減少も進みます。GDPは増加せず税収も増えないなか、社会保障費や所得税、そしていずれは消費税も引き上げられます。可処分所得は30年前を下回っておりデフレの解消は行われず、日本だけが先進国から取り残されています。

 

さらにコロナを克服しつつある海外各国の消費拡大による経済回復で円安が進み輸入品の価格高騰(コストプッシュインフレ)により私たちは益々貧しくなっていきます。

 

企業は高生産性を目指す必要があります。今こそ組織マネジメントを見直し、行うべきことを行える人づくりや組織改革が行われる必要があるのです。

 

世の中はノーカーボンやグリーン、デジタル化による企業成長を進めます。しかし、生産性を高める根底にあるものは組織の積極的な変革活動だけではなく、個人の改善意識や変革行動であることは間違いありません。

 

日本の丁寧な仕事や保守的なリスク回避のための活動が得られるはずの利益を圧縮しているきらいはありますが、そうした日本の仕事の品質を担保しつつ無駄をなくす日々の個人の改善行動があってはじめて規制改革や技術革新による経済成長が議論されなければならないと考えています。

 

一部の混乱を除き、世界の潮流はよりよい文化・文明をつくりあげていこうという方向に進んでいます。私たちも、大切な人生、悔いのない自分をつくりあげるためにも、希望を拠り所に胸を張り、後ろめたいことのない誠実な時間を過ごしていきたいものです。