仕事にはやらなければならないことと、やりたいことがあります。やりたいこと=やらなければならないことと意識することもありますが、ここではやらなければならないことは、自分の思いに関わらず「仕事としてやらざるを得ないこと」と定義します。
やりたいこと=「その時点で好きなこと」とするのが適当です。好きなことは得意なこともあるし、今はまだまだ「納得する得意なこと」ではないけれど、得意になりたいことでもあります。
そもそも「好きこそものの上手なれ」と言われるように、好きなことは上達しやすいことから考えれば、好きなこと、興味のあることは上手くなる、得意になるという流れがあります。
あまり好きではなかったけれど、何かを繰り返し行うことでいろいろなことが見えるようになり、楽しく取り組めたり、うまく、早くできるよう(得意)になったのを皆から認められ、小さな達成感や自信をもち、その何かを好きになることもあります。
なので、仕事では多くのことに興味をもち比較的好きなことを繰り返し行うことで、あることに精通し得意になるよう行動することがお勧めです。
仕事としてやらなければならないことから、やりたいことが生まれるのはそんなときですね。
やらなければならないことがやりたいことと一致することで、仕事からやりがいが生まれます。どんどん力が付くのが分かるから面白くて楽しい、益々頑張る、さらに仕事が出来るようになります。
工夫や改善を繰り返しながら、懸命に次々に他律的、自律的に決めた目標をクリアーし、気づくと以前より、うまく、早く、そして安く(合理的に)仕事ができていた状況になればしめたものです。
まさに「経験を積むにしたがって物事に習熟し精通するので、経験を重ねた人はより効果的・効率的に何かを行える」という経験曲線の理論に当てはまります。経験曲線の背景には、きっと「好きこそものの上手なれ」もあるんですね。
好きなやりたいことを仕事に選び、やらなければならないことがやりたいことと始めから一致している人も、やりたいこともなく気乗りしないままやらなければならないことをやっている間に、自然とそのことが得意になり好きになって、やりたいことになった人でも結果は同じです。
自立するために、仕事ではできるだけやりたいこととやらなければならないことが一致するよう意識をもち、仕事に取り組む必要がありそうです。
好きなやりたいことを仕事に選ぶのは難しく、また始めにこれが好きでやりたい、ということがあったとしても、それらはそれまでの狭い経験のなかで見つけたものである可能性もあります。仕事をしていくなかで未知の経験を積み「これ、もしかしたら好きかも」と感じることが出てくることは多いし、そもそも目まぐるしく変化する時代に一つのテーマにだけ固執することもどうなのかとも思います。
過去の経験を活かしながらも新たな興味を見つけ、多様な取り組みを行うことができれば、仕事の幅を広げつつ自らを成長させられます。
始めは何か一つ得意分野をつくろう、それは仕事をしながら見つけようと考え、そこから自分づくりを行なうことが自然です。後にそれまでの得意なことを武器にさらに多くのことに興味をもち、そのなかからやりたい何かを見つけ深堀する。そのときには徹底的に執着し自分のものにしていくことが有効です。
我々が開発した分類WHO(Want-Have to Operation=やりたい・やらなければならないの作用=フ―)では、やらなければならないことH、やりたいことWとし、また、やりきれてないときは小、やりきったときを大として得られる作用を、
H小・M小→枝(不満足)
H小・M大→五分咲き(主観的満足)
H大、M小→一枝の花(客観的満足)
H大・M大→満開(満足)
としています。
図にあるように、やりたいことが出来ていないのにやらなければならないことが出来て成果を挙げ、よくやったねーと褒められ(評価され承認され)、(一枝の)花を持たせてもらっても、いやまだ自分のやりたいことができていないのに、といった主観的な満足をしきれていない仕事は、自分で花を咲かせた訳ではないので本当の達成感は得られていません。
やらなければならないこととやりたいことの相関関係のなかで、両者をやりきることで仕事を価値あるものにできるし、満開に花を咲かせ人生を謳歌できると考えています。
まずは客観的な達成感や承認よりも、主観的な達成感を得て五分咲きでいったん満足し、その後やらなければならないことを成し遂げ、社会人として求められる客観的な評価を得て承認され、満開の達成感を得ることを最大の喜びに仕事をしていければ、高い成果を挙げられます。
今どこにいるのだろう、どうすれば自分を高め、やりたいことをやりながら、やらなからばならないことを出来るようになるのだろうと考え精進して得意分野をつくれば、やりたいことができるようになるのは間違いありません。
その力を持って他者と連携しながら組織が求める役割をバリバリ果たす。こんな楽しい事は他にないでしょう。企業からみても、そうした自立した社員をどれだけ育成できるかが重要なマネジメントの一つになります。
企業も社員も、やらなければならないこととやりたいことの相関関係を常に意識し、社員は自分はいったい何者なんだろう(Who am I?)と、WHOの作用を思い描きながら行動することが求められているのです。