フィドラーが提唱したコンティンジェンシー(contingency=偶発・偶然)理論は、「どのような状況でも最高のパフォーマンスを発揮するリーダーシップは存在しない」という考え方です。「リーダーが状況に応じてスタイルを変化させる」ことが求められる「状況適合理論」といわれています。
それ以前のリーダーシップ論は、リーダーの特性をもつた人がリーダーになりうるとしていましたが、フィドラーは、状況の変化に応じて、組織の管理方針を適切に変化させるリーダーこそリーダーであるとしています。
例えば、営業や製造、研究部門における業務には、それぞれ臨機応変な対応や、規律性、創造性といった性格がありリーダーのあり方も変わるとしています。
そして、
- リーダーが組織のメンバーに支持されている度合い
- 仕事や課題の明確性
- リーダーが部下をコントロールする権限の強さ
の3つの状況があればリーダーシップが発揮されるとしているのです。
ただ、状況によりリーダーシップが異なるのは理解できるとしても、環境変化により組織自体が変わっていかざるを得ないときにはどう対応するのかを説明できていないし、また、
- 仕事や課題を明確にする
こと自体もリーダーの役割であるとすれば論理矛盾が起こります。
さらに、そもそもリーダーがメンバー(フォロワー)から支持されたり、強い権限をもつためには、やはり
- 専門性や
- マネジメントスキル、
- 人間的魅力
がなければならず、リーダーがどのような(信頼できる)人物であるのかに触れないわけにはいきません。
- 使命感・情熱がある
- 目的や目標を受容できる
- 計画性がある
- 行動力がある
- 専門性がある
- 状況把握力がある
- 包容力がある
- 責任感がある
- コミュニケーション力がある
といった個人の特性は不可欠です。
そのうえでリーダーが信頼されて、リーダーとして振る舞い活動できれば、組織は成果をあげることができるのです。
なお、リーダーシップは、置かれている環境により変化します。
安定的な組織、危機的な組織、攻撃的な組織では、リーダーの行動や指示が大きく変わるのは自明の理です。
リーダーは、組織が何を求めているのか、いま何をしなければならないのかを常に受容し、柔軟に対応して組織が求めるところに到達できるよう、組織のミッションやビジョンをメンバーに示しつつ勇気づけ、目標を確実に達成しなければなりません。
これは我々が、さまざまな業種や組織を見てきたなかで得た結論です。大きく環境が変化する時代、どのような組織や職位にあっても、リーダーやリーダーシップに関する自分の考えを整理しておく必要があると考えています。