なぜ私たちは組織マネジメントを学ばなければならないのか、その意味を考えてみました。
経営学、経済学は組織マネジメントに大きく影響を与えます。なので多くのトップマネジメントやミドルマネジメント、場合によればスタッフが組織マネジメントを学習してきました。
さまざまなスタディがあり、どんな組織がどのようなマネジメントを行い成果を挙げているのか、成功しているのかを学者や実業家がこぞって調査し、理論やフレームワークをつくってきたのです。しかし、ある時点で優れたマネジメントを行っているとして紹介された企業が、しばらくすると業績を落としたり、業界から消えていることも稀ではありません。これは何を意味しているのでしょうか。
極端な言い方ですが、企業は利益や(キャッシュフローマネジメントができていることを前提として)営業キャッシュフローを出していれば存続できます。「収益が上がり続ける」とか、「規模が拡大」していればよりよい状況ですが、キャッシュフローが回っていれば最低限うまく運営できているといえるのです。
結局、業績がよいか維持できているかどうかが企業評価になります。そのためには企業の商製品サービスについて価格や品質、利便性やブランド、社会性などさまざまな訴求ポイントへの優位性をもつ戦略やシステムが、時代や環境に合ったかたちで確立されていなければなりませんが、ある意味、業績さえよければどのようなマネジメントをしても構わないという結論です。
しかし持続性はどうなのかという評価になり、本当に長く続けられるのかとなると、ただ利益が出ていれば良いという訳ではありません。事業には価格や品質、利便性やブランド、社会性などさまざまな訴求ポイントはあるとしても、組織を維持拡大するためには一定の顧客数が必要です。
ある時点まで優れた戦略があり、システムが確立していても時代が変わり競合が生まれ、競争に勝てない可能性が高いとき、自社の経営資源をうまく使えなければ必要とされる顧客数を維持し続ける、つまり業績を維持することは困難となります。
いくら優れたマネジメントを行い人材を揃えたとして研究対象となった企業でも、結局は戦略やシステムが総合的にみて時代遅れや環境に合致しなければ利益や営業キャッシュフローを確保できず存続できません。柔軟に環境適合し、残り、変化し続けていくためには社員の質が問われます。マネジメントサイドに優秀なリーダーがいるだけではなく、各ステージにある社員が自立し能動的に最適行動を行えることが、企業が提供する商製品サービスへの訴求力を担保し事業維持拡大に貢献する重要なファクターとなるからです。
人材がマネジメントサイドにいれば戦略やシステムが環境適合し続け、事業は維持拡大するのは間違いありません。しかし成熟した大企業で人材が豊富ではないかぎり、常に企業を成功に導く各階層のリーダーが生まれ続ける組織を求めるのは難しいことです。
自社の戦略やシステムを変化させ続けられないといったマネジメントに問題があるときに、現場から優れた人材をピックアップし、企業の持続性を担保し続けられる企業は稀だと考えているのです。業種や規模にもよりますがマネジメントサイドの意識が変わり続ける、人材も豊富だ、という企業は日本に数千社あるかどうかではないでしょうか。
当たり前ではありますが、一時期うまくいっていた企業が凋落するのは、初期の戦略やシステムが環境適合できない、それを変えるトップや現場に人材がいなかった(場合によれば外部からも調達できなかった)ことの帰結です。
企業が継続企業でいるためには、マネジメントを理解したトップマナジメントが、自社の使命を明確にした上で、戦略やシステムを常に最適なものとする活動を行う。そして経営資源をうまく活用できる人材育成を行うための仕組みづくりのためのマネジメントに注力することが必要です。短期中期的には外部からの登用も意識したマネジメントを行うとしても、長期では内部から人材を登用するながれが見えてきます。
もちろん業種により仕組みで動きやすい事業と、仕組みはあるものの現場スタッフの力量に依存する割合が比較的大きな事業がありますが、事業維持拡大のためには、顧客や社員に対し企業の社会的使命やパーパスを明らかにするとともに、その実現のための戦略やシステムの確立とブラッシュアップを怠らない、また自立した社員を育成するためのマネジメントにより経営資源の最適化を図ることが求められています。
整理すると、
- パーパス
- 戦略
- システム
- 経営資源の最適化
- 組織文化
- フリーキャッシュフロー
が取り組むべきポイントとわかります。
まず、パーパスです。ミッションやビジョン、バリューは内部のスタッフの意識や行動の統一性を喚起するコンセプトでしたが、パーパスは「組織を外からみつめ事業が人々の生活にもたらすものすべて」をいいます。事業の輪郭や進むべき方向を具体化したパーパスを示すことで、自社が何をすべきかを明らかにします。そのことで社内には仕事の意味(やりがい)を提供し、そして外には自社のファンづくりを行います。
パーパスにより打ち出された戦略やその実現のためにつくられた仕組みは、経営資源の最適化ミッションから常に見直され変化し、時々に合致した最適な比較優位にある商製品サービスを提供し続けることができます。パーパスが明確で、自社が提供する商製品サービスに一貫性があれば、何をしたいのかが伝わり、顧客が例え明確なパーパスを知らなくても顧客は自社を理解してくれます。ただ、パーパスを提示したのち、コンセプトにそぐわないマネジメントを行えば、顧客や社員は離反するので留意が必要です。顧客にとり優位性があっても社員に報いない場合も同様です。
したがって、パーパスの達成のため経営資源とりわけ、時間、情報、ヒトに着目した制度や仕組み(システム)づくりへの取組みを行います。
それは同時にリーダーシップはどうあるべきか、そこからつくり出される組織運営に適した組織文化はどうあるべきか、どのような制度や業務プロセスがあればよいのかに着目したマネジメントが行われるベースになることが理解できます。
最終的には、他の利害関係者を害さないように経常利益や営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを増減)を期待値まで上げなければならないことは間違いありません。
その理解をしたうえで、さまざまな理論やフレームワークを使い、マネジメント全体をコントロールすることが必要、と整理できました。今回のテーマは重要なので今後掘り下げていきたいと思います。
さて、私たちもいままで
- ASCS(行動誘導)
- ISM(自立度評価)
- ISME(成果獲得)
- CRISK(タイムマネジメント)
- コミットメントシステム(動機の喚起)
- マーシーレベル(自己評価)
のフレームワークや、
- ガバナンス(目標達成)
- ナレッジマネジメント(知識継承)
- コンフリクトマネジメント(衝突解消)
- 改善提案(体系化)
- 部門別損益計算(課題発見)
- 患者疾病別原価計算(ABC)
- 業務マニュアル(可視化)
- 教育カルテ(OJT)
- リスクマネジメント(効果測定)
- 上司評価(360°評価)
のツール化、
- CIM(意思決定手法)
- サクセスキューブ(成功要因)
- CAN(個人評価基準)
- SEO(思考基準)
のコンセプトをつくってきました。
今回のタイトルに資することが出来るよう、いままでの成果を再度見直しブラッシュアップして、次のステップに進みたいと考えています。