よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

紹介率の取り扱いについて

今回の医療制度改正で紹介率に関する加算がなくなりそうです。例えば30%を目指して紹介率をあげていこうとしていた連携室は目標を失いました。また、加算をとっていた病院は大きな痛手のところもでてきています。

今回の改正の本質は、紹介加算のために紹介率を指標化するのではなく、急性期病院であれば当然のこととして、平均在院日数を短縮することがテーマとなる。そのためには医療の質を高めることが求められる。ケースマネジメントをベースとした改革を継続することにより、最小の費用で最大の成果をあげるための活動が行われる必要がある。

結果として増患をしなければ病床利用率を維持できない。したがって紹介を受ける必要がある。地域完結型医療のなかで急性期病院の役割を徹底すれば自院のブランドだけで新患、入院対象患者、手術適用患者を確保することは困難である。

したがって紹介率向上のための活動は従来以上に力を入れる必要がある、ということが背景にあるとすることが相当です。

と考えると、加算の如何に関わらず本質的な活動を行おうとする病院だけが勝ち残る。すなわち患者さんに評価され、必要な病院として発展する、という本質的な議論をすべきであるということが理解できます。ある医師は紹介率が関係ないのであれば、紹介患者を特別扱いする必要はないのではないか、といった意見を述べていらっしゃいました。

しかし、予約制をとっている病院に緊急に紹介患者さんがいらしたとき、一番最後に受診していただくのか、ということになると判断が難しくなります。やはり、地域診療所あるいは病院から紹介された患者さんは、自院の診断や検査、あるいは入院が必要であるから紹介されているわけで、まったくの紹介状をもたない新患や、再診の患者さんとは緊急度が異なる可能性があります。

とりわけ急性期病院として機能するかぎり、紹介状を持参した患者さんについては、受付窓口をあえて別にすることが必要であるかはともかく、迅速に診察を行える環境をつくりあげていくことが必要であるとは思います。今回の紹介率に対する取り扱いは、本来の急性期医療や急性期病院の役割を明確にするという意味で、病院の姿勢や急性期病院のあり方、行動様式についてさまざまな示唆を与えるものであると考えます。