よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

リスクマネジメントの問題点(6)

 リスクマネジメントの究極の問題は、対策立案が思うようにできないということではないでしょうか。
レポートをみていると、どうしてもショートカットな、つまり~ができていないという事故原因について
~をするようにする、という対策になりがちであることが判ります。集中力が欠けた。集中力をもつようにする。といった対策がいつもでてきているのにもかかわらず、それをそうではないということができずに終わっている病院が多いということが問題であると思います。

 ある病院で病棟から○○検査にT・Wさんがいくから宜しくと電話あり。しばらくしてWですと患者がくる。Wさんですね。そうです。それでは検査をしましょう。と不必要な検査をしてしまう。しばらくしてW・Tですがと患者さん登場。あれ~みたいな事故がありました。ありえないようで、フルネームのチェック。検査表の確認。検査時点での名前の確認。などたくさんのチェックポイントがあるにもかかわらず、対策欄には、これからはフルネームで確認する、ちゃんちゃん。なぜ、プロセスをすべて分析し、付随する事項についてそのときにできていなかったことを検証しないのか。そしてそれを手順化して、マニュアルとしてファイル。定期的に業務監査。実際に手順を実施しているのかどうかのチェック。ISOでをとっている病院であれば絶対的に実施しています。

 患者さんは、こうしたことができていない病院であればすぐにいくのを止めたほうがよいと思います。
間違いなくよくない病院になる可能性が高い病院だからです。リスクマネージャーやジェネラルリスクマネージャー、そして医療安全対策委員会はどうなっているのかということです。はっきりいって機能していないことが多いです。こうした事例をみるにつけ、いつもなぜなんだろう、と考えます。
 ①問題解決をしようという意識がない
 ②問題解決をすることが医療の質を向上させることであるという思いがない
 ③問題解決をすることが職務であると考えていない
 ④問題解決をすることで自分たちが楽になることを知らない
 ⑤患者さんが不利益を蒙らないようにしようという思いがない……等々いろいろな思いが去来します。
もう少し真剣に考えませんか。今目の前の仕事をすることだけではなく、機を捉えた業務改革に取り組むことを。

「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」