よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

BSCの役割

今日は地方の病院で仕事をしていました。目標管理をBSCの形に加工するプロジェクトです。

 

どちらかというと方針管理のような目標管理ですが、戦略⇒経営方針⇒部門方針⇒個人目標といったかたちで約8年間目標管理を実施してきました。しかし、いくつかの理由により、膨大な作業を伴う報告を行なうことになり、職員の負担を軽減するためにも、もう少しシンプルにかたちを作り直そうとしていた矢先にBSCへの転換を行なうこととしたものです。もともとBSCのいう、目標間の整合性や、部署間の連携といったものについて私たちなりの目標管理のなかで達成していたつもりですが、

 

  1. KPIに落として定量化していない部門があった
  2. 4つの視点にまとめることで部署間の目標の比較可能性が向上する
  3. 逆に4つの視点に無理やり収めることで、目標を整理して考える

といった理由がBSCの役割として、一部取り入れることとしたものです。

 

ただ、BSCにいう財務の視点を除いた先行指標(KPI)を病院の財務指標とのリンクについては間に合わなかったため、それぞれの部署の立てた部門方針をそのままKPIとして、完全なリンケージがなくともよしとしようという結論になりました。


KPIの背景には、収益改善、コスト削減、医療の質向上といったものがあり、それらを志向したKPIであれば、直接財務指標とのリンクが明確でなくとも設定してみようということになったのです。


ただ、もとからよくある外部研修会に参加、10回といった指標がどれだけ直接的に上記に結びつくのかを証明することはとても困難です。ただ、こうした目標を設定することがある意味中長期では個人技術技能の向上に結実するため、どこかで必ず成果に結びつくことは明らかです。完璧なリンケージができる指標が発見されるまで、こうした「定量化されたが、成果との関係が不明瞭」な指標も利用されることになることが確認されました。

 

なおBSCでは個人まで落とし込みスケジューリング化されるという部分の構成が希薄であると考えますが、今回は個人レベルへの落とし込みは従来の目標管理(≒方針管理亜流)のフォーマットを利用してこれを行なうこととしました。

 

BSCを使った取組みが上手く機能するよう継続支援していこうと思います。