よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

病院原価計算の必要性(2)

広い意味の原価計算を考えるとき、予算実績管理の柱の構築が必要であることは説明しました。そこでは行動が重要です。どのように行動するのか、行動した結果どうであったのかについて常に検証していく必要があります。

 先行指標を設定し、予算実績の差額があった場合(本当はなくても)、先行指標と実績を比較し、どれだけ差があるのかについてチェックすることで、先行指標の上位にある予算と実績に乖離があったときの原因がわかります。

 たとえば外来収益が予算より1000万円少なかったのは(不利差異)、実は新患が先行指標であれば平均して毎日100人であったのに実績が80人であったこと、外来単価が9500円であるから20人×24日×9500円=456万円、次に単価が本来であれば9800円であったものが9500円だったので、患者数毎日800人×24日×300円=576万円が大きく影響している。但し、逆に入院において、入院患者が毎日平均4人多かったために…有利差異が発生し、プラスの部分があり…、といった分析がまず行われます。

 新患が少なかったのは紹介率が3%下がったためであり…、また単価については撮影の件数が20%少なかったが、逆に検査のオーダーが10%多くさらには、指導料が5%多かったが撮影の点数を凌駕するほどには貢献しなかった、ということです。
 
 それで入院ですが…のように分析をどんどんツリーを下に下りるかたちで行い、納得できる行動につなげることができる状況までもっていく必要があります。分析から行動につなげるために、それでは新患を採るためには、院内でブランドをつくりあげるとともに、プロモーションにより病院外部にどんどんアピールしていくとともに、地域連携によって増患を図る必要があります

 なお、ブランドな病院をつくりあげるために職員が日々質をあげるための業務改革にどうつながる活動をすることができるのかがポイントとなります。
 病院原価計算は、原価計算のための原価計算ではなく、これを管理会計の一部、すなわち原価把握、あるいは状況の把握を行なうものとしてみることが必要です。指標が常に管理され、不足する事項を実施するための行動のベースとなることができよう論理付けておく必要があります(続く)。

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