よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

学習したこと(歓喜の看護師長・Tさん)

 部門目標設定時における面談を通じて、今回は随分と勉強になりました。

病院は医師のリーダーシップが最も重要なマネジメント要素であるけれども、看護師さんや心あるコメディカル、事務方がきっかけをつくり、現場でリーダーシップをとりながら医師に影響を与えている組織であることがいまさらながらによく判りました。

 ある看護師さんは、本当に嬉しそうに整形系疾患で40日の在院日数でつくられているパスをちょうど半分に割り、残りの20日は開業医におまかせしたいと安定期に入った患者さんの逆紹介を行なうため、積極的に地域連携室のスタッフとともに外回りをしています。

どうしてもDPCに向けた原価計算もしたいとの願いを面談で話していました。

 行為別原価計算を行なうためには、パスの行間を埋める業務を列挙すること、タイムスタディをすること、部門別損益計算から患者さん一人当たりの治療間接費を算出し、計上することについて説明しました。

 行為別原価計算はパスの個々の行為で実施、事後にそれらを集約して患者別疾病別原価計算に進み、DPCとのあいだで適正利益がでているのかどうかについて議論する。といった道筋を提示しました。
 
 そもそもいわゆる前段に紹介した地域連携パスにしても、DPCに向けた患者別疾病別原価計算にしても、結局は看護師長が看護部で議論、医師に提案、医師がミーティング、GOサインといったながれのなかで進める、あるいは進めようとしているものです。

 地域連携は質の高い医療を行っている病院でしか進めることはできないと考えます。ここで紹介するスタッフがブランドをつくります。

ブランドな病院をつくりあげるためには、こうした名もないしかし、研究をする、仕組みを実際に運用してみる(フィジビリティスタディー)、成果をシステム化する、といった仮説検証を繰り返しながら、仕事が楽しいんです、といいながら説明する看護師さんが数多く育成されることが必要です。

必ず患者さんの心に響く心ある看護ができる、そんなスタッフが多く活躍できる組織が必然的に開業医の紹介先になるのです。

ポジティブな看護師さんはこれだけではありませんでした。びっくりしたんです。この続きはまた明日。