よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

地域連携の本質的お話(2)

 地域連携の後連携で重要な役割を果たす部署に、医療福祉課があります。北海道のT病院には3人のスタッフがいます。彼らは病棟からあがってきたオーダーをもって患者の支援を開始します。

 在宅、施設、転院、そして介護認定、資金調達などなど多くの課題について、徹底的に患者さんの立場にたって行動します。勿論、結果として平均在院日数は短縮され、病院としてのメリットを得ることができます。社会的入院を阻止する、社会的入院を継続させない、ということがそれらです。
 患者さんからすれば、病院を退院したあとの生活が保全されることになります。

 入院してからオーダーがあがるまでの期間、そしてオーダーがあがってから問題解決までにどのくらい時間が必要であったのか、すべての事項が検討され、データ化され、MSWによって開示されます。
 
 そのなかで、ディスチャージはどうか、患者家族支援を行なうことはどうであるのか、また看護師や医師がどのように患者に関与したのか、といったことが議論されることになります。患者さんの軸足から、退院を考えることも地域連携の重要なプログラムの一つの現れであると思います。

 こうした地道な地域連携における仕事の積み重ねが、よい病院を経営することにとても意味がある、ということを理解しなければなりません。

 なお、関東X病院で、7月や8月は患者さんが多くなるから地域連携は必要ない、といいきっているトップがいます。これは大きな間違いです。患者さんがベッドを埋めてしまうから地域連携はいらない。
それ以上には入院できないのだから…。と言う短絡的な対応は命取りです。
 まずは、平均在院日数を短縮するための活動をしているの、単にベッドを埋めているだけではないのかについて考慮したのち、平均在院日数も短縮しながらベッドが満杯ということであれば、いざしらず、そうでなければ、まずは平均在院日数を短縮するために、何をすればよいのかを考えなければなりません。
 ①早期の退院支援計画立案による社会的入院の排除
 ②包括外患者さんの転院(自院が最適な場合にはOK)
 ③医療事故の抑止
 ④クリティカルパスの運用(適用強化)
 ⑤入院診療計画書の書き方統一化
 ⑥医療の質向上
などといったことに執着することが必要です。平均在院日数を短縮し、それでも利用率があがるという状況であれば、勿論増患は必要ありません。そうでなかった場合にどうするのかを考えれば、結局は地域連携活動は継続的に行うべきであり、ひとときも休む間がないと決意しなければならない、と考えます(続く)。

「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」