よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

パスとマニュアル(2)

f:id:itomoji2002:20211030133912j:plain


パスのアセスメントとしてマニュアルが必要であることは説明しました。マニュアルはこれ以外にもパスとの連関でいえば高い効用をもっています。それはバリアンスマネジメントやアウトカムマネジメントにおいてです。
 
標準からの逸脱を示すバリアンスについて、4つの区分にて管理をしています。それは、医療従事者要因、システム要因、患者要因、そして社会的要因です。これらを発生させてしまう背景には、間違いなく病院の仕事の仕組みや、個人の技術技能のレベルの問題が隠れています。

標準からの逸脱があった場合には業務自体の見直しが行われることになります(個人の仕事のレベルが低いということも実際には教育システムに問題があり、それはひいていえば業務の課題でもあるということができます)。

業務改革が行われ、仕事の仕組みが改革されます。それはまさにマニュアルの書き換え、改定につながることになり、それはまさにマニュアルを通じて全体に周知され、パスの実効性を高めていくことになります。パスとマニュアルが一体となって運用される瞬間です。

さらにアウトカムマネジメントにおいてですが、ゴールについて例えば臨床指標を利用するなどしたのち、統計がとられ、早期に治療を開始する、検査を開始するといったことが可能です。

アウトカムの程度を定量的に認識することや、その程度を測定しながらパスの期間を短くするといったことが行われるのです。

それはまさに、パスによって医療レベルを向上させることであるケースもあります。パスの質を変え、そしてパスによる治療期間を短縮し、結果として平均在院日数に影響を与えることになります。

パスの究極の目的は平均在院日数の短縮やコストリダクション(原価低減)であるともいわれているなか、アウトカムマネジメントを進めることによってパスを変えていくこと(二次パス)はとても重要なことであると考えられています。

ここでもマニュアルは意味をもつことになります(続く)。

「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」