よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

患者さんからみた病院と病院からみた患者さん(7)患者になってみました

日ごろ毎日病院で経営コンサルティングを行っていると、どうしても病院の側に立った見方をするようになります。

先日、地方の病院に訪問したとき、その前日風邪を引いたなかでのセミナー5時間を受けて(懇親会でビールも飲んだし…)、声がでづらいのを理事長に見咎められました。

『具合悪そうね。うちの病院は自由診療だけど(はぁっ自費ですか?)診てあげようか』『先生、保険医取り消しですよ~』『じゃしょうがないから保険でいいや』(ってはじめから保険適用ですよね)ということで一連の診察と治療を受けることになりました。

会議室で仕事をしながら、理事長診察、血圧測定(170!、100!高ッ、助けてくれ~)、体温チェック、採血、そして場所を移して心電図、胸のレントゲン、(そんなに血圧たかいんじゃあ)眼底検査、点滴に、血液検査の結果を受けての栄養指導、そして再診察及び最後にもう一度血圧測定(140、98、フ~ゥ)といった具合に進みました。

その間、看護師さんとの
スピッツの名前シールの話
採血におけるインシデントについて
心電図をとるときの吸盤をつける肋骨の位置
放射線技師との撮影方法についての話
CTのスペック
稼動率
眼底検査室にあるロッカーの上の棚のたくさんのカルテと個人情報保護対応の話
点滴時の栄養指導の点数、内容
さらには管理栄養士さんと毎日の栄養指導の件数
病棟での実施率
NSTへの取り組み
他病院における管理栄養士さんが栄養指導を無料で行なうことで、診療所から毎月数名を紹介いただいている例をあげた地域連携で果たす役割
といったものについての話をしました。

そのなかで、なかなか採血の針が入らないことから22g、23gといった針の太さ(16gでやりましょうかと脅かされました。お~い)
放射線技師が点滴台を利用してそれをつかませることによって楽に撮影する改善提案事項
撮影時にあごを乗せる台の清潔維持
点滴ベットの枕カバーの汚れに対するルール
栄養指導時の説明内容についての着眼
具体的な指導事項に関わる留意点
についての議論をしました。

また、風邪薬を継続して飲用していることによるγ―GTP、やGOTへの影響(肝臓の数値めちゃめちゃすごかった。

寝てないし…不摂生がたたったかな(汗)、さらには中性脂肪コレステロール値(これもやばい)の標準及び最適値についてもお聞きすることができました。

相手は大変(うるさいやつと思われたでしょうね〔汗〕)だったと思いますが、とても楽しいひと時を過ごすことができました。

資料をつくったり、ヒヤリングをしたり、会議をしたりのなかでの、合間をぬった短い時間での出来事でしたが、患者さんはこんな気持ちなんだ、こんなことに気がつくかもしれない、といったこともよく判り、翌日からの病院訪問や経営指導に対する思いを新たにしました。

でもって、最終的には理事長に、丁寧に肺のフィルムや血液検査の結果、いただくお薬の説明(『先生、風邪に抗生剤つかっちゃいけないんですよ~〔K大学のK先生の本にでていたしなぁ〕』、『あなたの場合はへんな咳と痰がいっぱいでてるし、使ったほうがいいからね』『そんなら是非おねがいしま~す』)とか

セルフコントロールについてご指導をいただき、次回コンサルティングで訪問したときに再チェックをして、降圧剤をいただくかどうかについて決めましょうということになりました。


でも看護師さんが、理事長もタバコをやめ、夜お酒を飲むのを控え、少し増え気味の体重を減らしたほうがよいのではと、心配顔でおっしゃっていたことを理事長にお伝えしていないまま、病院を出たのが少し気がかりでした。