1.はじめに
DPCを採用するには、病院原価計算の導入が必須です。
出来高からDPCに移行する過程で、どちらかが収益が高いのかといったシミュレーションはしなければなりません。どのような調整が行われるかは別として、疾病別にシミュレーションすることで、差額を把握し、DPCに本格移行した場合にはどのように収益が逓減する、あるいは増加するのかについて認識しておくことは必要です。
しかし、もっと重要なことは、DPCに移行することにより、質を落とさず合理的な医療をどのように行うのかに留意することです。
診療報酬が下がり続けることは明らかななか、自院がどのような診療活動を行い地域に貢献していけるのかを考えるとき、自分達の診療活動はどのようなコスト構造のなかで行われているのかをまず理解し、そして目標を決定し、業務改革をしながらあるべきかたちのところで活動する。このような方向をもたなければなりません。
病院原価計算が経営意思決定を行なうときの重要なツールとなります。
2.部門別損益計算及び診療科別損益計算
まずは部門別損益計算や診療科別原価計算を行うことにより病院全体の各部門の損益構造を明らかにします。
各部門の損益構造を明らかにすることにより、どこに力を入れればよいのかといった組織的な戦略を立案することになります。ここでは間接部門、直接部門毎に問題が明確になります。また、それぞれに帰属する各部門においても収益を向上させる、費用を削減するといった部分について、指標を利用しながら分析することで課題が鮮明に見えてきます。
病院の事業計画を部門予算に落とし込み、毎月予算実績部門損益管理を行うことで、決めた利益を出したりキャッシュフローをコントロールすることができるようになります。
ここでは診療科別損益計算ができる構造になっていればより精緻や情報を収集することができることはいうまでもありません(続く)。
「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」