よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

どこまでやるの病院原価計算(1)

 看護師長のSさんは、看護師業務すべてのタイムスタディを行い、原価標準をつくりたいと申し出ました。私たちが患者別疾病別原価計算において、特定の疾患の患者に対し、タイムスタディをするための準備を進めているさなかでした。

 私は息を呑みました。そこまでやるのか…。彼女は米国に短期留学させてもらい、思考が超ポジティブです。原価標準をつくったうえで標準原価を計算し、実際原価と比較したい、単に患者毎の行為についてそれを集計するということでの対応ではなく、あるいはDPCとの比較、利益の算出というだけではなく、原価差額分析をしたい、ということでした。

 標準原価計算の基本的思考ではあるものの、この病院で部門別を10年間やり、疾病別も5年前にテストラン、といった環境のなかで再度DPC下での利益管理を行うという方向のなかで、さらに進んだ活動をしたいと、コンサルティングをしている私たちが提案する前に進言されたことに、少しショックであったわけです。

 ただ、本来は行為別原価計算があって患者別疾病別ということが本筋ですので、他の委員も含め皆でただちに彼女の意見に賛成したことはいうまでもありません。
 他のスタッフもそうだそうだと何のこだわりもなく承諾していました(続く)。


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