よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

リスクマネジメントについて(2)

 
 組織は中にいなくても動かせる部分と中にいなければ動かせない部分があります。今回の医療制度改革における病院の変革テーマは業務改革であり、具体的な手法がとても大切になりますが、日々の業務のなかで達成すべきものであり、毎日の仕事のなかでひとつひとつの業務のなかで解決していかなければならないものであるということができます。

 与薬の事故を事例とします。継続指示を医師から受け、薬剤部から調剤されたAさんのお薬をトレイにいれて管理していたとします。医師の指示が変わったにもかかわらず与薬してしまった場合には何を変えれば事故が防げるのか。
 
 また、指示が変わったことに気がつき分包されているAさんの薬を薬剤部に返送し、さらに新処方により調剤し分包し直し病棟に届けてもらう、というながれがあったとき、同姓のBさんの薬であると勘違いし、Bさんのトレイに入れて与薬してしまった。その前、分包するときに調剤ミスがあったことに後に気がつき…と、現場はあらゆる課題がそのつど、さまざまなかたちで発生し、解決され、と常に変化しているからです。

 上記をトータルで管理するマニュアルの導入、運用といった枠組みや、リスクマネジメントにおける対策立案の考え方や発想方法については、組織の中にいなくても説明できます。しかし、上記についてはあとでリスクレポートでチェックしたうえで、こうして下さいということは後でいえても、その場での修正をしなければ間に合わない、という代物なのです。爾後にチェックしてさらに現場で説明しといったことをしてたのでは、現状についていけない、状況となるのです。

「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」