よい病院、よくない病院の見分け方[石井友二]

マネジメントの巧拙が、病院の良し悪しを決めます。多くの病院コンサルティングの成果をお伝えし、自院の運営に役立たせていただくことを目指します。職員がやりがいをもって働ける環境づくりも、もう一つの目的です

バランストスコアカードについて(3)

BSCでは、すべての目標を目標を達成するための課題(ドライバー)にのせて、指標化(KPI=キーパフォーマンスインディケータ=成果をあげるための鍵となる指標)し、それぞれの目標として目標設定(先行指標)します。先行指標をもとに、行動し結果として実績がどうであったのかを指標として捉え、その差がなぜ発生したのかをみて原因分析を行います。

原因分析が的確にできれば合目的(目標に合った)行動ができるようになります。


(4)医療における意味
 医療においては激減する環境のなかで、職員が最適行動をとることが期待されています。平成20年の後期高齢者医療の導入、平成22年のDPC全適、平成23年での介護病床廃止に伴う施設転換など、さまざまな改革が目白押しです。

 トップが決めたことを短時間で達成するためには、組織が計画的に動かなければなりません。BSCは、その意味でとても便利なマネジメントの道具であるということができます。

(5)目標管理制度かBSCか
 従来、日本には似た管理手法として、方針管理や目標管理制度が存在しました。キャプランもこのような制度を参考にBSCをつくったとも言われています。

 例えば目標管理制度もしたがってBSCと同じながれをもち、組織目標を提示、部門への落とし込み、考え方のすり合せ、数字での目標設定、個人の目標設定、個人での目標管理といった方法で組織目標⇒部門目標⇒個人目標というように目標を落としこみ、個人が目標を達成すれば部門が目標を達成し、部門が目標を達成すれば組織目標が達成されるという考え方により組織目標を達成していくのです。

 BSCの優位を説く者は、目標管理と同じではない理由をいくつもあげています。しかし、基本的には根底にながれている考え方は組織の方向を判りやすく開示し、職員が行動できやすい環境をつくりあげる道具である、ということでは同じであると私は考えています。

 そもそも、組織と個人を考えるとき、手法の相違はあるとしても、組織活動をしているかぎり組織のベクトルと個人のベクトルを併せていかなければならないことは組織運営の基本的事項であるからです。大きな枠組みで議論することは意味がなく、それをどうやって達成するかについて相違がどうなのかという議論であるから、異なることは数多くある、ということであれば議論を止めたほうがよい。

 極端な意見かもしれませんが、何と何が同じである、異なるということに重きを置くこと自体がナンセンスだからです。多くの病院で目標管理制度やBSCを導入してきた私たちとしては、それぞれのもつメリットやデメリットを理解しています。

 しかし、私たちは学者でもなく、議論をもてあそぶ時間もありません。一定の枠のなかで、それぞれの良いところを納得し、最終目標を達成するために自院がどう行動するかということが大切です。結局は感性が合う、肌が合うものを採用すれば足りるでしょう。
 ただ、組織がもっている経験や意欲、他の制度との兼ね合いにより制度が機能するかしないかが影響されるのであって、目標管理がよいとかBSCがよいといったものではないと考えます。

 両者を折衷のように利用している法人もあるところ、結局はどのような道具であってもその道具をつかって達成しようとしていることに対し、組織がどれだけ執着しているかどうかに成果が影響されるということなのではないでしょうか(続く)


「ドクタートレジャーボックス同時掲載記事」